スター精密株式会社
水野学さん(仮名・新規事業開発) 42歳
迷った末の40代の転職。キャリアコンサルタントをトリガーに自分の方向性が定まった。
難関の工業系大学院を卒業し、新卒で大手自動車部品メーカーに入社した水野さん。入社後は研究開発職として、自動車関連部品の開発や新規事業部署の立ち上げの際にマネージャーを務めるなど、安定したキャリアを築いてきた。
しかし、仕事の仕方に疑問を抱くようになり、転職を検討し始めたものの年齢は40代前半。「転職するには遅いのではないか」、また管理職になって久しいため、「ソフトウェアなどの開発現場に必要な技術力を持っていないこともネックになるのでは」と、転職に成功する自信が持てなかったという。
そんな折、リージョナルキャリア静岡の担当コンサルタントに出会い、自分に何ができるのか、何がしたいのかがクリアになっていく。そして前職での経験を活かしつつ、自分がやりたいと思う仕事を手に入れた。そんな水野さんの転職活動について、詳しく伺った。
※本記事の内容は、2023年4月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで350日間
転職前
- 業種
- 自動車部品メーカー
- 職種
- 研究開発
- 業務内容
- 自動車部品の研究開発。新規事業部署の立ち上げ。
転職後
- 業種
- 工作機械・特機の世界シェア製品を有するグローバル企業
- 職種
- 新規事業開発
- 業務内容
- 既存事業と並ぶ、将来性のある新規事業の創出(市場・事業領域調査、新規事業案の検討など)
研究開発職として、本当にユーザーが求めているものを形にする仕事がしたい。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
スター精密株式会社には現在二つの事業があります。一つ目は精密部品の加工に適した工作機械の製造・販売。二つ目は小売店のレシート印刷などをする小型プリンター等の製造・販売です。
私は静岡市にある本社に勤務するようになって3ヶ月ほど経ったところですが、その二つの事業に加えて三本目の収益の柱となるような、新しい事業を立ち上げるために採用されました。
現在は、自社が持っている技術や事業領域を軸にしながら、新規事業として「誰に」「何を」「どのように」提供するかを常に考えながら、市場動向や事業領域、協業パートナー企業の調査などを担っています。
入社前のご経歴を教えてください。
東京出身で工業系の大学に進学し、大学院では人間工学の研究室に所属していました。新卒時の就職活動では、研究テーマを活かすことができる様々なジャンルの会社を志望し、大手自動車部品メーカーに入社しました。
入社後は、研究開発職として自動車部品の開発に携わりました。10年ほど経った頃にはマネージャーとして新規事業部署の立ち上げチームに参画。新しいセンサーの開発などを手がけていました。
転職のきっかけは?
最近の自動車業界は、自動運転やEVの技術開発が進み、非常に盛り上がっています。しかし私は技術開発職として携わる中で、「それは本当にユーザーが望んでいることなのか?」と懐疑的になってしまいました。
自動車メーカーが求めるものを形にすることも大切なことですが、研究開発職としてもっとお客さんに近いところで、本当にユーザーが求めているものを形にするような仕事がしたいと感じるようになり、転職を考え始めました。
転職活動はどのように進めましたか?
リージョナルキャリア静岡(運営:株式会社リンク・アンビション)の静岡に特化した転職支援という点に魅力を感じ、まず面談を受けたのですが、その時直感で、「ここに頼めばいい会社に繋いでもらえそうだ」と感じました。
他の有名な転職サイトなどに登録することも考えたのですが、前職が忙しかったので、たくさん案内してもらってもこちらが対応できないだろうと判断しました。
リージョナルキャリア静岡の担当コンサルタントの対応はすごく良かったですね。最初の面談では、まだ考えがまとまっておらず、抽象的なことや理想的なことを語っていたと思います。
しかし、会話を重ねるうちに、自分は具体的に何ができるのか、何がしたいのか、ということがはっきりしていきました。私の頭の中を紐解いてくださったからこそいい転職ができたと思うので、お任せして良かったなと思いました。
今の会社に決めたポイントは?
