転職成功者インタビュー

八千代工業株式会社
下村伸行さん(仮名・商品企画) 40歳

40歳での決断は、現状維持より新たな環境で成長を。

某有名アパレルメーカーひとすじでキャリアを積んだ下村さん。営業からスタートし、マーチャンダイザーやバイヤーを経て、新規ブランドの責任者を担当していた。その活躍ぶりが認められ、やがてスカウトの話が来るようになったことから、自分の人生を初めて真剣に考えるように。そして気づいたのは、さらなる成長への意欲と、ゆとりある暮らしへの渇望だった。

そんな下村さんが次の活躍の場として選んだのは、広島市内にある老舗の手芸用品メーカー。「地元にこんなに将来性のある会社があることも、手芸用品にこれほど大きなマーケットがあることも知らなかった」という。新たな挑戦の苦労も感じつつも「期待以上のことが多い」と喜ぶ下村さんに、お話をうかがった。

※本記事の内容は、2017年7月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
0回
活動期間
エントリーから内定まで59日間

転職前

業種
アパレルメーカー
職種
マーチャンダイザー・バイヤー
業務内容
ウェア、服飾雑貨のMD、バイイング業務商品企画提案、マーケティング分析、型数決定、デリバリー時期決定、仕入れ予算管理、ブランド売上・消化率の管理・分析

転職後

業種
手芸用品を中心としたメーカーベンダー
職種
商品企画
業務内容
小売店など取引先企業との商品打合せ、社内デザイナーとの商品企画、 仕入れや製造コストなど予算組、海外にある生産拠点との折衝、商品の発注、生産稼働後の管理等

このままでは、今までの延長線上。だったら別の場所で、新しいチャレンジがしたい。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

手芸用品を中心としたメーカーで、毛糸と編み物道具の企画を担当しています。いろいろな素材や流行を取り入れながら、新しい毛糸や編み物道具を作る仕事です。編み物道具も最近は針や棒の他に、いろいろなものがあります。例えば、一見おもちゃのようですが、巻くだけで簡単に作品を作れる商品もあります。

商品企画のサイクルは、ファッション業界と全く同じ。「春夏」「秋冬」と年2回のシーズンがあり、常に半年先を見据えた商品企画に取り組んでいます。

入社前のご経歴を教えてください。

新卒で入社したアパレルメーカーに18年間勤めました。入社後はメンズファッションの営業を担当し、その後10年ほど、マーチャンダイザーとバイヤーを担当していました。マーチャンダイザーとは、売上予算に基づいて、どのアイテムをどれだけ作るか、どのように仕掛けるか、といった戦略を考えていく仕事です。

そして最後は、レディースブランドの責任者になりました。トレンドのリサーチから、デザイナーへのリクエスト、商品の試作、販売員の教育・管理、売上の管理まで、ブランドの立ち上げとマネジメントをすべて任されていました。

転職のきっかけは?

38歳でブランドの責任者になった頃から、同業他社からの誘いを頻繁に受けるようになりました。それまで転職を考えたこともなかったのですが、そこで初めて、自分の「これから」を真剣に考えるようになりました。

振り返ると、前の会社ではひと通りの仕事を経験したという自負がありました。それと同時に、『ここではもう成長できないかも』と感じたのです。これから社内で何か挑戦したとしても、今までの延長線上でしかない。それであれば、『このレールから一度外れてみるのもいいんじゃないか?』と考えるようになりました。

気付けば、40歳の大台も目の前に迫っていました。時間が経つほど、転職は難しくなるかもしれない。それならば『このタイミングで一から挑戦してみよう』と思い、転職活動を始めました。

なぜ東京ではなく、広島で転職しようと考えたのですか?

東京の会社からも誘われていたので、とても悩みました。しかし自分は長男で、いつかは広島に戻って両親の面倒をみたいという気持ちがありました。そして、自分自身のためにも『もっとゆとりのある生活がしたい』という気持ちも強かったです。

東京では残業も多く、満員電車の通勤も大変でしたので『せっかく転職するのなら、ライフスタイルも一新したい』最終的にはそう考え、広島での転職にチャレンジすることを決めました。

転職活動はどのように活動を進めましたか?

最初は、大手転職サイトや東京の転職エージェントに登録しましたが、広島の求人情報はほとんどありませんでした。そこで、ネットで「広島 転職」と検索したところ、リージョナルキャリア広島と出会うことができました。

登録後すぐに連絡をもらい、担当のコンサルタントと、経歴や希望についていろいろな話をしました。そして次に電話をもらった時に、今の会社を紹介してもらいました。

聞いたことのない会社でしたが、私は業界には特にこだわりはありませんでした。また、前職のようなアパレルメーカーは広島にはないだろうと考えていたので、職種も営業職全般で考えていました。もともと営業職の経験が長かったため、扱う商品が変わってもこれまでの経験は活かせると考えていました。私のアパレルでの経験を必要としてくれる会社があると聞いて、本当にありがたいと思いました。

今の会社に決めたポイントは?

