株式会社広島銀行
木下麻子さん(人事) 39歳
迷いのあった移住が、思いがけない出会いで実現。手に入れたのは新たなやりがいと最高の子育て環境。
出産・育児を経ながらもブランクなく仕事を続けてきた木下さん。広島に住む夫の家族に介護サポートの必要が生じ、転職を考えるようになった。
仕事をしない人生など考えられない。IT・広告業界で積み重ねた人材開発の経験を活かしたい――そんな希望を伝えた転職コンサルタントから提案されたのは、自身では想定していなかった銀行。「自分には向いていないのでは」と、当初は戸惑った木下さんだったが、銀行が求めていたのはまさに木下さんのような改革者だった。
※本記事の内容は、2017年2月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで164日間
転職前
- 業種
- IT・広告
- 職種
- 人事
- 業務内容
- 営業→商品企画→人事
転職後
- 業種
- 銀行
- 職種
- 人事
- 業務内容
- 人事制度構築、運用
東京から夫の実家のある広島へ。“仕事をしない”という選択肢はなかった。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
人事制度の企画・運用の仕事をしています。給与・賞与の計算から、新しい人事制度の導入、女性活躍推進の施策実行まで、担当業務は多岐にわたります。
制度をつくる川上の部分から、実際に運用する川下までを全部見られる、業務の幅の広さが新鮮で、とても面白いです。
入社前のご経歴を教えてください。
大学卒業後、東京のIT・広告関連企業に15年間勤め、営業や商品企画、人事業務に携わりました。その間に結婚し、3人の出産をしましたが、産休・育休を使いながら、ほぼブランクなく仕事を続けました。
営業時代のクライアントは企業の人事担当者でしたし、その後人事部では主に人材開発を担当し、商品企画部門でも求人情報メディア担当だったので、ずっと人事分野を歩んできました。また、人材開発部門の管理職として、採用面接から人員配置などの制度運用にも携わっていました。
転職のきっかけは?
広島にいる夫の家族が体調を崩し、介護の必要が生じたのがきっかけです。もちろん、15年続けてきた仕事を辞めることに迷いはありました。管理職を任されていたキャリアを捨て、住み慣れた東京を離れ、新しい土地で果たして何が得られるのか、かなり悩みました。一方で、結婚したからには夫の家族も私の家族なので、介護のサポートをしたい気持ちもありました。
ただ、自分にとって仕事はすごく大事なもので、”仕事をしない”という選択肢はありませんでした。問題は魅力的な仕事が広島にあるかどうかでしたが、幸いにもリージョナルキャリア広島で広島銀行を紹介され、転職に至りました。
転職活動はどのように進めましたか?
リージョナルキャリア広島のU・Iターン相談会に参加したのが最初です。まだ広島への移住を決めかねていた頃で、「広島に職があるかどうか、とりあえず聞いてみよう」と、夫と参加しました。
広島ならどこでもいいというわけではなかったので、非常に限定的な条件提示をしました。これまでのキャリアを活かせるキャリアアドバイザーや人事研修講師としての職はないか、そして個人事業主として雇用契約ができないか、という話をしてみたのですが、希望の条件に合った仕事はありませんでした。
その後、大学のキャリアセンターを紹介され、面接を経て内定をいただきました。しかし、あとは返事をするだけという時、「決める前に、もう一社受けてみませんか?」とコンサルタントから連絡がありました。それが広島銀行でした。
銀行と聞いた時は「自分には絶対に向いていない!」と思いました(笑)。それでも「先方はぜひ会いたいと言っている」と聞き、面接を受けました。そのときは、ここで働くことになるとは微塵も思っていませんでした(笑)。
今の会社に決めた理由は?
まず、面接の際、非常に歓迎モードで迎えてくれたんです。「すぐにでも来て欲しい」という思いが伝わってきて、自分を求めてくれる会社で今までの経験を活かすのも悪くないな、と思えたことが大きかったです。
先に内定をもらっていた大学の方は「こちらはこういう組織ですが、そこで頑張ってくれるなら」というスタンスでしたが、今の会社は私の勤務条件に、なんとか折り合いをつける提案をしてくれました。
また、「順応」を求められるよりも、「変革」を期待される方が私には合っていると思いました。今、最も変革が求められている銀行業界に足を踏み入れてみるのも悪くない、むしろ面白そうだなと思い入社を決めました。
転職で自分の価値を再発見。尖った自分のまま伸び伸びと。
転職していかがですか?
今回の転職にあたり、私は正社員ではなく「エキスパート」という雇用形態を選びました。一番上の子どもの小学校入学と転職の時期が重なるため、1年間は時間的に無理のない勤務形態を希望していたからです。
面接時に正直にお話したところ、「ならばエキスパートとして1年働いてみませんか」と、契約社員としての働き方を提示していただきました。
現在は正社員登用試験のエントリーをしています。会社全体が残業を当然としない風土に変えていこうとしている中、自分がそれを体現していくことも会社への貢献になると思ったからです。驚いたことに、会社には「この風土に馴染んではいけない」とまで言われ、異業種から転職した自分を大きく受け入れてもらっていることに、感謝しています。
転職して良かったと思うことは?
自分ではできて当然と思っていたことが、別の集団に入るとすごく重宝してもらえる。転職者にしかできないことがあるのだと気づいたことですね。
逆に言えば、自分が苦手なことでも、それを重要とする組織の中に入るのであれば学ばなければいけない、とも感じています。たまたま異質の文化を持つ会社に入ったために、際立って感じるのだと思いますが、面白い変化を味わっていると思います。
生活面の変化はありましたか
「どこへ行っても自然が豊かで、どこへ行っても空いている!」と言うと、東京の人にはとても羨ましがられます。特に子育てには最適な環境ですね。家の周りはタヌキが出るほど自然が身近にあるのに、広島市内は東京とさほど変わらない風景。東京での生活は、空気も綺麗とは言えなかったと思います。たくあんを作ろうと大根をベランダに干しておくと、一日で真っ黒になってしまったこともありました(苦笑)。
車で30分も行けば広大な自然があるので、毎月キャンプに行っています。子どもたちも虫の名前をたくさん覚えて、アウトドアを楽しんでいます。子どもたちはまだ、東京にいる友達が恋しいこともあるようですが、、移住して良かったと思っています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
業界や待遇など条件を明確に設定した「条件マッチング」の転職活動をするのも、一つのやり方だとは思います。ただ私の場合は、実現したい理想や思いをコンサルタントに率直に相談してみることで、新たな出会いがありました。
顔の見えるコンサルタントに、自分自身もオープンになって話をすることによって、いい出会いに巡り合えたのだと思います。
最初に今の会社を勧められたときは『銀行!?』とも思いましたが、「自分のことをわかってくれている」というコンサルタントへの信頼があり、面接を受けてみようと思いました。その結果、非常に満足の行く転職ができました。あまり思い込みを持たず、コンサルタントをうまく活用して、いろいろな出会いを探してみても良いのではないかと思います。