サツドラホールディングス株式会社
酒井雅之さん(経営企画) 36歳
首都圏で培ったスキルを活かし、北海道の成長企業で経営改善に挑む。
東京と名古屋でIT関係のコンサルタントをしていた酒井さんには、子どもが生まれた頃から温めていた想いがあった。それは北海道で子育てをすること。妻の地元である北海道へ訪れるたびに、自然豊かな環境に魅了されていったという。
しかし、転職活動を始めても自分のスキルを存分に活かせそうな会社となかなか出会えなかった。そんなときにリージョナルキャリア北海道から紹介されたのが、北海道を中心にドラッグストアチェーンを経営するサツドラホールディングス。当時の募集職種は自身の希望とは異なっていたものの、酒井さんは諦めずにリージョナルキャリア北海道を通じて社長に直接アプローチを試みた―。
強い意志で念願の生活を実現させた酒井さんの転職ストーリーを紹介しよう。
※本記事の内容は、2020年1月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで466日間
転職前
- 業種
- IT
- 職種
- コンサルタントゼネラルマネージャー
- 業務内容
- 人事・会計システムを一般企業に導入するITコンサルタントとして従事し、東日本・中部エリアのゼネラルマネージャーとしてマネジメントに従事
転職後
- 業種
- 流通・小売・サービス
- 職種
- 経営管理
- 業務内容
- HD経営企画として社内の様々な経営課題の抽出、改善策立案、実行など
小学生が満員電車で通学する姿に愕然。東京で子育てを続けるイメージがわかなかった。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
ドラッグストアチェーン「サツドラ」を中心に多角経営に取り組んでいるサツドラホールディングスで働いています。新設部署となる「経営管理グループ」の立ち上げとともに私も入社しました。グループリーダー付という役職で社内のさまざまな課題を改善していくことが私の仕事。現在取り組んでいるのは人事ですが、今後はITを通したあらゆる業務の改善が、私のミッションになっていくと思います。
入社前のご経歴を教えてください。
私の出身は大阪で、神戸大学を卒業後に大手証券会社に就職し、東京で個人投資家向けの営業をしていました。しかしその会社は11か月で退職。電気自動車関係のベンチャー企業で半年ほど海外投資家との交渉を担当した後、東京にある6,000人規模のIT企業に転職しました。
それまでプログラミングの経験はなかったのですが、転職後に勉強し、人事・会計システムを一般企業に導入するITコンサルタントになりました。その会社では10年働き、最終的には東日本・中部エリアのゼネラルマネージャーを任されていました。
転職したきっかけは?
東京で出会った妻が北海道出身だったんです。里帰り出産で私も頻繁に妻子の元に通ううち、北海道のことがすっかり気に入ってしまいました。近くに大きな公園があって、こういう場所で子育てがしたいと感じたのです。私も小さい頃、父に連れられて万博公園によく遊びに行っていましたからね。
とはいえ、すぐに移住できるわけもなく、4年間は東京で子育てをしていました。でもそのままずっと東京で子育てを続けるイメージはわきませんでした。当時、私は電車通勤をしていましたが、大人でも辛い満員電車に小学1年生も乗っていたのを目にし、その姿を見たら、なんだか自分のほうが辛くなってしまいまして。そんなこともあり、徐々に北海道での生活に気持ちが傾いていきました。
そんな時に、東日本・中部エリアのゼネラルマネージャーとして名古屋に転勤することが決まりました。そこで最初の決断をして、妻と子どもを先に北海道に移住させ、名古屋には私だけが行くことにしたのです。
というのも、当時の東日本・中部エリアは北海道も管轄していたので、「自分で北海道に拠点を立ち上げよう!」と考えたんです。そうすれば転職せずに北海道に行けますからね。ところがその後、会社の業績が思うように伸びず、結局、北海道支社の実現はできませんでした。
しかもその頃、北海道で大きな地震が起き、それも転職を加速させるきっかけになりました。家族が離れ離れで暮らしているのは良くないな、と思ったんです。
転職活動はどのように進めたのですか?
