転職成功者インタビュー

株式会社ゼンリン
本田豊さん(仮名・研究開発) 60歳

定年後は家族を第一に考えたいとUターン。経験が活きる理想の会社と出会えた。

山口県出身の本田さんは、大学院を卒業後、大手電機メーカーに研究職として入社。以来、遠く離れた関東地方で生活の基盤を築いてきた。

しかし、定年を迎えるにあたり故郷へのUターンを決意。現在は奥さまの実家に戻り、北九州市にある株式会社ゼンリンに勤務している。

これまでの経験を存分に活かせる今の職場は期待通りだったと満足そうに語る本田さんに、Uターンまでの経緯や現在の生活についてうかがった。

※本記事の内容は、2019年7月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
0回
活動期間
エントリーから内定まで90日間

転職前

業種
電機メーカー
職種
研究開発
業務内容
大型計算機、カーナビ、自動運転システムの開発

転職後

業種
情報・ソフトウェア
職種
研究開発
業務内容
デジタル地図に関する先行開発業務

公募していなかった志望企業にコンサルタントがコンタクトを取ってくれた。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

地図情報を提供するゼンリンの研究開発室で、カーナビや自動運転などに利用されるデジタル地図の開発に携わっています。いま取り組んでいるのは自動運転向けの地図データです。

近年はさまざまな自動車メーカーが自動運転システムの開発に力を入れていますが、その実現には高精度な地図データが不可欠です。道路標識や白線が変更されたり、新しい道路が建設されたりと、地図データは変更が頻繁です。そうした変化を、タイムリーかつ正確に反映しなければ、自動運転に貢献できるデータとはなりません。そのためのシステム開発に力を注いでいます。

入社前のご経歴を教えてください。

大学院を卒業後、茨城県にある大手電機メーカーの研究所へ入社し、主に大型計算機やカーナビの開発を担当していました。その後、自動運転システムの開発に携わりたいという思いから、自動車機器を専門に手掛ける系列のグループ会社へ移り、4年ほど勤務しました。

転職のきっかけは?

転機になったのは、58歳のときに参加した会社主催のライフプランセミナーです。定年を控えた社員を対象にした研修で、退職後の人生設計について考えるという内容でしたが、そこで初めて60歳からの人生を冷静に考えるようになりました。そのとき、「これまでは仕事優先で過ごしてきた。これからは家族を第一に考えよう」と思ったのです。

実は私も妻も山口出身で、私の母親も妻の母親も故郷で一人暮らし。ともに高齢なので、私も妻もそのことを案じていました。そこで定年を機に故郷の山口に戻り、お互い母親の面倒を見ようと考えるようになりました。

転職活動はどのように進めましたか?

まず最初に訪ねたのは、山口県が運営するUターン希望者向けの相談窓口でした。しかし、私が持っている情報通信系の知識を活かすことができる仕事は、山口では限られていました。

そこでもう少し範囲を広げようと、北九州市の窓口にも相談に行きました。一方で大手転職サイトにも登録してみましたが、届く求人情報は東京・大阪勤務のものばかりでした。地方で自分の希望にマッチした求人情報を入手するのはこれほど大変なのかと、もどかしさを感じていました。

その頃に、北九州市の窓口の方から「地域に特化した転職支援サービスがある」と教えてもらいました。それがリージョナルキャリア福岡で、すぐにエントリーしました。

今の会社に決めたポイントは?

前職でカーナビや自動運転システムの開発に携わった経験から、ゼンリンのことは当然知っていましたし、仕事上でも接点がありましたので、転職先として一番に思い浮かびました。しかし60歳という年齢もあり、「難しいだろうな」と半ば諦めていました。

リージョナルキャリア福岡のコンサルタントと面談したときにも、一応希望としてゼンリンの社名を挙げただけで、期待はしていませんでした。しかし、コンサルタントはゼンリンに直接コンタクトをとって、ポジションをつくってきてくれたのです。その後オファーをいただき、すぐにお受けしました。正直、これほど希望通りに話が進むとは、思ってもいませんでした。

山口で家族と暮らしながら、自動運転に向けた最先端の開発に携われる。

転職していかがですか?

注目度の高い自動運転関連の分野は注目度が高く、職場には若いスタッフも多いため、常に活気にあふれています。地図データについては私も学んでいる最中ですが、これまで身に付けてきた開発の進め方やプロジェクト管理などのノウハウは、ここでも役立てることができそうです。一緒に開発に取り組むなかで、若い人たちに伝えていくことができたらいいなと思っています。

転職して良かったと思うことは?

山口県の妻の実家で同居している義母がとても喜んでくれていることです。義母もこれまで1人で不安だったのだと思います。また、私の母親が住む家にも近いので頻繁に顔を出せますし、母も私が帰ってきたことを喜んでくれています。それが一番うれしいですね。

仕事面でいえば、これまで私が培ってきた経験を次の世代に伝える場を得られたことです。

困っていることや課題はありますか?

特に困っていることはありませんが、子どもたちには違う思いがあるかもしれません。彼らにとっての「故郷」は、茨城です。既に就職して茨城県外で働いていますが、お盆や正月に茨城に戻って地元の友達と会うことを、子どもたちも楽しみにしていたと思います。私自身が今、旧友に囲まれることの大切さを実感しているだけに、心苦しく思っています。

生活面の変化はありましたか?

今は電車で1時間かけて通勤しています。地方にしては遠距離ですが、もともと電車に揺られるのが好きなので苦にはなりません。中学・高校時代の同級生との付き合いも復活して、飲み会に誘われたり、ゴルフに行ったりとプライベートの楽しみも増えました。

長く地元を離れていましたが、会えばすぐに昔の関係性に戻れる。「やっぱり地元の友人っていいな」と実感しています。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

58歳のときに参加した研修で、定年後の人生をどう生きるのかを考えるようになりました。その結果、いくつかの選択肢が見えてきました。30~40代の人なら、選択肢はさらに広がるでしょう。若いうちに一度、長い目で自分の人生を見つめ直してみるのもいいかもしれません。

また、地方への転職を考えている人は、地域密着でサービスを展開している紹介会社を活用することをおすすめします。地域に特化した情報を豊富に持っていますので、そうした紹介会社に力を借りることで、より自分の理想とする転職に近づくことができると思います。

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