転職成功者インタビュー

ファインネクス株式会社
細見章夫さん(専務取締役技術本部長) 62歳

60歳でリージョナル転職にチャレンジ!元社長が実感した「地方の楽しさ」とは?

細見さんは長年にわたり、関東の自動車部品関連の企業で活躍。アメリカやイギリスの部門長、中国現地法人の副社長などを歴任した後、神奈川にある部品メーカーの社長を務めていた。

60歳で転職先を探し始めた細見さんが選んだ新天地は、一度も訪れたことのない富山県。現在、全国で最も小さな村に本社を置く世界的メーカーで専務取締役として活躍している細見さんに、決断のポイントや地方の魅力を伺った。

※本記事の内容は、2019年4月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
3回
活動期間
エントリーから内定まで30日間

転職前

業種
自動車部品メーカー
職種
代表取締役社長
業務内容
事業運営

転職後

業種
電子部品メーカー
職種
専務取締役技術本部長
業務内容
会社経営業務、製品開発マネジメント

「どこへでも行く」という覚悟があれば、チャンスは全国にある

現在のお仕事はどんな内容ですか?

富山県にある「ファインネクス株式会社」という電子部品メーカーで専務取締役技術本部長をしています。本社がある舟橋村は日本でいちばん小さな村ですが、事業範囲はグローバルなんですよ。パソコンのCPUなどに使用される端子ピンの製造販売を得意としており、世界シェア70%を誇る製品があります。そんな会社の中で私は今、社長の補佐役としての会社経営業務と、さまざまな製品開発のマネジメントに携わっています。

入社前のご経歴を教えてください。

関西の大学を出た後、鉄鋼メーカー、自動車部品メーカー、電子部品メーカーなどで働いてきました。職種もさまざまです。2社目の自動車部品メーカーではカーエアコンのエンジニア、3社目の電子部品メーカーでは車載電装部門のマネージャーとして大手自動車メーカーを担当。アメリカやイギリスの部門長や、上海にある現地法人の副社長も経験しました。その後、神奈川にある自動車部品メーカーの代表取締役社長を2年半務めました。

転職したきっかけは?

最初の鉄鋼メーカーを辞めたのは、どうしても車に関わる仕事がやりたかったから。学生の頃から車が大好きだったんですよ。その後の転職はいずれもヘッドハンティングでした。

転職活動はどのように進めましたか?

いろいろなヘッドハンターや転職支援会社に相談しました。アメリカ、イギリス、中国への異動を経験し、単身赴任も多かったので、勤務地には全くこだわりはありませんでした。自宅は大阪にありますが、3人の子どもはもう独立していますし、日本なら、どこへ行っても狭いものですしね。結局4つの会社を紹介してもらって、その中からリージョナルキャリア富山に紹介してもらった今の会社を選びました。

今の会社に決めたポイントは?

私には『人生の岐路に立った時は、行ったことのない道を選ぼう』というポリシーがあるんです。だからこそ、全く縁がない富山という土地に興味が湧きましたし、電子部品という未知の分野にもチャレンジしてみたいと思いました。

ファインネクス社はニッチだけれど非常に強い得意分野を持っている会社ですし、面接のときに聞いた「これから自動車分野を伸ばしていきたい」という社長の強い思いも決め手になりました。自動車は私の得意分野ですし「それなら私に任せてください!」という気持ちになりました。

また社長は3代目で、まだ42歳。これからいろいろな新しいことに取り組もうとしているところにも好感を持ち、社長を支えながら自分もチャレンジしようと思ったんです。

地方には、都会にはない楽しみがいろいろある

転職していかがですか?

非常に楽しくやっていますよ。最初は「社長付」という肩書で、いろいろな部署の課題や改善点を探したり、市場の見方や、営業の仕掛け方、人事についてなど、さまざまなアドバイスをしました。その半年後から現在の役職を務めています。

最初から変な遠慮をせず「これは仕事ですから、お互い言いたいことを言いましょう」と提案して、会社の中に入っていきました。ただし、気をつけていることもありました。1つ目は、過去を否定しないことです。なぜならこれまでもこの会社ではその時その時の社員が全力でやってきたわけですから。2つ目は、自分の過去の栄光を語らないこと。大事なのは実績を出すことで、それを見せないと周りからは認められないと思っています。

生活面の変化はありましたか?

現在は会社が所有するアパートに住んでいます。会社までは車で15分。神奈川時代は満員電車で通勤していたので大変でしたが、今は本当に楽になりました。1人暮らしですが、100%自炊です。アパートの目の前にスーパーがあるので、会社帰りに買い物をして、いろいろ作っています。

週3回はジムにも通っています。たっぷり運動して、大きな風呂に入って帰るのが楽しみでね(笑)。もう1つうれしいのは、大好きなゴルフに気軽に行けること。都会とは全然違いますね。都会の半分以下の料金でできるし、20分で行けます。最近はゴルフがきっかけで友達も増えてきて、これはいいなぁと思っています。

困ったことや課題はありますか?

雪にはびっくりしました。特に去年は大雪で、ひと晩で80センチも積もった日があったんです。朝、会社に行こうと思ったら、車も道路も雪に埋もれていて、30分以上も雪かきをしないと動けませんでした。

確かに東京に比べたらモノは少ないけれど、ネットでほとんどのものが買えるので、不便は感じません。電車も本数は少ないですが、それも時間を合わせて行動すればいいだけ。東京へも、今は北陸新幹線で2時間ほどで行けるので便利ですね。

転職して良かったと思うことは?

まずは、地方の楽しさを知ったことだと思います。ジムの露天風呂や気軽にゴルフができる環境など、都会にないものがたくさんありますから。

特に富山は、海産物がおいしい!カニ、甘えび、寒ブリ、ノドグロなど、どれも圧倒的に新鮮で、安いんですよ。また、立山連峰もびっくりするほどきれいですね。自分の部屋の窓から3,000m級の山々が目の前にドーンと見えるんです。天気がいい日は30分くらいずっと眺めていますね。

仕事の面でも、今は大企業ではできないような思い切ったこともやれています。これまでの自分のキャリアを活かしつつ、新しいチャレンジもできているので、自分の成長につながっていると思います。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

実際に地方の会社に転職してみて、地方にいることは決してハンデキャップにはならない、ということを感じました。地方には、東京の会社とは違うユニークな発想を持ち、思い切ったチャレンジをしている会社もたくさんあります。と同時に、さまざまな経験を持つ人材を地方の会社はまだまだ求めています。だから興味がある方はぜひチャレンジしてほしいですね。

勤務地や業種、職種にこだわりたい気持ちもわかりますが、そればかりではもったいない。せっかくの人生なのですから、自分自身のためにも、いろいろなことをやってみたほうが楽しいと思います。

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