面接に行く前は、社名のイメージから『昔風の古めかしい会社なのかな』と勝手に思っていました。ところが実際に会った社長はとても若く、フランクに話していただきました。また、エネルギッシュで、とても将来性のある会社だとも感じました。

また面接では、私の経験を必要としてくれていることも強く伝わってきました。手芸業界もファッションの影響が色濃くなりつつある一方で、社内にはアパレル経験者が一人もいない状況だったそうです。「これまでの経験を活かして、新しいことをやって欲しい」と社長に言っていただき、とても嬉しく、まさに自分が求めていた環境だと思い、入社を決断しました。

ほぼ毎日、定時で帰宅。自分のためでなく、家族のために時間を使えるようになった。

転職していかがですか?

入社と同時に企画グループのリーダーを任され、進行中の商品開発プロジェクトに途中から関わっています。もうすぐ最初の商品がカタチになるので、楽しみです。ただ『新しい環境で働くのは、想像以上に大変だな』とも感じました。

毛糸の知識はありませんし、私以外は全員プロフェッショナルばかりの集団。それでもファッションの見地からどんどん自分の意見を言うようにしています。それが正しいかどうかはわかりませんが、とにかく意見を言うことが、自分に求められていることだと思っているからです。

会社からの期待も高く、今までにないプレッシャーも感じていますが、そのぶん成長するチャンスだと捉えています。また、手芸にとても大きなマーケットがあることを初めて知り、とても驚きました。純粋に『すごい!』と思いましたし、やりがいも感じています。

転職して良かったと思うことは?

数多くありますが、まず、自分の強みが改めてわかったことです。それから、自分は柔軟だと思っていましたが、転職してみると、そうではないということにも気付かされました。この会社に来て、今までになかった考え方を身に付けさせてもらっています。

また、時間やお金の使い方も変わりました。東京にいた頃は、お金も時間も自分のために使うことが多かったと思います。しかし広島に来てからは、妻や親のため、また周りの人のために使えるようになりました。

『東京から帰ってきて、物足りなさを感じないだろうか』という不安もありましたが、実際に来てみると、それもまったく感じません。年齢のせいもあるかもしれませんが、最近は刺激的な都会よりも、今のような環境のほうがむしろ落ち着きます。

生活面の変化はありましたか?

東京時代と比べると、かなりゆとりができています。「定時で帰る」という方針の会社なので、ほぼ毎日18時には会社を出ています。18時半には帰宅できるようになり、平日に夫婦で外食に出かけたり、友達とも食事に行くなど、プライベートに使える時間が本当に増えました。おかげで夫婦仲も良くなりました。

休日も、東京に住んでいる時にできなかった旅行を、夫婦で楽しむようにしています。先日は島根県の出雲へ行ってきました。妻とは「これからも毎月どこかに行こう」と話し合っています。

困っていることや課題はありますか?

強いていえば、時間が余りすぎることでしょうか(笑)。帰宅後の自分の時間に、何をしたらいいのか、実はまだちょっと慣れてない感じです。その他の生活面では困ることはありません。広島市内の中心部に住んでいますのでとても快適です。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

もし自分がやりたいと思っていることがあるのなら、決断は早いほうが良いと思います。何もせずに時間を無駄にしていると、チャンスを逃すことになるからです。私は社長から「とてもタイミングが良かった」と言われました。逆にいえば、私があの時リージョナルキャリア広島に登録していなかったら、今の自分はないわけです。自分が動かなかったら、このチャンスは他の人のものになっていたでしょう。だから思い切って前に進むことをおすすめしたいです。

もし、地方へ転職することに物足りなさや不安を感じているのなら「東京ではできないこともたくさんある」とアドバイスしたいです。例えば、家族との時間は地方のほうが増えるでしょう。ということは、自分だけでなく、家族の幸せも増えるということなのです。自分が変われば、周りも変わります。何かを変えたいと思っている人にとっては、地方への転職はとても良いきっかけになると思います。

担当コンサルタントから

チーフコンサルタント 
瀬川 泰明

下村さんはいつも自然体で、人や状況・環境に自分を適応(変化)させる能力の高い方だと感じます。長い間同じ会社に勤めると、その会社のカルチャーに染まってしまい、それが”当たり前”になってしまいがちです。そして、当たり前から外れることを受け入れられず、自分自身の可能性を狭めてしまう方も珍しくありません。

下村さんも20年近く同じ会社にいらっしゃったので、そうあってもおかしくはないのですが、まったく染まっている感じがないのです。きっとこれまで物事をいろいろな角度から見ることや、“当たり前を疑う”ということを習慣的にやってこられたのではないかと思います。

入社後にお会いした下村さんは、初めてお会いした時と変わらず自然体で、まるで何年も前からいらっしゃったかのように会社に馴染んでおられました。

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