2022.05.12
仙台で感じる、人材起点による労働市場の根本的変化
こんにちは。リージョナルキャリア宮城のコンサルタント大石です。
今回は、仙台で感じる「人材起点による労働市場の根本的変化」についてお話したいと思います。
若手ビジネスパーソン団体の旗揚げ
先月、知人の若手ビジネスパーソンたちが「ONE TOHOKU HUB」という一般社団法人を立ち上げました。
引用:ONE TOHOKU HUB(最終閲覧日2022年5月12日)
もともと企業内有志団体が集うコミュニティー「ONE JAPAN」の活動に感銘を受けた東北の若者たちが運営する「ONE TOHOKU」という、例えば転勤族の若手中堅ビジネスパーソン向け交流事業などを実行していた方々です。この度、より踏み込んだ活動をするための法人化となりました。
この活動の詳細はリンク先をご覧いただければと思いますが、最近、このような小集団ともコミュニティーとも言えそうな「志ある同志の塊」の組織が地域に生まれる機会を目にすることが多くなってきました。
従来は、地域名士の集うライオンズクラブやロータリークラブ、あるいは経営者の団体として、青年会議所、経済同友会、商工会議所、中小企業家同友会などは古くからあり、地域活動、あるいは政策提言などの機能を担ってきたように思います。名称はリバイスされながら同様の場は今も昔もありますが、私が今回お伝えしたいのは、そういった企業経営者ではない「個人の集合」としてのコミュニティーの胎動についてです。
被雇用者がつくる新しい組織
今般、経営者ではない被雇用者(一般的にサラリーマンやパートタイマーと呼ばれる方々、学生など)が「本業」以外に収入やネットワークを得たり、自らの想いや願い・やりがいを実現するための場があちこちに生まれ、リアルな影響を与え始めています。
フリーランサーのネットワーキンググループなどは分かりやすいですが、副業/複業、プロボノ、あるいはゆるやかな業務委託の増加による企業と人の関係性の溶け合いは、人と組織の関係性の大変革を感じさせます。かつそれは、WEB3.0に規定されるような、非中央集権的な形で起きているようです。新しい世代による、新しい組織、それらの新しい関係性ないし在り様が、雇用者₋被雇用者という今の枠組みを超え出て、生まれているように思っています。
私自身
翻って私自身も、仕事とはまったく別の取り組みとしてコミュニティーを運営しています。仕事のように緊密なパートナーシップを結んでいる訳ではないですが、自分たちの願う世界観の実現のために、折に触れて活動をしていく中で「地域や社会をよくしよう」という意思を共有する仲間が集っています。
私のコミュニティーは地域の仲間と始めましたが、これに共感を寄せる同志が沖縄からも参加するなど、全国に活動が知られ始めており、現在も神奈川や長野の仲間との連携などが始まりつつあります。
weak tiesだがstrong ties
社会学上はweak ties(弱い紐帯)の意義が言われることがありますが、近年生まれているのは、先述のとおり志(最近の言葉を借りればパーパス)や想いをベースに、従来の意味での仕事あるいは本業とは別に繋がったこれまでとは別種の「組織」と思っています。それらの組織の目的・意図・志はそれぞれ異なると思いますが、活動の熱量や拡散の度合い、関係性の濃密度は、まったく「weak」ではなく、極めて緊密で濃厚であり、また活動の実行度の強度もまたきわめて高いものと感じています。組織が解こうとしている課題に対する熱量の温度も高く、範囲も広いと感じるのです。
テックドライブ
言うまでもなく、これらの実現に一役買っているのは、SNSやその他のテクノロジーです。私のコミュニティーはSNS抜きにはあり得ません。また例えば私の知人は、地域通貨発行などを含め、東北の地域課題解決のための人的・技術的ネットワークをワールドコンピュータ上のDAO(自律分散型組織)として構想し、リアル/非リアルイベントなどを通して、共感する同志をオーガナイズしつつあります。GW前位の発足から私も参画させて頂いていますが、地方議員からエンジニアまで、あっと言う間に200名近くのビジネスタレントが参画し始めています。これらの動きから私が感じているのは、志や想いを近くする個人のネットワークが社会課題を解いてくためのプラットフォームやテクノロジーは既に整っており、人と組織の関係性が書き換えられているのではないか、という事です。
