地域情報ブログ

広島レジャー2022.01.21

サーブに乗って聖地巡礼したい映画『ドライブ・マイ・カー』の広島ロケ地マップ

リージョナルキャリア広島のコンサルタント、原田です。話題の映画、『ドライブ・マイ・カー』はご覧になりましたでしょうか?

2021年8月の公開から5ヶ月近く各地でロングラン上映が続き、カンヌ国際映画祭では日本映画初となる脚本賞を含む4冠、ゴールデングローブ賞では実に62年ぶりの快挙となる作品賞を受賞するなど、世界中で35以上の賞を獲得する本作。

特に、ゴールデングローブ賞はアカデミー賞の前哨戦とも言われるだけに、本戦(3月27日@米ドルビー・シアター)への期待がますます高まっています。

映画『ドライブ・マイ・カー』

妻との記憶が刻まれた車。聴けなかった秘密。孤独な二人が辿りつく場所──
再生へと向かう姿が観る者の魂を震わせる、圧巻のラスト20分

"舞台俳優であり演出家の家福は、愛する妻の音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう――。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。さらに、かつて音から紹介された俳優・高槻の姿をオーディションで見つけるが...。
喪失感と"打ち明けられることのなかった秘密"に苛まれてきた家福。みさきと過ごし、お互いの過去を明かすなかで、家福はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく。
人を愛する痛みと尊さ、信じることの難しさと強さ、生きることの苦しさと美しさ。最愛の妻を失った男が葛藤の果てに辿りつく先とは――。登場人物が再生へと向かう姿が観る者の魂を震わせる圧巻のラスト20分。誰しもの人生に寄り添う、新たなる傑作が誕生した。
"

(引用-公式HPより

原作:村上春樹
監督・脚本:濱口竜介
出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生

主人公・家福の愛車「サーブ 900 ターボ」

そんな『ドライブ・マイ・カー』の準主役とも言えるのが、赤いボディの"サーブ900ターボ"です。

サーブ900.jpg

Ⓒ2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会

スウェーデン発のサーブ900は生産終了から30年近く経つ車ですが、主人公・家福は15年乗っており(劇中より)、まさに"こだわりの愛車"。その車を自ら運転することにこだわる彼からは、彼自身の生き方に対するこだわりを垣間見ることができます。そして、その愛車のハンドルを若きドライバー・みさきに預けることで、少しずつ彼の中に変化が表れていくのです。

ちなみに、サーブ車といえば思い出されるのが2015年にスウェーデンで公開された映画『幸せなひとりぼっち』です。

妻を亡くし、孤独で偏屈な老人が次第に周囲との触れ合いを通して再生していく姿を描いた本作ですが、その老人がこだわり、愛していたのがサーブ車でした。

同じくスウェーデン産まれの「ボルボ」が現存する中で、時代に淘汰されてしまったサーブ。それを愛し続ける彼もまた、時代に取り残されていたのです。しかし、その一途さ、頑固さがとても愛おしく、先立った妻に対する思いも、とても深いものでした。

この『幸せなひとりぼっち』はあくまで人と人との触れ合いを描いていますので、「車のことはよく分からない」という方もシンプルに楽しめると思いますが、"主人公がサーブ車に乗り続けている"というだけで、"おっ、これは一癖も二癖もありそうだな"と思わせるという意味では(笑)、『ドライブ・マイ・カー』に通じるところを感じましたので、少し触れさせて頂きました。

"真っ赤なサーブ"が広島を走る!

そんな『ドライブ・マイ・カー』ですが、ご存知の通り、広島が舞台となっています。ロケ地も大部分が広島で、私たちにも馴染みのある場所や瀬戸内の美しい街並みなどが魅力的に描かれており、そんなところも作品の魅力の一つになっているかと思うと、何だか嬉しい気持ちになります。

-平和記念公園(広島国際会議場)
主人公・家福が演出を手掛ける演劇祭の会場で、彼がドライバー・みさきと初めて出会った場所として登場します。

広島国際会議場.jpg

-広島市環境局中工場
家福とみさきが心を通わせる重要なシーンで登場。ここで、みさきは家福の愛車であるサーブに対する思いを語ります。

広島市環境局中工場.jpg

-御手洗町並み保存地区(閑月庵 新豊)
家福が広島滞在中に宿泊したのが、瀬戸内海に浮かぶ大崎下島の港町・御手洗。その中で、「閑月庵 新豊」が登場します。

閑月庵新豊.jpg

この他にも、広島高速4号線や安芸灘大橋といった風景に映える赤いサーブが、広島を走り回っています。

「広島フィルム・コミッション」が撮影に大きく貢献

もともと撮影は韓国・釜山で行われる予定だったものが、昨今の状況下で急遽変更に。濱口竜介監督はロケ地選びのポイントとして「車が走れることはもちろん、走っている車をどう撮るか。撮りやすそうという理由で当初は釜山を選び、最終的には広島になったが、広島フィルム・コミッションの力がすごく大きくて、都市部でも瀬戸内の島々でも十分に撮ることができた」とコメントしています。

そんな映画撮影のサポートを行う広島フィルム・コミッションは、ロケ地やサーブが走った道をGoogleマップにて公開しています。それぞれのスポットにはシーン説明や劇中のショットも加えられており、映画を観る前も観た後も楽しめるものになっています。

広島FC支援映画「ドライブ・マイ・カー」ロケ地マップ
https://www.google.com/maps/d/viewer?mid=1OwEjfOccgH9ZVRJrCQw8sa-S84vhq_Ky

ドライブ・マイ・カーロケ地マップ.jpg

こうしたロケ地などを訪れることは「聖地巡礼」と呼ばれて久しいですが、どのように訪れるか、つまり"サーブで訪れたい"という気持ちになるのは本作ならではでしょう。広島の街で「おっ、サーブが走っとる!」ということが増えるかもしれませんね。

この記事を書いた人

チーフコンサルタント 
原田 昌和

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