2023.08.01
松阪商工会議所DXセミナー(伊勢ゑびや大食堂に学ぶデータ経営)に参加しました!
こんにちは。リージョナルキャリア岐阜の坂です。
先日、三重県松阪市に出張し、松阪商工会議所が主催する「DXセミナー」に参加してまいりました。
講師は伊勢神宮おはらい町通りの「ゑびや大食堂」を運営する、有限会社ゑびや代表の小田島 春樹氏。
小田島氏は自社でのDXを皮切りに、サービス業のデジタルシフト支援を手掛けるスタートアップ「BILAB(エビラボ)」も立ち上げ、その活動は各方面から注目を集めています。
2時間があっという間に感じるほど濃い内容でしたが、当セミナーを通じて得た学びや気付きについて、本日はその一部をご紹介します。
なぜ飲食業でDX?理由とその経緯
北海道出身の小田島氏は、大学卒業後ソフトバンク(株)にて組織人事や新規事業、営業企画に携わったのち、2012年に妻の実家である「有限会社ゑびや」に入社されました。(※参考:松阪商工会議所 講師プロフィール)
セミナーでは小田島氏が妻の実家の家業を継ぐに至るまでの裏話もお聞きしましたが、本題である「DXを取り入れた理由」は以下2つだそうです。
■「経営を楽にしたい」
→ 経営(作業)をデジタル化するためにSaasを導入し時間を生み出す
■「売上・利益を伸ばしたい」
→ IoT活用によるデータ分析で「最も売れる」を見つける
経営(作業)をデジタル化するためにSaasを導入し時間を生み出す
「家族経営ではやることが多過ぎて何も出来ない」という課題に対し、 「利益を生み出さないけどやらなければならない」という業務のほとんどをデジタル化しました。
具体的に取り組んだのは以下のような事柄です。
・タイムカードクラウド化
・受発注システム導入(購買は全てWEBで完結)
・経理業務ほかバックオフィスのアウトソーシング etc...
今ではグループで8.5億円ほどの売上を誇りますが、バックオフィスは経理チェックや採用業務程度しか担当は付けておらず、実質0.5人相当でカバーしているそうです。
Saas・アウトソーシングの利用料を合計すると月額70万円程度を要するそうですが、それ以上に売上・利益を伸ばす仕事に人員を配置できるというメリットがあります。
また、費用対効果云々ではなく、プライベートも含めていかに時間を生み出すかを重視しておられます。
ちなみに、導入サービスを検討する際には「サブスクリプション」「安価」「すぐ辞められる」ということを判断基準にされているそう。
その他、デジタル化によってタスクの"見える化"を行うことで引継ぎも容易になり、従業員の退職問題にも必要以上に振り回されることが無くなったとのことです。
【学び その1】
デジタル化をすれば売上が増えるのではなく、デジタル化をすることで時間を創出し、売上・利益を伸ばす仕事をできる余力をつくる。
IoT活用によるデータ分析で「最も売れる」を見つける
■顧客の行動を解析し、売り上げに繋げる
伊勢神宮のマーケット分析や今後の日本の人口構造の変化から、同じことをしていても儲けにくくなるという前提の下、同社はさまざまなIoTを駆使して変化し、売上を伸ばしています。
今では自社で蓄積されたノウハウを「EBILAB(エビラボ)」でサービス業の顧客にも提供しており、同社サービス「TOUCH POINT BI」はいわば"店舗版Googleアナリティクス"として活用されています。
具体的には、店舗や街中にセンサーを設置して人の流れを把握し「自店にはどれぐらいの割合で来店しているのか」また「そもそも来店する可能性のある人がどれぐらいいるのか」が"見える化"されています。
また、どのように人を呼び込むのか、どのように客単価を上げるかといった施策に対して、全て効果測定を行い「ダメな施策を辞める」ということを徹底されています。
例えば「クーポンを配布のはどのようなタイミングで渡すのが効果的なのか」といった緻密な分析を行っています。
ある従業員の発案でトイレにポスターを貼ってみたところ、大当たりして売上が伸びることもあったそうですが、この「トイレにポスターを貼る」という簡単な施策がどれほどの効果をもたらすのか、ということについても具体的に分かるようになります。
■顧客の「期待の不一致」を解消する
さらに小田島氏は、来店された全ての方の購入前と購入後の属性を分析し、来店された方が買いたいと思う商品を揃えるということを実践されています。
同氏の言葉をお借りすると「"期待の不一致"を解消する」ということです。
例えば来店客のうち男性が4割だったのに対し、実際に商品を購入したのは男性が2割だった、となると、男性客が買いたいと思う商品が揃えられていないかも...、ということになります。
この場合、男性客にも受け入れられるような商品のパッケージやラインナップの見直しなど、売上げを伸ばすための具体的な施策を講じることができます。
実際に購入した顧客のデータを保有する会社はたくさんありますが、同社では「来店したのに買わなかった顧客」を知ることで売上を伸ばすことができる、という考え方を採用しているのです。
【学び その2】
自社のお客さまを多面的な分析からより正しく知ることで、売上を伸ばすための施策を考えることができる。
まとめ
以上、セミナーの内容をざっとお伝えしましたが、いかがでしたか?
上記はセミナーのほんの一部ですが「学生時代の受験勉強では当たり前のように赤本(過去問)を使って志望校の傾向を知ろうとしていたのに、ことビジネスの現場ではデータ(過去の帰結)が活用されていない」とお話になっていたことがとても印象的でした。
最後に設けられた質疑応答の時間に、参加者から「DXへの初期投資についてはどうやって捻出したのか?」という質問があったのですが、それに対して小田島氏は「最初の頃は店頭に屋台を出してアワビ串を焼いてお金を稼いだ」と答えておられました。
「DX」というとテクニカルでスマートな印象がありますが、その成功の裏には隠された泥臭い部分があるのだ、ということにとても共感を覚えました。
地方からでも新しいことは始められる、ということを体現しようとする小田島氏に刺激をいただいたとともに、地域内で元気な会社が一社でも増えるよう当社も全力でお手伝いをしていたい、と決意を新たにした、今回のセミナーでした。
最後までご覧くださりありがとうございました。
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