株式会社ザイマックス北海道
高橋淳也さん(プロパティマネージャー) 31歳
自分の得意が活かせるのは、思いもよらない業種と職種だった。
愛知県出身の高橋淳也さんは、2020年9月から不動産管理会社である株式会社ザイマックス北海道で働いている。
小学校6年生の時に家族旅行で訪れて以来、北海道にはずっと良いイメージを持っていたといい、高校卒業後に京都の大学へ進学するものの、1年後には北海道大学農学部へ。北の大地の空気はやはり肌に合い、以来札幌に住み続けている。
新卒時は食品加工関連や農業関連の会社を中心に就職活動を行っていたが、野球や音楽が好きだったこともあり札幌のドーム球場運営会社へ入社。ところが30歳を迎える頃、その球場を拠点としていたプロ野球チームの本拠地移転という大きな出来事が起こる。
転職を考え始めた高橋さんだったが、同業が少ない特殊な業界でキャリアを積んできたため、「自分の経験や能力が活かせる仕事があるのだろうか?」と当初はイメージがつかなかったそう。いかにそこから天職と呼べるような今の仕事と出会ったのだろうか。
※本記事の内容は、2023年3月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで180日間
転職前
- 業種
- 施設運営
- 職種
- イベント運営、店舗管理
- 業務内容
- テナント管理、新規イベントの企画・運営
転職後
- 業種
- 不動産
- 職種
- 不動産関連専門職
- 業務内容
- プロパティマネジメント(不動産管理)
本質を捉えて多面的に見る。折衝や調整の能力を不動産管理に活用。
現在の仕事はどんな内容ですか?
株式会社ザイマックス北海道でプロパティマネジメント(不動産管理)の仕事をしています。主要なミッションは、オーナーの代行として物件の資産価値を最大化することです。
そのためにはまずオーナーの求める物件運営がどのようなものなのかを理解することが大切です。自分の経験や引き出しだけでなく、場合によっては全国に展開するザイマックスグループのノウハウを用いて「こうしたらさらに物件の価値が高まります」という提案を行っています。
その一方で入居しているテナントからは、「賃料をもっと下げてほしい」「トイレをもっと増やしてほしい」といった要望をいただきます。
入居者の満足度を高めることはとても大切ですが、そこはお金が絡む話。いかに全体のバランスを取りながら資産価値を最大化するのか…。オーナー側とテナント側の両者の希望や要望の本質を押さえ、物事を多面的に見ながら一番いい落としどころを探していくのが我々の役割です。
そのためには相手と真摯に向き合うことを大切にしています。
入社前のご経歴を教えてください。
野球が好きだったということと、大学の時にアコースティックギターのサークルで音楽をやっていたこともあり、大学卒業後は札幌のドーム球場運営会社に総合職として入社しました。様々な部署を経験しましたが、一番長く携わったのは自主イベントの企画運営の仕事です。
ドーム球場は野球やサッカーのホームゲーム、コンサートなどに建物を貸すことが主事業ですが、自主事業としてイベントを企画・実施し、収益を上げることもしていました。
ぶ
例えばお子さんに人気の大型エア遊具を集めたイベントや、道内の作家さんたちが集まるハンドメイド品の販売イベントの立ち上げも担当しました。
転職のきっかけは?
地元のプロ野球チームが本拠地を移転することになったのが大きな転機です。私個人としては新しい事業開発に向けた大きなチャンスがあるだろうと考えて気持ちを切り替えていましたが、30歳という年齢が迫り転職をするにはラストチャンスかなと考えたのもきっかけです。
ひとつの会社しか知らなかったため、外の世界を見てみたい気持ちがありました。自分にチャレンジできそうな仕事や、これまでの経験にマッチする仕事があるのかどうかを知りたくなり、「必ず転職する」と決めてはいたわけではありませんが転職活動を始めてみました。
転職活動はどのように進めましたか?
入社して携わってきた仕事が特殊だったこともあり、次のキャリアに自分の経験や能力の何を活かせるのかイメージがわきませんでした。大手の転職支援会社に登録をして、いくつか求人情報を紹介してもらったものの、ピンとくる仕事はありませんでした。
そんな時にとある求人サービス上で、リージョナルキャリア北海道(リージョンズ株式会社)から案件を紹介してもらいました。リージョナルキャリア北海道の存在を知ったのはこの時が初めてです。
調べてみると札幌地場に強い転職支援会社であるということを知り、「ここに相談をすれば自分に合った会社を紹介してくれそうだ」と勘が働きました。
そして、担当コンサルタントの鈴木さんが一緒にキャリアの棚卸をしてくれて、その後に紹介いただいたのがザイマックスでした。
今の会社に決めたポイントは?
