住友重機械工業株式会社
中村莉香さん(仮名・プロセス開発) 31歳
結婚を見据えて愛媛へ。研究開発の経験を活かして医療機器のプロセス開発に挑戦。
京都の機能性素材メーカーで研究開発職として働いていた中村さんは、愛媛在住のパートナーとの結婚を見据え、仕事が一区切りついたタイミングで転職活動を開始。
可能性を狭めないよう研究開発職を中心に広く求人を検討する中で、愛媛に拠点を持つ大手重機械メーカーのプロセス開発業務に興味を持ち、見事内定を獲得した。
これまでとは異なる分野への挑戦に悩んだものの、最後には「ここで決めなければ、なにも変わらない」と内定承諾を決意した中村さんに、転職の経緯や内定承諾時の心境を伺った。
※本記事の内容は、2025年2月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで79日間
転職前
- 業種
- 機能性素材メーカー
- 職種
- 研究開発
- 業務内容
- 原料選定、機能評価、分析、実験、品質管理
転職後
- 業種
- 重機械メーカー
- 職種
- プロセス開発
- 業務内容
- 医療機器、周辺機器のプロセス開発業務
医療分野に関わりたいという想いを胸に、新たなキャリアへの挑戦を決意。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
住友重機械工業の産業機器事業部で、医療機器の設計開発に携わっています。弊社は加速器技術を生かした製品を医療、産業、科学などの各分野で保有しており、医療分野ではがんの早期発見などに有用なPET検査用の標識化合物合成システムや、陽子線治療システム、BNCT治療システムを製造しています。
その中で私はPET検査用の薬剤製造システムのプロセス開発業務や調整業務などに従事しています。
入社前のご経歴を教えてください。
大学では生体高分子を専攻し、大学院では人体に優しいがん治療薬の研究に携わってきました。大学院卒業後は製薬分野、医薬分野、食品分野を広く検討し、健康食品や化粧品を手がける機能性素材メーカーに入社しました。
入社後は研究開発に配属となり、機能性素材の原料の選定、機能評価、分析、実験、品質管理など、基礎研究から上市まで一気通貫で関わってきました。
転職のきっかけは?
結婚を予定していたパートナーが愛媛に住んでいたことが、転職を考え始めたきっかけのひとつです。当時、私は京都に住んでいましたが、結婚するなら一緒に住んだほうがいいと考え、私の出身である山口や、相手の出身である近畿エリアなどへの移住を検討していました。
最終的には双方の地元の中間である愛媛で一緒に住むことを決め、前職の仕事が一区切りつくタイミングで転職先を探し始めました。
転職活動はどのように進めましたか?
広く情報を得られる大手の転職サイトと深い情報が得られる転職先エリアに特化した転職支援会社の2方面から話を聞いた方がいいと前職の同僚からアドバイスをもらっていたので、まずは大手の転職サイトに登録し、どういった求人があるのかを見ていました。
大手サイトはスカウトメールも届くのですが、その中にリージョナルキャリア愛媛からのメッセージもあり、「愛媛に特化した転職支援会社です」と書かれていたため、大手サイトとは違った情報を得られればと考えてエントリーしました。
求人については、これまでの経験を活かせる転職先を探していたので、基本的には研究職で探していましたが、それ以外の可能性も見たかったのであまり職種を限定し過ぎず、広く検討していました。
今の会社に決めたポイントは?
大学でがん治療の研究をしていた時から、どこかで医療関係の仕事に携わりたいという想いがありました。そのため、住友重機械工業の手がける医療機器は患者さんに近いところで利用されている装置だったので興味を抱きました。
また、前職は小規模な会社だったので、社内ルールや育休産休に対するフォローなどが十分でない部分もあり、長く働く上でもう少し社内制度や福利厚生が整備されている会社に転職したいという希望もありました。
その点、上場企業である住友重機械工業は社内制度や福利厚生も整っており、長く安心して働けそうだと感じました。
ただ正直、内定承諾は最後まで悩みました。これまでとは分野が大きく異なるので、本当に私が経験してきたことを活かせるのだろうかという不安があったんです。
リージョナルキャリア愛媛のコンサルタントにも相談し、ぎりぎりまで悩みましたが、愛媛に移住しようと始めた転職で、せっかく愛媛に事業部のある企業から内定をもらっているのだからと、意を決して内定を承諾しました。
愛媛で叶えたパートナーとの結婚。転職によって働く環境も大きく変化。
転職していかがですか?
素材の研究から装置の開発に変わったことで、歩き回る時間が減ったように思います。研究室では必要な物を揃えて実験して、また必要な物を揃えに行って、と歩き回っていたのですが、現職は図面を扱うために基本はPCを使ったデスクワークになります。なので、少し運動不足ですね(笑)。
転職して良かったと思うことは?
業務上のルールなどが整備されたことです。先ほどお話しした通り、前職は社内ルールの整っていない部分もあり、個人に負担が偏るといった問題がよく起こっていました。
現職はルールが整備されており、何かトラブルが起こった際も個々の問題ではなくルール自体の問題として捉えられ、その改善が行われるので働きやすさを感じています。
困っていることや課題はありますか?
前職は機能性素材の研究開発、現職は医療機器の設計開発と分野が大きく異なるため、新しい知識の習得にとても骨が折れました。
また、前職は若い社員が多く、現職は年上が多いといった年齢構成の違いもあり、職場の雰囲気や業務に馴染むまでに少し時間がかかりました。コミュニケーションを重ねることで、お互いの仕事の進め方やこだわりなどを理解できるようになり、少しずつ馴染むことができたように思います。
それと、現在の社屋が少し古いのですが、2027年に新社屋が建つようなので、それを楽しみに待ちたいと思います。
生活面の変化はありましたか?
結婚したことが一番の変化です。現在は会社のある新居浜市に住み、私は自転車通勤、夫は東温市までバス、やむを得ない場合は車で通勤をしています。
地方に住むと、車は必須だと感じています。大学時代は大阪、前職では京都に住んでおり、公共交通機関での移動に困ることはなかったのですが、愛媛県は車がないと少し不便かなと思います。
ただ、車があれば特に困ることはなく、むしろ野菜などの食べ物はとても新鮮で美味しいので、それは良かったと感じています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
転職を考えられているのであれば、まずは行動してみることが大切だと思います。実際に行動してみることで自分自身にどんな選択肢があるのかがわかります。
また、新しい分野に積極的にチャレンジしてみるといいかもしれません。業務を進めていく上で押さえておくポイントは分野が違っても通じる部分はありますし、違う分野に進むことでこれまでに培った経験がより活きることもあるでしょう。恐れずに「できるはず」と思って転職活動してみると、可能性が広がるかと思います。