転職活動は在職中に始めました。最初はネットで北海道の会社を調べたり、前職時代のネットワークをいかして情報を集めていました。ただそのやり方では、良さそうな会社を見つけても、私にマッチする求人があるとは限りません。そこで、知名度のある大手の転職サイトに登録しましたが、エージェントとやりとりをしてみると、北海道にはあまり紹介案件を持っていないことがすぐにわかりました。
そんな時、北海道の転職に強いというリージョナルキャリア北海道を知り、すぐにエントリー。当時私は名古屋にいましたので、最初の面談はオンラインで行いました。それ以後、2か月に1回くらいのペースで北海道の企業を紹介してもらっていたのですが、ある時その中に、サツドラホールディングスの求人がありました。
しかし、自分の希望とは異なるシステムエンジニアの求人でしたので「社長に私の履歴書を見せてみてほしい」とコンサルタントに依頼しました。すると、社長が私に興味を持ち、面接してもらえることになったのです。
ところが、お互いの入社時期の希望が合わず、その時は話が流れてしまいました。それでも私は諦めきれなくて、2か月後に再度コンサルタントに相談。社長に話をしてもらった結果、入社タイミングもこちらの希望にあわせてもらえることになったんです。
今の会社に決めたポイントは?
実はもう1社候補があったのですが、会社の規模が大きく、仕事で自由に動くのは難しそうでした。その点サツドラホールディングスは、経験者採用に積極的で、自由にやらせてもらえそうだと思ったんです。
もう1つは、社長の魅力ですね。ITに対する理解が深く、かつ性格が明るい経営者という印象で、私のことをのびのび使ってくれるのかなと思いました。年収は減りましたが、気になりませんでした。こちらが希望する最低限のレベルはクリアできていましたし、その後どう上げていくかは自分次第だと思っていましたので。
家族との時間が大幅に増え、仕事の経験も幅広くなった。
転職していかがですか?
のびのびと楽しくやらせてもらっています。最初の1ヵ月はサッポロドラッグストアーでの店舗研修でした。その後、人事部で2週間働かせてもらい、課題が見えたので、現在はその改善に取り組んでいるところです。
私には定型の業務はないんですよ。上司とはデスクを並べていますので、「これやってね」と指示されてアウトプットをつくることもありますが、基本的には自分で会社の課題を見つけ出し、自分で仕事を作り出していくのがミッション。ですから今は社内のいろいろなところへ顔を出して知り合いを増やしつつ、社内の課題を探したり、ITを使って攻めていく方法などを考えたりしています。そんな私のことを社内の皆さんもすんなりと受け入れてくれているので、とても感謝しています。
生活面の変化はありましたか?
こちらに来てまもなく、家を建てました。実は転職活動中から計画を進めていたんです。以前は単身赴任でしたが、今は家族で暮らせるようになり、とても満足しています。
しかも以前は深夜に帰宅することが多く、子どもともなかなか会えない生活だったのですが、今はだいたい18時には退勤できて、家まで車で10分もかからないので、驚くほど早い時間に家に着いています。それからは家族で食卓を囲み、子どもと遊んで、寝かしてつけて、そのまま一緒に寝てしまうことが多いですね(笑)。そのぶん朝は早めに起きて、自分のための勉強をしています。
休日は家族で買い物に行ったり、弁当を持って近くの公園に行ったり。渋滞がないのも快適です。また北海道は、人の温かさを感じます。街なかでも知らない者同士が声を掛け合い、助け合うというようなことが当たり前のようにありますので、そういう意味でも暮らしやすくなりました。
困ったことや課題はありますか?
生活面では特にありませんが、仕事の面では、東京の流れの速さをどうキャッチアップしていくかが課題だと思っています。その点では前職時代に東京で培ったネットワークが役に立ちますね。
転職して良かったと思うことは?
まずは、家にいる時間、家族といる時間が増えたことです。ずっと思い描いていた生活が、やっと実現できました。仕事の面でも、いい経験ができていると思います。
実は転職活動中、コンサルタントとしてのキャリアを継続することも考えていたんです。しかし、期間限定のサポートではなく、事業会社に入って、継続的に改善に携わることで知見も広がって行くということに、この仕事の魅力を感じました。
小売業はシビアな業界ですが、当社は地域性の高いポイントカードで先行している強みを持っています。ITをさらに有効活用していくことで、まだまだ成長していく可能性があると感じています。当社は今、これからのビジネス展開を考えていかねばならない転換期。そんな大切な時期に入社できたことは、とてもいいタイミングだったと思っています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
今は全国どこにいても、ネットを通じて会議ができる時代です。物理的な制約は、徐々に無くなりつつあります。持っているスキルが住んでいる場所に紐付いているのならともかく、そうでないのなら、どこででも仕事はできると思います。だったら自分が行きたい場所へ行くのがいいと思うんです。
収入が減ることを不安視する声も多いようですが、東京だから収入が高いかというと、会社の業績次第では、そうではない場合もあり得ます。
ですからもし転職に興味があれば、一度転職活動をして自分のスキルを棚卸ししてみるのがいいと思います。人生で何が大切なのか。自分自身の価値を見つめ直すきっかけにもなるはずです。