マツダ株式会社
二宮壮一郎さん(仮名・人事) 30歳
人事のキャリアも、私生活も諦めない。広島で実現できた二つの理想。
大手機械メーカーの広島拠点で、人事労務として幅広い業務に携わっていた二宮さん。社内体制の見直しで人事機能が東京本社に集約され、東京で単身生活を送ることになってしまう。
かつての広島での生活が気に入っていたこと、そして妻の出身地が広島だったこともあり、移住を目指して転職活動を開始。ただ、「これまでの経験を生かせる仕事がしたい」という想いはあったものの、「地方転職ではキャリアや待遇は諦めざるを得ない」と半ばあきらめていた。
しかし、「広島での暮らしが目的であっても、キャリアも長期目線で考えないといけない。諦めてはいけない」というコンサルタントの応援もあって、マツダ社の本社人事として転職に成功した。
現在は刺激的な環境で「自分がこれまで思っていた以上にまだまだ仕事を頑張れる」と意気込む二宮さんの転職体験談を紹介しよう。
※本記事の内容は、2023年11月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで83日間
転職前
- 業種
- 機械メーカー
- 職種
- 人事
- 業務内容
- 人事管理、労務管理、制度企画、労働組合対応、採用、育成、海外人事など
転職後
- 業種
- 自動車メーカー
- 職種
- 人事
- 業務内容
- キャリア形成支援、人事制度運営、組織風土改革の推進など組織開発に関する業務
東京での単身生活で強くなった、広島への想い。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
私が在籍している人材開発部は、社員の自律的なキャリア形成支援、人事制度運営、組織風土改革の推進など組織開発に関する業務を担っています。その中で私自身は大きくは二つの業務に携わっています。
一つは、生産や開発・営業など、それぞれの機能分野ごとにHRビジネスパートナー(HRBP)のようなかたちで部門と並走して、配置や昇格・処遇などについての困りごとの相談に乗り、解決に向けて施策を策定し実行すること。
もう一つは組織開発です。組織が活性化し、より機能していくように様々なプログラムを策定し実行します。人材育成研修に似ていますが、組織開発では「個人」ではなく「組織」の側面からアプローチして組織改善を図る目的があります。
入社前のご経歴を教えてください。
大学を卒業後、大手機械メーカーに就職しました。入社後、東京の本社や広島にある生産拠点内の人事労務部門で人事管理、労務管理、制度企画、労働組合対応、採用、育成、海外人事など幅広い業務に携わりました。
給与・評価などの制度設計や運営、労務管理や人材データの活用のための各種システム構築まで、前職では人事分野の主な実務をひと通り経験しました。
転職のきっかけは?
前職は本社と広島にある生産拠点内にそれぞれ人事機能があり、本社と広島で役割分担をして人事業務を行っていました。しかし、その体制が見直しとなり、大半の人事機能を本社に移管することに。私はそれまでの3年間を広島で過ごしていましたが、その体制変更に伴い本社へ異動となりました。
偶然ではありますが、大学時代に知り合った妻の地元が広島で、妻は地元である広島での定住を望んでいました。また、私自身も趣味である山登りやサイクリングなどを通じて広島での生活がとても心地良いと感じており、「将来的には広島に家を持ちたい」と思っていました。
東京へは単身赴任でしたが、単身生活の中で広島への想いをより強くし、広島に戻ることを希望して転職活動を開始しました。
転職活動はどのように進めましたか?
最初は、まずは情報収集のつもりで大手紹介会社数社に登録し、面談をしました。ただ、その時の面談ではあまり良い手応えが得られなかったんです。
経験や希望など、表面的なところだけを確認されて、「それならこんな求人があります」と、通り一遍な対応だと感じました。私自身もその時はまだ「積極的に転職したい」というモードではなかったこともあり、「ちょっと違うな」と思ってその後は関係が続きませんでした。
そこから、本格的な活動に向けて自己内省やキャリアの棚卸しをして職務経歴書を作成しました。前回のこともありましたから、今度は大手のスカウト系サービスに登録してスカウトを待つことにしました。そこでリージョナルキャリア広島の瀬川さんから連絡をいただき面談をお願いしました。
瀬川さんは今の会社に入社を決めた理由や仕事に取り組む中で私が何を感じていたか、私生活やライフプランについてなど、私のことを知ろうとしてくれている姿勢が強く伝わってきましたし、実際に理解してもらえたと感じました。また、それだけではなく、的確にアドバイスをいただけた点もありがたかったです。
例えば、今回の転職で私は何よりも広島という場所を重視していたため、「キャリアや待遇は諦めざるを得ない」と考えていました。
しかし瀬川さんは、「広島での暮らしが目的であっても、キャリアも長期目線で考えないといけない。諦めてはいけない」と、この点を最初から一貫して言い続けてくれました。
私のマインドセットを的確に捉えて、うまく軌道修正してもらったと感じています。
今の会社に決めたポイントは?
