九電みらいエナジー株式会社
杉田香苗さん(仮名・法務) 42歳
法律のプロフェッショナルとして、再生可能エネルギー事業の成長に貢献。
法律事務所で弁護士として活躍していた杉田さんが、新たなフィールドとして選択したのは「企業法務」だった。
企業法務は募集求人が少なく、地方であればその傾向はより顕著だ。しかしながら、杉田さんは転職コンサルタントのサポートを得て、企業法務ポジションへの転職を実現。それは前職で経験した、再生可能エネルギー関連企業での契約業務経験などを活かせる仕事だった。
やりがいだけでなく、ゆとりある休日も過ごせるようになったという、杉田さんの転職体験談を紹介しよう。
※本記事の内容は、2020年8月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 2回
- 活動期間
- エントリーから内定まで32日間
転職前
- 業種
- 法律事務所
- 職種
- 弁護士
- 業務内容
- 企業法務、一般民事、多重債務事案、刑事事件など
転職後
- 業種
- 電力事業
- 職種
- 法務
- 業務内容
- 法務全般(法律相談、契約書審査、法務デューデリジェンスなど)
新たなやりがいを求め、法律事務所から企業法務へ転身。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
在籍している九電みらいエナジーおよび子会社関係の法律相談への対応、契約書の審査など、法務全般を主に担当しています。例えば、現在のようにコロナウイルスの感染リスクがある中での、従業員の出張の注意点について、法律の観点からアドバイスを行ったりしています。
相談を受けた場合には、基本的にスピーディーに対応することを心がけています。なぜなら相談者は、起きている事象について素早く問題解決を図りたい、と考えているからです。内容によっては、その上で必要に応じて文献などをあたってみて、追加で補充情報を提示するようにしています。
契約書審査については、当社は海外の事業者との取引も多いため、英文の契約書審査もあります。また、M&Aを検討することがあれば、法務デューデリジェンスへの対応も必要です。
入社前のご経歴を教えてください。
大学卒業後、新卒で外資系アパレルブランドの日本法人に入社し、百貨店内のショップで革小物や衣料品などの販売をしていました。実家が商売をしていたこともあり『一流のサービスを学び、経験することで何か活かせることがあるかもしれない』と考えたのが会社を選んだ決め手でした。
でも実は、もともとブランド品にそれほど興味があったわけではなく(笑)、モノを売る仕事よりも人助けをするような仕事がしたいと思うようになったんです。
そんな時に仕事の中で法律に関係する出来事があったり、法律問題を取り上げたドラマが流行っていたこともあって、それに影響されて『これだ!』と思いました。
そして、弁護士になることを志して会社を退職。予備校と法律事務所でのアルバイト勤務を経て法科大学院に進み、司法試験に合格。弁護士登録後は法律事務所にて企業法務、一般民事、多重債務事案、刑事事件などに携わっていました。
転職のきっかけは?
勤務していた事務所の閉所が決まったことです。そのため転職先を探さざるを得ない状況になったのですが、その時に真っ先に浮かんだのが法律事務所ではなく、事業会社の法務担当でした。
それまで転職を考えていたわけでも、また法律事務所での仕事に不満があったわけではありません。ただ、事務所に所属して外側から依頼者(企業)に関わるのではなく、企業内で中の人間として法務や関連労務、危機管理などに携わってみたい、という気持ちがありました。
また法律事務所では、一人の弁護士として労働者や刑事の被告人と関わることが多いのですが、「組織の中でいろいろな役割の人たちと連携して事業成長のために取り組んでいきたい、その一員としてやってみたい」という想いもありました。
とはいえ、企業法務の求人は少ないですし、そのようなチャンスはなかなか無いだろうと思っていたのですが、知人が企業法務担当で転職をした、という話を聞き、その想いがより強まりました。
転職活動はどのように進めましたか?
最初は自分で情報収集をしていたのですが、なかなか希望する企業法務の求人を見つけることができませんでした。そこで知り合いに相談をしたところ、「転職エージェントに相談してみるといいよ」と助言をもらいました。
すぐに調べていくつかの転職支援会社にエントリーし、その中の一社がリージョナルキャリア福岡で、そこで紹介して頂いたのが現職の九電みらいエナジーでした。
仕事の醍醐味だけでなく、休日を安心して過ごせる日々に満足。
今の会社に決めたポイントは?
まずは何より、希望通りの企業法務ポジションであったこと。それと、九電みらいエナジーは再生可能エネルギー発電事業を行っていますが、前職の法律事務所で再生可能エネルギー関連の外資系企業の代理人を務めたことがあり、英語でのやり取りや英文契約書の日本語翻訳、レビューなどの経験が活かせることも決め手となりました。
もともと九電みらいエナジーという会社の存在は知らなかったのですが(笑)、今後の再生可能エネルギー事業の成長性や、九州電力グループであることの安心感もありました。
また、私の状況をしっかりと受け止めて、対応してもらえたことも大きいです。数年前から法律事務所での仕事と兼務で、大学の非常勤講師として授業を受け持っていたのですが、途中で辞めるわけにはいかないため、転職は契約終了後になると考えていました。
実は同じタイミングでもう一社選考を受けている企業があったのですが、その企業からは「辞めるか契約が終わってからでないと難しい」と言われていました。一方で九電みらいエナジーは私の状況を理解してくれ、契約期間までの兼務を認めてくれました。それはとても嬉しかったですし、お世話になりたいと強く思いました。
転職していかがですか?
法律事務所では個人で仕事をしてきたので、組織の一員として働くことはいろいろな面で違いを感じましたが、皆さん良い方ばかりですぐに慣れることができました。勉強熱心で優秀な方が多く、とても刺激を受けています。
再生可能エネルギー発電事業、特に洋上風力発電事業はとても勢いがありますし、それに関連する契約書の審査は大きな責任とやりがいを感じます。
契約書を見て、上司と見解が異なる点について議論を深めることはとても楽しいですし、組織の一員として働く良さを感じています。専門性を持ったメンバーがそれぞれの強みを発揮し、連携することで会社が前に進んでいく、という醍醐味を感じています。
生活面の変化はありましたか?
メリハリがついて休日にしっかり休めるようになりました。前職では子育てを優先していたこともあり、自分のペースで仕事をしていました。その代わりに事務所から仕事をふられることはほとんどなく、仕事の量を自分でコントロールできるので、その意味では時間的な余裕は前職の方がありました。
ただそれでも仕事柄、土日に法律相談の仕事が入ったり、刑事事件の面会に行かなければいけなかったり、休みの日でも常に電話を取れるようにしておかないといけなかったり、何となく落ち着かない感じでした。
現職ではそのようなことはないので、土日は落ち着いてゆっくり過ごせるようになり、家族の予定も立てやすくなりました。当たり前なのかもしれませんが、休みの日に休めるということの良さを実感しています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
今回の転職活動で、コンサルタントの方にこれまでのキャリアを整理してもらえたことが、本当に良かったです。話をするなかで忘れかけていたことを思い出せたり、問われることで自分が大切にしていたことに気付けたり、自分一人では気付けなかったことを導き出してもらえました。
転職活動を始めた当初は不安で悩むことも多かったのですが、信頼できるコンサルタントと出会えてサポートして頂けることが心強かったです。その意味では、転職すると決めている人だけでなく、例えば仕事やキャリアのことで悩んでいるとか、振り返ってみたい、という方でも、相談してみると自分の良さや課題などを見つけることができるのではないかと思いますし、それはとても価値あることだと思います。