2023.01.12
【キャリアアップコラム Vol.16】「外的キャリア」と「内的キャリア」
こんにちは。リージョナルキャリア大分のコンサルタント、桝永です。
少し前になりますが、日本テレビの桝太一アナやNHKの近江友里恵アナが異業種へ転職したことが話題になりました。両氏ともに「新たなことに挑戦したい」と考えたことが転職の理由のようです。
これまでは、花形職業と言われるアナウンサーが、しかも20代後半~30代前半の大活躍中にもかかわらず転職するなんて考えられませんでした。
アナウンサーの仕事をしながらも、自身の価値観でキャリアを選んでいく。時代を象徴する一つの出来事のようにも感じました。
弊社へ転職の相談に来られる方の中にも、お子さんの誕生や親兄弟の体調の変化など、身の回りに起きた環境の変化がきっかけとなって、自分をふと振り返り、これからどんなキャリアを築きたいのか考えるようになった、という方はたくさんいらっしゃいます。
とにかく一生懸命仕事をこなし、充実した日々を過ごしていると、実は自分がやりたいことは何か、自分に問うという時間はあまりありません。そのようなときにふと何かのライフイベントにぶつかると、自身を振り返り、立ち止まって考えることがあるのだと思います。
キャリアを考える時に、「外的キャリア」と「内的キャリア」という2つに分けて整理する手法があります。
「外的キャリア」とは職業、地位、資格、年収など、外から見たキャリアのことで、自身の経験スキルが市場価値としてどのように評価されているかという観点で捉えたものです。
弊社の事例においても、この「外的キャリア」の認識がしっかりできている方は、転職活動がスムーズに進む場合が多いと感じます。
一方で「内的キャリア」は、自分自身の主観として何がやりたくて、どの程度自己実現できているかという観点から見たキャリアです。
会社で評価され、貢献実感があると、別に自分がどうしたいかを考える必要性を感じません。そういう方に、"本当に自分が何をしたいのか"と問うと、わからないということがあります。
デザイン思考の第一人者である佐宗邦威氏は、著書の中で以下のようなことを書いています。
"普通に生きていると、僕たちの脳はずっと「他人モード」になっており、「自分がどう感じるか」よりも、「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えている。
(中略)
逆に、日常のなかで、「自分モード」と呼べる時間は、かなり少ないのではないかと思う。「自分モード」のスイッチを切ったまま日々を過ごしていると、僕たちは「何がしたいのか」を思い出せなくなる。「君はどう思う?」と意見を求められても、そもそも「自分がどう思うのか」すら、よくわからなくなる。"
(出典:佐宗邦威『直感と論理をつなぐ思考法―VISION DRIVEN』ダイヤモンド社、2019年)
もちろん、なかなか答えが出るものではないですし、考えなくてはいけないものではありません。ただ、冒頭のアナウンサーから転身したお二人は、この「内的キャリア」から、転職という方向に舵を切ったのではないかと思うのです。
自分の価値観でキャリアを自己決定し、歩んでいくことは内的キャリアを満たし、充実感につながることでもあります。
今現在、転職を考えていても、そうでなくても、「自分は何がしたいのか」という問いを頭の片隅に置いておき、時々それについて考える時間を持つと、何かのタイミングで大事な意思決定をする際に役に立つのではないでしょうか。
忙しいビジネスパーソンにこそ、このことをお勧めしたいと思います。
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