プロパティマネジメントという仕事に関してはもちろん経験はなく、世の中にそういう職があることすら知りませんでした。ただこの仕事の要件として、利害関係者と折衝しそれぞれの要望を調整することが求められていました。
いろいろな立場の人がいる中で、一見相反するような要望を納得するところに落とし込む。それはまさに前職で私が得意としてきたことであり、その経験がプロパティマネジメントの仕事に活かせそうだと思えたことが決めたポイントです。
また当時ザイマックスは分社化するタイミングで、「創業メンバーの一人になりませんか?」「創業メンバーとして新たな風を吹き込んでください」という求人メッセージにも惹かれました。その言葉が、新たなステージで挑戦したいという自分の心に響きました。
上司から学んだマインドが、職業人としての自分を強くした。
転職していかがですか?
入社時の人数は35人ほどで、そこからどんどん新しいメンバーが増えていきました。「私も先日入社したばかりなんですよ」という人が多い環境で、新しくスタートする身としてはやりやすかったです。
入社してすぐに新球場の統括管理案件に入札するという話があり、プロジェクトリーダーとして私に白羽の矢が立ちました。
会社からするとまだどのような人間かわからないだろう自分に、そのような大きな仕事を任せてもらえて、驚くとともに「期待に応えられるよう頑張ろう」と思いました。
またザイマックスは全国にグループ会社があり、エリア間の連携ややり取りが頻繁に行われていることが新鮮でした。会社の特徴として「おせっかい文化」が根付き、人の好さを感じることが多かったです。
他エリアに何かを問い合わせた時にも面倒くさがらず、「本来の業務の時間を奪ってしまって大丈夫かな…」とこちらが心配になるくらい、丁寧に対応してくれました。そんな会社の空気感がとても好きです。
転職して良かったと思うことは?
新球場の入札案件もそうですが、仕事を任せてもらえる部分が大きいことです。「こういうことやりたいな」と思えば挑戦できる環境があり、成果を出せばしっかり評価をしてくれます。
当事者意識を求められるおかげで、仕事に対して「自分ならどうするかな、どうしたいかな」と日頃から考えるようになりました。やればやるだけ周囲が反応してくれるところも転職して良かったと思う点です。
また仕事をする上でのマインドを上司から学びました。プロパティマネジメントはオーナーとテナントの間で板挟みになる大変さがありますが、「だいたいの仕事はなんとかなる。改めて考えれば大したことではない。死ぬわけじゃない」というマインドを教わりました。
それからは一見解決が難しいように思える難しい状況もどのようにクリアしていけば落し所を見つけられるのかと、割り切って楽しく働けるようになりました。
困っていることや課題はありますか?
2022年10月からマネージャーになりました。いまは9名の部下を持ちチーム全体のマネジメントを行っています。
自分がプレイヤーだった時に目指していたのは「あなたなら任せられる」と物件オーナーから信頼してもらえること。今後は、そのように思っていただける部下を育てていきたい。そして将来的にはザイマックス北海道を北海道で一番の総合不動産会社にしていきたいです。
生活面の変化はありましたか?
以前は土日勤務が基本でしたが、週末にしっかり休めるようになったことが一番大きな変化です。家族と過ごす時間が増えました。
私には6歳と2歳の子どもがいますが、上の子が通うピアノ教室や体操教室の送り迎えもできるようになりました。
また勤務がフレックス制のため、平日の午前に用事を済ませたい時や、どうしても子どものお迎えを早めに行かないといけない時なども柔軟に対応できるようになりました。
上の子は春から小学生ですが、運動会など土日が休みでないと参加できないイベントがたくさんありますし、子どもたちが大きくなるこのタイミングで転職をして良かったと思います。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
やりたいことが明確にあって転職する人は少ないのではと思います。私の場合も「転職して自分に合う職業が果たして世の中にはあるんだろうか?」というところからスタートしましたし、「自分の経験を次のステップで活かせるのか?」と不安になっている方も多いかもしれません。
転職活動をしてみて思うのは、世の中には知らない職業がたくさんあるということです。ただし自分の経験を活かせる職業を、自力で見つけるのは難しい。ですから、リージョナルキャリア北海道のような転職支援会社や友人など、いろいろな人に相談してみることをおすすめします。
自分だけで調べたり考えたりしていてもなかなか答えは出ません。相談をしてフィードバックしてもらうのが近道です。その中で、自分がやりたいことは今の職場で実現できると改めて気付くかもしれないし、私のように思いもよらなかった職業や会社に出会えるかもしれません。