株式会社アミノアップ化学
澤田有美佳さん(仮名・研究開発) 31歳
高齢の両親の元へ夫と共にUターン。図らずも過ごせた母との最期の日々。
澤田さんは北海道大学大学院を修了後、希望していた種苗会社に就職。赴任先の愛媛県で地元出身の男性と結婚し、研究職を続けていた。しかし、時が経つにつれ気になるのは北海道に住む高齢の両親のことだった。
一人っ子の澤田さんは、快諾してくれた夫と共に北海道に帰る決心をした。北海道の転職市場の厳しさを覚悟して、研究職は諦めてもいいと思って始めた転職活動だったが、そこには思わぬ良縁が待っていた。
※本記事の内容は、2016年11月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで115日間
転職前
- 業種
- 農園芸用の種子・苗等の開発・製造・販売メーカー
- 職種
- 研究開発
- 業務内容
- 種子に関わる基礎研究、商品開発
転職後
- 業種
- バイオ素材メーカー
- 職種
- 研究開発
- 業務内容
- 各種分析機器等を用いたサンプル分析、納品国向けの外国語の各種書類作成
研究職のキャリアと英語力を活かせる転職に成功。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
健康食品メーカーの研究部生物化学研究室で働いています。主に、機能性素材に含まれる成分の効果を調べるための、化合物の分析に取り組んでいます。研究室には、日本に10台程しかないような高価な研究機器も備えられており、それを使って分析できるのは、楽しみの一つです。
入社前のご経歴を教えてください。
中学時代から札幌に住んでおり、北海道大学農学部に進みました。植物生理学と有機化学を融合したような分野を学び、大学院修了後は大阪本社の種苗会社に就職。愛媛県の事業所に配属され、発芽改良などを行っていました。
転職のきっかけは?
もともと転勤族の家庭に育ったので、就職する時点では勤務地にこだわりはありませんでした。しかし、就職して5年になる頃、北海道にいる高齢の両親が気にかかり始めました。私は一人っ子なので、何かあったときにどうしようかと。
夫の地元は愛媛なのですが、札幌へのUターンに賛成してくれました。夫は30代後半で転職にはギリギリの年齢だと思ったこと、世の中の転職市場が多少上向きになってきたことなどもあり、二人で札幌の会社に転職することにしました。
転職活動はどのように進めましたか?
3つの転職サイトにエントリーしました。希望したのは、前職のような研究職か、英語を使える仕事。大学時代に1年間カナダへ留学した経験があり、英語力を活かせる旅行会社なども視野に入れていました。
北海道での転職はなかなか難しいと思っていたので、業種や職種にはあまりこだわらず、どちらかといえば休日や通勤時間などを重視した条件設定でした。
その後、リージョナルキャリア北海道から「アミノアップ化学という会社があなたに興味を持っています」と連絡をもらいました。少し迷っていたのですが、同じタイミングで、別の紹介会社からも同社を紹介されたのです。2つの紹介会社が推薦するなら一度受けてみようと思い、面接を受けました。
今の会社に決めた理由は?
やはり、研究職での転職だったこと。また、この会社では英語のできる人を求めていたことも理由の一つです。毎年1回、会社が後援する国際学会が開かれ、海外からたくさんのお客さまがいらっしゃいます。
その際、会社の案内や懇親会での対応、そして研究のディスカッションに、英語が必要とされます。自分が活かしたいと思っていた経験の両方を活かせる会社であることが決め手になりました。
結果として、母の最期を看取ることができた。
転職していかがですか?
同じ研究職でも、前職は基礎研究に近く、求められていたのは幅広い知識でした。しかし、現在の会社で必要とされているのはスペシャリスト。その点では、まだ知識不足なところがあり、勉強して身につけるべきことはたくさんあると感じています。
レベルの高い研究を続けていくのは大変ですが、世の中に出す最終製品の製造に関わっているという楽しさは、前職では味わえなかったものです。
転職して良かったと思うことは?
もしものときに両親のそばにいたいと考えてUターン転職したのですが、北海道に戻って来て間もなく、母が病気で倒れ、しばらくして亡くなりました。
まさかこんなにすぐに「もしものとき」が来るとは思っていませんでしたが、入院中に何度も顔を見せに行けたことは、本当に良かったと思っています。愛媛に住んでいたら、絶対に無理でしたから。今、一人暮らしになった父の元へ何かと様子を見に行けるのも、近くにいるからこそです。
生活面の変化はありましたか?
しばらく北海道を離れていたので、あらためて北海道民の気質に気づいたりすることはあります。たとえば、愛媛と比べると、北海道の人の商売っ気のなさに驚くことはありますね(笑)。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
聞きにくいと思うことでも、それが自分にとって大事なポイントなら、面接時にきちんと聞いた方がいいということでしょうか。私の場合は、産休制度の有無や実際の残業時間について、面接で質問しました。
そのようなことは聞かない方がいいと考えがちですが、長く働き続けるつもりなら、はっきり聞いて確認しておくべきだと思います。
実は、リージョナルキャリア北海道のコンサルタントからも、事前に同じことを聞いてもらっていました。「長く続けたいからこそ、聞いておきたいそうですよ」と企業側にフォローしていただけたので、それがクッションになったのかな、と思っています。