異なる業界で新しいことに挑戦したいという思いがあり、そんな中で自分が希望していたユーザーに近い領域で新規事業創出に携われる、という点に魅力を感じました。
今の会社が新規事業部署を丁度立ち上げるタイミングで、私が前職で携わってきた新規事業創出活動の経験や知識が評価され、マッチングできたんだと思います。
入社してから良いと思ったポイントは、会社が社員を大切にしてくれるところ。私には保育園に通う子どもがいるのですが、「まだ手がかかる時期だから、家族のために時間を使って」と、直接声をかけてくれる方もいます。
仕事面でも会社の方針が明確に示され、皆が力を合わせながら目標に向かって主体的に行動していく。風通しの良い職場だなと感じています。
新規事業の成功確率は「千三つ」。簡単ではないけれど、やりがいを感じる。
転職していかがですか?
率直に良かったと思います。以前は自動車メーカーのことを考えて仕事するというスタンスでしたが、今の会社では、ユーザーに近いところで本当にユーザーが求めているものを形にしていくスタンスです。純粋に使う人が求めるものを形にする仕事に就けたのが嬉しいですね。
新規事業の成功確率は「千三つ」と言われていて、産みの苦しみがあります。簡単にできるものではなく、できるかどうかもわからない。でも、だからこそ面白いし、ワクワクする。挑戦できることにやりがいを感じています。
転職して良かったと思うことは?
転職前に期待していたことは得られていますし、勤務時間にメリハリがついたことも良かったです。前職はかなり忙しくて、休日出勤することもありました。多くの開発テーマのマネジメントと社内向けの報告資料作成の両方の業務を担っていたので、いつも時間が足りないなと感じていました。
今は新規事業立ち上げという業務の性質上、大きなサイクルで忙しい時とそうでない時の差があると思いますが、メリハリをつけて働けるのがいいと思います。
私は40代前半なので、「年齢的にも転職にはギリギリかな」とか、ここ最近は管理職だったので、「ソフトウェアなどの開発現場に必要な技術力を持っていないのが不利ではないか」と思い、転職は難しいと勝手に判断して何もしていなかった時期もありました。
しかし蓋を開けてみたら転職することができ、とてもいい再スタートを切ることができました。こんなことなら、もっと早く一歩踏み出せば良かったなと思いました。
困っていることや課題はありますか?
今の職場には能力の高い人がたくさんいて、自分はまだまだ経験値が足りないなと感じますね。また、転職前に想像していた以上に、業界や企業文化の違いに戸惑いを感じることもあります。
前職の経験を活かせている部分もありますが、自分に足りていない能力をどうやって埋めていこうか考えながら、仕事への取り組み方を見直しています。メリハリをつけて働けるようになった分、帰宅後に勉強する時間を取れるようになりました。
生活面の変化はありましたか?
転職後の家族への影響を考えて、転職先は静岡市内もしくは市内から通勤1時間圏内で探そうと決めていましたので、生活環境自体は変わっていません。
しかし前職の時は帰宅時間が遅かったので、そういう意味で生活はガラリと変わりました。平日も子どもと一緒に夕食を食べたり、お風呂に入ったりすることができて、幸せを感じますね。家事も手伝えるようになったので、妻も喜んでくれています。
それから、学生時代から合気道を続けてきたのですが、仕事が忙しくなり、コロナ禍で更に遠ざかっていました。これから再開しようと思っています。自分の趣味の時間を楽しめるようになったのも嬉しいですね。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
転職しようか悩んでいるのであれば、実際に転職するかしないかは別にして、一度転職活動の動きをとってみるのがいいと思います。私はリージョナルキャリア静岡の担当コンサルタントに話を聞いていただいたおかげで、自分の方向性が定まりました。
プロのコンサルタントに話すことで、自分が本当に転職したいのか、転職すべきなのか、見えてくるものがあると思います。私はいいコンサルタントの方に出逢えて、本当に幸運でした。
それから私は40代という年齢を気にしていましたが、実際に動いてみた結果、今はそんなに気にする必要はないかなと思いました。自分で壁を作ってしまうのはもったいないですよ。40代の方も、ぜひ挑戦してみてください。