2021.11.04
【キャリアアップコラムVol.3】「現状を捨てることへの抵抗感」について
こんにちは。リージョナルキャリア大分のコンサルタント、桝永です。
私は、年間約300名の方から、転職に関する相談を受けています。その中でも特に多いのが「大分へのU・Iターン転職」に関してです。
相談者の約8割が県外在住の方で、年齢は20代後半~50代後半と幅広く、転職理由もバックグラウンドも人それぞれです。
そのうち、U・Iターン転職を実現された方が50%、断念された方が50%と、半々の割合となっています。断念された方々は以下のような理由で転職活動を中止されています
◆面談時点で難しいと判断した
◆仕事が忙しく活動の時間がとれない
◆企業からオファーが出ても決断できない
転居を伴わない転職でもそうですが、U・Iターン転職ではなおさら、判断は難しいようです。
お話を聞くと、職場や仕事だけでなく、生活スタイル、人脈、コミュニティ、これまで培ってきたもの・・・それらを手放すことへの抵抗感があるとおっしゃいます。
また、日本ではまだまだ転職に対するネガティブなイメージがありますので、「都落ち」的な印象を持たれるのでは?という周囲(現在の同僚や転職先の社員)の目が気になるとも伺います。
これらの行動は「現状維持バイアス」で説明できます。
現状維持バイアスとは、変化や未知のものを避け、現状維持を望む心理作用のことです。現状から未経験のものへの変化を「安定の損失」と認識し、現状に固執してしまうのです。
人間は、何かを得ることよりも失うことを避けること(損失回避性)や、今現在手元にあるものに高い価値を感じ、それを手放すことに強い抵抗を感じること(保有効果)も影響していると考えられます。
「何となく不安」という感覚で判断するのではなく、自らの中にある「現状維持バイアス」を認識し、周囲の人に相談したり、正しい状況分析をすることが必要ではないでしょうか。
例えば、年収に関して「現在800万円だから、下げても600万円」とおっしゃる方が多いのですが、下限の年収に対して根拠がなく、漠然と不安を感じる方が多く見られます。
家賃・食費・交際費など、毎月いくら必要なのか?「年に2回は旅行に行きたい」など生活水準を維持するコストはいくらなのか?と、数字をはじくことで不安は消えていきます。
(余談ですが、転職時に年収がダウンしても、貯金は増えたという方が多く、3~5年くらいで元の水準に戻ったとよくお聞きします)
転職は、「いまの会社・仕事への不満 > 現状維持のメリット」となった時に考えはじめます。
今抱いている不満や不安が解消される見込みがあれば、転職する必要がない。今抱いている、不満や不安が将来的にも解消される見込みがないと諦めた時には転職するか我慢するしかない。このいずれかです。
損得で考えがちですが、そもそもなぜ転職しようと考えたのかに立ち戻り、考え尽くすことが必要ではないでしょうか。
参考までに、年代別に多い転職理由と現状維持バイアスを整理してみました。
◎25歳~35歳
【転職理由】今の仕事や環境が物足りない/新たな職種へのチャレンジ/評価と賃金への不満
【U・Iターンする理由】決定的な理由はないがいつかは帰りたいと思っているので、一旦このタイミングで検討/結婚・子育て環境
【現状維持バイアス】現職で新しい仕事を任された/同期(コミュニティ)との決別/魅力的な案件がなく様子を見たほうが得
◎36歳~49歳
【転職理由】現職でのキャリアの限界が見えた/親の介護の必要性/家族と暮らしたい(単身赴任・転勤)
【U・Iターンする理由】親の介護のため/家族と暮らすため(単身赴任・転勤)
【現状維持バイアス】収入ダウン(配偶者の反対)/これまでの実績や地位がなくなる恐れ/未知の領域に対し貢献できるかの不安
◎50歳以上
【転職理由】親の介護/早期退職
【U・Iターンする理由】親の介護のため/家族と暮らすため(単身赴任・転勤)
【現状維持バイアス】特になし(仕事が見つからないことの方が多い)
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