2023.06.09
ベンチャー創出支援制度が強力バックアップ!東北大学発の注目スタートアップ3選
こんにちは。リージョナルキャリア宮城のスタッフです。
さて、宮城県の大学と言えば、旧帝大の一角である東北大学を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
国内外から多数の学生が集まる同大学では、開学以来の伝統である「研究第一主義」を理念として掲げ、全学部が大学院や研究所と連携して高度な研究を進めています。
これらの研究成果や学生などのアイデア、技術を基盤として立ち上がった東北大学発ベンチャー企業は2022年度で179社(経済産業省ニュースリリース/2023年5月16日)と、全国トップクラス。
また「STARTUP DB」が公表する「国内スタートアップ価総額ランキング」の上位20社にも東北大学ベンチャーがランクインするなど、事業性に優れた企業が続々登場していることがわかります。
▼大学別大学発ベンチャー数
(画像引用:経済産業省「令和4年度大学発ベンチャー実態等調査の結果を取りまとめました(速報)」最終閲覧日:2023年6月9日)
東北大学発ベンチャー企業が誕生するしくみ
東北大学は2020年に「スタートアップ・ユニバーシティ宣言」を行い、国内大学初のベンチャー創出支援パッケージを創設しました。これによりスタートアップの創出と起業家人材の育成をさらに加速するとしています。
①ベンチャー創出支援パッケージ
- ・東北大学版EIR(住込み起業家)によるアントレプレナーシップの育成、経営者候補人材の確保
- ・起業を目指す学生への事業化に必要な資金提供や、専門家によるメンタリング等による支援
- ・同窓会組織である萩友会との連携により、SNSを活用して卒業生と接点を設けて、支援者・経営者候補の裾野を広げる
②国内初の広域的なベンチャーファンドの設立
東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社は2号ファンドを設立し、東北大学が54.4億円を出資しました(ファンド総額78億円)。手厚いベンチャー創出支援パッケージのもとに2030年までに東北大学発ベンチャー100社創出を目指しています。
③学生起業家を生み出すしくみ
「東北大学ビジネスアイデアコンテスト」というイベントが開催されています。東北大学の学生が独自のビジネスアイデアについてピッチ(プレゼンテーション)を行い、起業家や投資家のプロの目による審査で競い合うというイベントです。入賞者には事業化支援資金が贈られます。
<参考>
『東北大学の取り組み スタートアップ・エコシステム推進拠点都市における役割と貢献』
https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/ecosystem/sendai/2-2_thkdai_1.pdf
(最終閲覧日:2023年6月9日)
注目の東北大学発ベンチャー企業
|株式会社ElevationSpace
株式会社ElevationSpaceは「誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにする」をミッションとしている、東北大学発の宇宙スタートアップです。
東北大学でこれまで開発してきた10機以上の衛星開発の知見・技術を元に、2030年末に運用終了予定の国際宇宙ステーション(ISS)に変わる新たな宇宙利用プラットフォーム ELS-Rを開発しています。
ELS-Rは、人工衛星内に複数内の装置を載せ、宇宙の微小重力環境を活かした研究や、高品質材料の製造を無人で行い、地球に帰還させ回収するサービスです。
2030年代には、ELS-Rで培った技術を元に、日本初の地球軌道上の宇宙ホテルや、月面基地等の宇宙建築事業、人や物資を運ぶ宇宙輸送事業へと事業を展開していきます。
代表の小林稜平氏が「Forbes 30 Under 30 ASIA 2023」に選出されるなど、日本発・アジア発のスペーステック企業としてグローバルの市場を牽引する存在になりつつあります。
株式会社ElevationSpace
【本社】宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1 東北大学マテリアル・イノベーション・センター401号室 青葉山ガレージ
【設立】2021年2月3日
【資本金】3億9,083万3,251円(資本準備金等含む)(2023年1月時点)
|株式会社クリーンプラネット
株式会社クリーンプラネットは新水素エネルギーの実用化研究を行うスタートアップです。2012年に設立され、2015年には東北大学と共同で設立した同大学電子光理学研究センター内の凝縮系核反応研究部門を拠点に開発に取り組んでいます。
新水素エネルギーとは、二酸化炭素を一切排出せず、原子力発電で懸念される暴走事故の危険性もない、クリーンで安全な新たなエネルギー「Quantum Hydrogen Energy(量子水素エネルギー)」です。
環境に優しいスマートシティやオフィスビルの電力を賄う発電装置、電気自動車への搭載など幅広い電力源としての社会インフラ導入を目指し、将来的には火力発電や原子力発電に代わる人々の生活に欠かせない「ベースロード電源」としての実用化も視野に入れています。
また同社は、国内未上場スタートアップ企業時価総額ランキングで想定時価総額8位と大きな注目を集めています。
<参考>
東北大学スタートアップインキュベーションセンター「株式会社クリーンプラネット インタビュー」(最終閲覧日:2023年6月9日)
株式会社クリーンプラネット
【本社】東京都千代田区丸の内1−5-1 新丸の内ビルディング10F
【拠点】クリーンエネルギー工学・先端イノベーション研究室(三上峰拠点)宮城県仙台市太白区三ヶ峰1-2-1 東北大学電子光科学研究センター ほか
【設立】2012年9月10日
|株式会社ispace
株式会社ispaceは月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップです。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発しています。
同社は、民間で月面の無人探査に成功したチームに賞金が贈られる国際的なレース「Google Lunar XPRIZE」に応募していたオランダのチームが、探査機の開発を東北大学工学研究科の吉田和哉教授に依頼したことがきっかけとなり、2010年に設立されました。
現在、同社が行う民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」は月面着陸と月面探査の2回のミッションを予定。2022年にミッション1(月面着陸ミッション)のランダーの打ち上げを完了し、2024年にミッション2(月面探査ミッション)の打ち上げを行う予定です。さらに2025年に予定されているミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画です。
「Never Quit the Lunar Quest」の精神のもと、挑戦を続ける同社には大きな関心が寄せられており、「STARTUP DB」公表の「国内スタートアップ評価額ランキング【2023年1月版】」では18位にランクインするなど、注目を集めています。
<参考>
ispace公式サイト「ispace、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1 成果報告を発表」(最終閲覧日:2023年6月9日)
東北大学スタートアップインキュベーションセンター インタビュー(最終閲覧日:2023年6月9日)
株式会社ispace
【本社】東京都中央区日本橋浜町3丁目42−3 住友不動産浜町ビル
【設立】2010年9月
【資本金】128億5939万9023円(資本準備金等含む)(2022年3月31日時点)
今回ご紹介した企業のほかにも、東北大学の強みである素材・材料、エレキ・デバイスなど、ものづくり企業はもとより、医療・バイオ、情報通信・サービスなど多様な業種の東北大学発ベンチャーが生まれ、投資が行われています。
今後もシームレスなベンチャー支援の取組みにより、 2030年までにプラス100社創出を目指すとしています。
リージョナルキャリア宮城では今後も東北大学発ベンチャー企業の情報をお届けします。東北大学発ベンチャーに興味がある方、転職を検討されている方はお気軽にご相談ください。
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