消費者視点ですが、マツダ車の洗練されたデザインや独自の思想があるこだわりぬかれたプロダクトには昔から惹かれるところがあり、自動車で言えば前々から興味を持っていました。
求人を紹介してもらい、そこからさらにいろいろと調べてみると、フィロソフィーであったり、ものづくりやプロダクトの先にいるお客様への想いであったり、その考え方・価値観にとても共感しました。
また、自分がこの会社の一員になるという視点で見た時に、面接での質問から自分自身が成長できる環境であることを感じ取れました。
私の経験・成果について細部に至るまでかなり鋭い質問をされ、もちろん一端ではありますが、面接でのやり取りから、深い思考レベルやトレンド・アカデミックなところも押さえて、それを仕事に落とし込んでいることを窺い知ることができました。
一言で言えば、レベルの高さ、人事としてのプロフェッショナリティを感じました。この点が大きな決め手です。
意識の高い同僚に刺激を受け、「自分ももっと頑張れる」と思える日々。
転職して良かったと思うことは?
マツダは大企業ですし、入社前には「大企業特有のセクショナリズムやそこからくる風通しの悪さみたいなものは多少なりともあるだろうな」と想像していました。しかしながら、そうではなかったことに驚きましたし、この点はとても良かったです。
ちょっとしたやり取りの中からも人を大事にする姿勢が伝わってきますし、時代の変化に合わせて変わっていこうとする意識、きちんと対話の中から新しいものを生み出していこうとする意識、階層は関係なく、忖度もなく、「言いたいことが言い合えることが大事だよね」という風土が根付いていると感じます。
「上から言われて」ではなく、しっかりと自分事として受け止めて仕事に取り組んでいる方々が本当に多いですね。それは私自身とても刺激になりますし、モチベーションも上がります。
変な言い方ですが、自分がこれまで思っていた以上に「まだまだ仕事を頑張れるな」と思えていますし、そう思えるような環境に身を置けていることをとても嬉しく思います。
困っていることや課題はありますか?
やはり人事の仕事は「現場をわかってなんぼ」の世界だと思っています。ただ、自動車メーカーは様々な部署があるので、とにかく現場がたくさんあります。見ないといけない現場が多種多様です。
私自身はどっぷり現場に入り込んで「お前まだそこにいたのか!」とか言われながら現場のリアルな困りごとを見つけたいのですが(笑)、すべての現場においてそのような対応はできません。
そのため、どう優先順位をつけて、どう回っていくか、ひとつひとつどこまで深く入り込むか。成り行きでやっていたら失敗するという感覚があるので、今まさに試行錯誤しながら取り組んでいるところです。
生活面の変化はありましたか?
もともと広島で生活をしていたので、その意味では生活面での大きな変化はありませんが、気持ちの面の変化は大きいですね。今後も広島で暮らしていけるという心理的な安心感が大きいですし、それは私だけでなく家族も同じで、とても喜んでくれています。
例えば、「少し先に家を買いたいね」と妻と話をしていますが、場所が定まったことで将来に向けていろんなことを決めていけるのがとても嬉しく、そんな話をしているときはとても楽しいですね。
転職を考えている方にアドバイスをお願いします。
私のまわりでも転職を考えている人がそれなりにいます。話を聞いてみると、こだわりが強すぎて上手くいっていない人、転職をしたいと言いながらも書類を作っていなかったり、行動に移せていない人が多いように思います。
まずは行動すること、そして何を大事にしたいか軸を定めることが大事だと思います。すべての希望が叶うに越したことはありませんが、それは簡単なことではありません。軸を定め、その点だけはブレず、それ以外の部分は動きながら柔軟に考える、そんな行動力と柔軟性が大事ではないかと思います。