2021.10.20
木曽街道を彩った浮世絵師たち
みなさん、こんにちは。
リージョナルキャリア岐阜の伊藤です。
今日は、恵那駅から徒歩5分、「中山道広重美術館」をご訪問。
開館20周年の特別企画展「浮世絵/木曽街道三種揃踏」を堪能してきました。
江戸時代後期、浮世絵が最も栄えた時代に、画壇を席巻したのは、歌川派の絵師たち。
なかでも、役者絵の豊国、武者絵の国芳、名所絵の広重の3人は、
「豊国にかほ(似顔)、国芳むしや(武者)、広重めいしよ(名所)」と評され人気を博しました。
浮世絵に親しみを持ったのは、やはり、永谷園の「お茶漬け」のおかげでしょうか。
オマケの歌川広重「東海道五拾三次」カード欲しさに、お茶漬けの日々を送ったものです。
今も、広重はひとかたならぬ存在です。
歌川広重は、葛飾北斎とよく比較されますが、藤沢周平の小説『溟い海』(くらいうみ)
では、晩年の北斎が、37歳も年下の広重に対して、嫉妬のような敵意を募らせていくさまが、
痛々しかったですね。広重の平明で穏やかな風景画の中に、人間の哀歓が切り取られている
ことに北斎が気づき狼狽するくだりは圧巻でした。
「大井」は広重の雪の絵の代表作。当時、恵那市にあった大井宿へ向かう旅の一行です。
雪深い山道を音もなく歩く姿はとてもポエティック。舞い散る雪も、和紙の肌地と胡粉
(白色の絵具)で効果的に表現されています。
「雨の中津川」も広重の傑作の一つ。初版の版木が焼失したため、日本に3図、外国に
2図しか現存しない希少な作品となっています。
雪と雨を描かせたら広重の右にでる絵師はいないと言われていたそうですね。
かのファン・ゴッホも浮世絵のファンで、広重の絵も数多く模写していたと言います。
今、リニア中央新幹線が走る道として、中山道筋がにわかに脚光を浴びていますが、
噛めば噛むほど味が出てくる浮世絵のように、町のたたずまいもゆっくりと味わって
いただきたいですね。