2023.12.22
福岡地場大手・西部ガスホールディングスが描く未来-変革のキーワードは「想像」と「創造」
リージョナルキャリア福岡のコンサルタント、原田です。
今回は、福岡経済を牽引する「七社会」の一社である西部ガスホールディングス株式会社をピックアップして詳しくご紹介したいと思います。
<参考>
福岡で転職を考えるなら必ずおさえておきたい「七社会」とは?会員企業や活動内容をご紹介|リージョナルキャリア
※以下の内容はリージョナルキャリア福岡が独自に行った同社に対する取材にもとづいて構成しています。
創立100周年を控える「大手都市ガス」の一角、西部ガスグループ
(画像引用:博多経済新聞)
1930年の創業以来、一貫して地域に根ざした活動を行うことで盤石な顧客基盤を築く「西部(さいぶ)ガス」。都市ガスの供給戸数は113万戸を超え(2023年9月時点)、東京ガス・大阪ガス・東邦ガスとともに大手都市ガス4社と称されています。
また2030年の創立100周年を控え、2021年4月には事業体制を変更。ホールディングス体制に移行するとともにグループ経営体制へと舵を切り、新たな事業展開を推進しています。
|西部ガスホールディングス会社概要
本社所在地 | 福岡市博多区千代1-17-1(MAP) |
設立 | 1930年12月 |
資本金 | 206億2,979万円 |
売上 | 2,663億1,900万円(2023年3月期 ※連結) |
従業員数 | 単体:153名 / 連結:3801名 ※2023年4月時点 |
市場情報 | 東証プライム市場 |
主なグループ企業 | 西部ガス(株)、西部ガスエネルギー(株)、西部ガス都市開発(株)、西部ガスリビング(株)、西部ガス情報システム(株)ほか計45社 |
企業HP | https://hd.saibugas.co.jp |
事業の多角化を柱に変革を推進
近年では事業の多角化、つまりガスエネルギー事業以外の事業構成比率の拡大を柱とする変革を推進。
ガスエネルギー事業とその他の事業の構成比を、現状の約7:3から2030年度には同程度にすることを目指しています。
(画像引用:西部ガスホールディングスIR資料)
|グループ事業内容
- ○ガスエネルギー事業:家庭用/工業用ガスの供給など
- ○電力・国際・その他エネルギー事業:再生可能エネルギー発電、海外エネルギー事業への出資参画など
- ○不動産事業:オフィスビル/マンション・一戸建て住宅/商業施設/パーキングなどの開発、管理など
- ○食関連事業:飲食店、食品加工、水耕栽培野菜の栽培・販売など
- ○介護福祉事業:有料老人ホームの運営など
- ○レジャー関連事業:遊園地/温浴施設の運営など
- ○自立・付加価値創造事業:障がい者支援、業務サポートなど
「エネルギーとくらしの総合サービス企業グループ」へ
|再生可能エネルギー事業・小売電気事業に参入
2012年にエネ・シード(株)を設立し、再生可能エネルギー事業に参入。現在では太陽光発電所(17ヶ所)・風力発電所(1ヶ所)を運用しています。
また、2016年には小売電気事業にも参入。事業地域に対してガスと電気をトータルで提案することで独自の強みを発揮しています。
|不動産事業を強化
2020年度から開始している経営計画(Next2024)において、不動産などの成長事業に対して約500億円を投資。2017年には九州を地盤とするマンション販売会社の(株)エストラスト(東証スタンダード市場上場)を、その後も複数の地元ゼネコンなどを傘下に収めています。
また、タイやアメリカといった海外市場においても戸建分業事業やコンドミニアム賃貸事業、収益不動産事業などを拡大しています。
|続く新規事業開発
温浴事業(温浴施設「ヒナタの杜 小戸の湯どころ」の経営)、ドローン事業(ドローンを活用した橋梁点検)、フードロス削減事業(実証実験中)など、従来の事業領域を超えた新規事業の創出を加速させています。
未来を「想像」し、変革を「創造」できる人材を育成
同社では、新たな人材育成プロジェクトとして企業内大学の「ソウゾウ大学」を2022年10月からスタート。
これは文字通り、未来を「想像」し、変革を「創造」できる人材を育成するためのプログラムで、社内公募によってグループ企業9社から15名が参加。23年2月に第1期が終了し、最優秀賞に選ばれたアイデアは事業の立ち上げが進められ、現在は実証実験が行われています(上述の「フードロス削減事業」)。
<参考>
一生ものの仲間とともに、アイデア実現の一歩を。ソウゾウ大学が育む挑戦する人財 | 明日の暮らしラボ
世代や性別、それぞれのキャリアや普段の業務もバラバラで、「はじめまして」というところからスタートした第1期。
参加者の応募理由も「企画力を上げるための視点を得たい」「個人だけでなくチームで仕事をする力を高めたい」など様々。そんなメンバーが集い、チームでの課題設定、課題解決に向けたディスカッション、アイデア発表などの実践が進められ、今回の事業立ち上げへと結実しました。
今後もこうしたソウゾウ大学修了者が同グループを牽引する大きな原動力となることが期待されています。
既存社員の変革意識と多様性を高めるための採用戦略
同社は従来、新卒採用が中心でしたが、2019年頃から経験者採用を本格化。現在まで延べ数十名のキャリア人材を迎え入れています。
同社の取締役常務執行役員(人財戦略担当)である豊田康弘氏は、「キャリア人材が発揮しているパフォーマンスや既存社員に与えている影響は非常に大きい。既存社員には変革意識が生まれ、さらに、多様性を受容する柔軟さの中から生まれた新たな発想や価値観が、変革にドライブをかけている」と語ります。
(取締役常務執行役員 豊田康弘氏 ※筆者撮影)
また、同社に転職し、デジタル戦略推進を担う兵頭さん(仮名・40歳男性)は、入社間もなくして責任あるポジションを任され、「20代後半~30代前半ぐらいのメンバーが多い中で、自分に求められる期待や良い意味でのプレッシャーが自分自身のモチベーションになっている。上長もしっかり自分の意見や考えを聞いて賛同してくれるので、仕事は進めやすい」と充実の日々を送っています。
<参考>
転職者インタビュー【福岡】西部ガスホールディングス株式会社 | 兵藤茂和さん(40歳男性・デジタル戦略推進)|リージョナルキャリア
現在も事業企画系などの中核ポジションでキャリア採用が行われており、同時に、「社員一人ひとりが主体的に新たな価値を生み出せるような組織づくり」(豊田氏)も進められています。
※募集状況によっては求人が表示されない場合がございます。あらかじめご了承ください。
まとめ
「七社会」を始めとする地場大手の中でも、特に大きな変革期にある西部ガスホールディングス社。インフラ系企業にイメージしがちな"お堅い"雰囲気はあまりなく、若手~中堅社員を主戦力としてチャレンジしていこうというエネルギーを感じます。
転職者の兵頭さんも「良い意味で整いすぎていない」と同社を評しており、ビジネスや組織を当事者としてつくり、その中で自身のキャリアを切り拓いていく、そんなチャンスに溢れている環境であることが窺えます。
いわゆる「ゼロイチ」志向の方はもちろん、「イチジュウ」「ジュウヒャク」志向の方にとっても、多様な活躍機会と自己実現を目指せるフィールドがあると思います。