2022.10.21
大都市圏から広島へ。U・Iターン転職における「年収ダウン」との向き合い方
リージョナルキャリア広島のコンサルタント、原田です。私は普段、広島県外からのU・Iターンを考える方の転職支援をしているのですが、特に東京など大都市圏にお住まいの方から、『広島だと年収が下がるのが心配だ』という声を多くお寄せ頂きます。
そこで今回は、「実際のところ、どれぐらい下がるのか?」、下がることを前提としたときに、「どう向き合うべきか?」という部分について掘り下げていきたいと思います。
- 1. 東京から広島へ。年収はどれぐらい下がる?
- 2. 年収が下がると、生活水準が下がる?
- 3. 年収ダウンとの向き合い方
- └3-1. お金に代わって得られるもの(こと)を見据える
- └3-2. コストシミュレーションは具体的に行う
- └3-3. "先立つもの"を用意する
- 4. まとめ
目次1
東京から広島へ。年収はどれぐらい下がる?
まず一つデータをご紹介します。厚生労働省が発表している『令和3年賃金構造基本統計調査の概況(PDF)』によると、東京都の賃金を「364万2000円」としたときに、広島県の賃金は「290万9000円」で、約2割ほど低い水準となっています。
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」)
なお、この水準は全国で12番目に位置づけています。
私は10年以上にわたって広島へのU・Iターン転職を支援していますが、この「約2割減」というのは、肌感覚としても、過去の実績としても、実態に即した数字だと思います。
また、現年収が800万円を超えているような方だと、年齢やキャリアにもよりますが、「3割以上減」というケースも珍しくありませんので、付け加えておきます。
目次2
年収が下がると、生活水準が下がる?
「現年収から2割~3割下がる」と聞いて、「とてもじゃないけど検討できない」とおっしゃる方も少なくありません。ただ、ここで注意すべきは、「年収が下がる=生活水準が下がる」ではないということです。
広島県の物価指数を見ると、「全国平均を100」としたときに、総合指数「98.7(全国25位)」、住宅物価指数「89.6(全国28位)」となっています。
他にも、交通・通信や教育、家具・家事用品など、10大費目中8費目が全国平均を下回っており、総じて広島は『物価が安い地域』と言えるのです。
それでいて、賃金相場は全国12位なのですから、年収を下げても、生活水準を保てるケースはまったく珍しいことではないのです。
(参照)
広島県の物価、人口流出多く全国平均以下 | 日本経済新聞
目次3
年収ダウンとの向き合い方
それでは、「U・Iターンによって年収が下がる」ということを前提としたときに、どう向き合い、何を行うべきでしょうか。
目次3-1
お金に代わって得られるもの(こと)を見据える
まず明確にするべきは、「何のためにU・Iターンするのか」ということです。かいつまんで言えば、「年収は下がるけど、これを得られると考えると大きなプラスだ」というもの(こと)がどれだけあるかがポイントになります。
生活環境や育児・教育環境、ワークライフバランス、ライフプランの実現可能性、地域への貢献性など、人によってU・Iターンを考える背景は様々ですが、広島にU・Iターンすることの価値が大きければ大きいほど、「年収を下げてU・Iターン」という決断がしやすくなります。
目次3-2
コストシミュレーションは具体的に行う
誰しもコストシミュレーションは行うと思いますが、意外と"ざっくり"考えている方も少なくありません。
例えば、家賃を例に考えてみましょう。
現年収(支給額)が700万円だとすると、手取りは約520万円。そのうち、東京で毎月12万円を家賃に充てているとすると、1年間で144万円。手取りのうち約28%を占めています。
そこから、年収を2割下げて広島にU・Iターンしたとしましょう。支給額は約560万円で、手取りは約430万円となります。そこから同じ割合(約28%)で家賃を捻出すると、年間120万円、つまり月の家賃に10万円充てる計算になります。
場所にもよりますが、広島で家賃を10万円出せば、十分それなりのところに住むことができます。もしそこから1万円でも2万円でも下げることができれば、さらに楽になることでしょう。
年収の額面が下がることのインパクトだけに引っ張られず、広島での生活コストをできるだけ具体的に、精緻にシミュレーションしていくことが重要です。
目次3-3
"先立つもの"を用意する
年収が下がることで負担が大きくなるのが住民税。現在の給与に関係なく、前年の所得に応じて発生するため注意が必要です。
また、転居に伴う費用(敷金・礼金、引越し業者の費用など)も必要経費としてあらかじめ織り込んでおく必要があります。
さらに、入社した初年度は賞与が満額支給されないケースがほとんどですので、実際の収入としては提示額よりもさらに下がることも見越しておくのが定石です。
このように、"先立つもの"をあらかじめ計算し、貯めておくことも場合によっては重要になるかもしれません。
目次4
まとめ
東京から広島へU・Iターンすると、(残念ながら)年収は下がるケースがほとんどです。しかし、だからと言ってU・Iターンを諦めるというのは尚早です。
考えるべきことを考え、行うべきことを行えば、良い未来が待っている可能性は十分にありますし、実際、これまでご支援させて頂いた多くの方々がそれを証明しています。
お金に関しては不安がつきもの。だからこそ、不安を解消するための"正しい転職活動"が必要だと考えます。