超ローカル with 超ローカル
従来のような「ローカル VS 首都圏」「田舎 VS 都会」という文脈でのローカルではなく、「ローカル with ローカル」あるいは「リージョン with リージョン」のような世界に生きているように感じるのです。
私の予想では、SNSなどを含めて市や町内会単位の「より小さく狭い」土着の繋がり(ローカル)が強くなり、それらが非中央集権的に相互の網を張り始める(グローバル)という、ドゥルーズなどポストモダンの思想家が構想したようなリゾームが作られていくのだろうな、と思っています。
仕事観を更新すべき時代
このブログを読んでいる皆さんにお伝えしたいのは、「人と仕事の関係はこれまで通りではない」ということです。つまり、そろそろ「仕事観」を更新しなければならないのだと思います。「どう生きるかはより一層"自己決定"の領域」ということです。
そもそも、何を「仕事」と呼ぶかすら自己決定の領域です。私も4年前に専門家ギルドが契約主体になると思い、専門領域の仲間と勉強会を立ち上げたことがありましたが、その時に考えていたような上述のリゾーム状の世界が、思ったよりも早く来たな、と感じます(おそらくコロナウイルス流行の影響が多分にあると思います)。
そして、ローカルでは自己決定した個人を支援し集う仕組み(報酬体系にいたるまで)が沢山ある、ということも体感しています。私自身、地域の応援をもらっていると感じることが多くありますし、活動が全国的に知られる中で、全国に仲間が飛び火していく、あるいは応援を得られる、ということも身をもって体感しています。
何を考えるべきか?
ここまでお伝えした全てのことには、「自分が旗さえ掲げれば」という前提条件があります。自己決定と書きましたが、「渦の中心となって自ら場を作る人」と「それを眺める人」との差がますます開いていくと感じます。上手に巻き込まれることも能力だと思いますので「発起」する意味だけでなく、「自分はこう思う」「自分はこうしたい」という旗を、自ら掲げて渦に飛び込んでいく、というのが、この後の世界を生きる上で重要なのではないかと思い始めています。
おそらく以前からそうだったと思うのですが、今はその壁がすごく低くなっているので、ピョンピョンジャンプしながら自由に動いていける個人には、それだけのパワーが支援をしてくれる社会になっているな、と思います。
最後は自分が作る信頼が石垣
私はどんな時代にあっても、どんな社会になろうとも、最後のセーフティーネットは「人」だと思っています。その石垣を築くためには、「どの企業に所属するか」「役職は何か」ではなく「何をしている人か、どんな思いを描く人か」が重要であり、また「その具体的表現」を普段から実行している事が重要だと思います。そうなればなるほど、いわば「本業」とされる場において、自らのプロフェッショナリズムを発揮しているか、あるいは外海を泳ぎ切れるだけのものを学び取れるか、ということが重要になっていると感じてなりません。
すでにゲームチェンジは始まった
転職を希望する方が気にされる事の一つは収入に関することだと思いますが、収入を上げるための方策は既に変わってきています。収入アップの方法に関する私なりのアドバイスの一つは、マーケットへの信頼の蓄積が重要だということです。
これを転職という手段で考えると、さまざまな選択肢から判断するうえで重要なことは、「どの企業が給与が高いか」だけではないことは明らかです。ある意味で、人側からのゲームチェンジは既に始まっています。これを読んでいる皆さんの中には、自らの職業や人生のテーマを考えている方も多いと思います。自身の「これから」を考える際の一つのヒントとして、参考にしていただければと思います。
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