神島化学工業株式会社
田渕航平さん(仮名・化成品技術) 34歳
コンサルタントの粘りが、地元化学メーカーへの転職を実現する原動力となった。
自身は岡山、妻は香川といずれも地方育ちという田渕さん。大阪の化学メーカーで働いていたが、そこで家を建てようという気にはなれず、「3人の子どもを安心できる地元で育てたい」と考えていた。
環境を変えて新たな仕事にチャレンジしたいという思いもあり、転職活動をスタート。他の転職支援会社から神島化学工業の紹介を受け、第一志望として前向きに考えていたものの、断りの連絡を受けてしまう。
そのことをリージョナルキャリア香川のコンサルタントに相談したところ、すぐに再アプローチに動くこととなり、結果として同社との面接が実現したという。
「おかげで理想通りの仕事と生活が実現できた」と笑う田渕さんの転職体験談を伺った。
※本記事の内容は、2022年9月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで99日間
転職前
- 業種
- 化学メーカー
- 職種
- 技術職
- 業務内容
- 既存製品の改良開発、工程改善、品質管理、客先向け仕様書作成等
転職後
- 業種
- 無機化学メーカー
- 職種
- 化成品技術
- 業務内容
- 新規設備の立ち上げ、新規設備の検討、生産工程の改善検討、既存製品の改良開発
先細りの市場にしがみつくより、新たな環境でスキルを成長させたい。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
神島化学工業は化成品、セラミックス、建材の3つを軸に事業展開する無機化学メーカーで、私は化成品分野の生産技術に携わっています。
当社は天然由来の酸化マグネシウムを使った医薬品原薬を製造していて、これは主に便秘薬として活用されています。日本の便秘薬には効き目の強いものが多く、子どもや高齢者、妊婦などには向きません。
効き目の緩やかな便秘薬を求める声も大きく、そういった方々も安心して服用できる薬を安定生産するために技術環境を整備する…といった業務を行っているのです。
当社製品を使用した便秘薬はOTC医薬品としてドラッグストアなどでも売られているので、目にしたことがある人もいるかもしれません。
入社前のご経歴を教えてください。
大学院まではずっと岡山でした。その後、大阪の化学メーカーに就職し、9年間、触媒関係の業務に就いていました。
具体的には、製品を作る工場とお客様の間に立ち、お客様への仕様書を作成したり、製品に寄せられたご要望やご質問への回答をまとめたりしていました。その他、工程の改善や品質管理に取り組んだこともあります。
転職のきっかけは?
妻と将来について話したんです。「ずっと大阪にいて家を持つか?」と言われると、二人とも具体的なイメージを持てませんでした。私は岡山、妻は香川の地方育ちだし、自然に囲まれた方が子育てにもいいのではないかと感じていました。地元には子どもたちの祖父母もいますから、病気の時も協力してもらえます。
仕事面では、担当製品の市場が先細りしており、いずれ海外に行くことになるかも…という声もありました。そうなると家族に負担をかけてしまいます。
先の見通せない中で従来の仕事にしがみつくより、環境を変えて新たな仕事にチャレンジしたい気持ちが強くなってきました。生活・仕事の両面から考えて、私か妻の地元にUターンしようと思ったのです。
転職活動はどのように進めましたか?
岡山と香川の化学メーカーに絞って、転職サイトにエントリーしました。すると複数の転職支援会社からオファーをいただいたのですが、なかなか地元に特化した情報を頂けませんでした。
香川の転職に力を入れている会社を改めて検索すると、たまたまリージョナルキャリア香川(運営会社:リージェント)がWEBでセミナーを開催するという情報を発見し、参加させてもらいました。
実はその直前に、別の転職支援会社から神島化学工業の紹介を受けていて、興味を持ったので話を進めたいと連絡したものの、後になってコンサルタントから「すみません。現在は募集していませんでした」とのこと。
大変残念に思い、後日、リージョナルキャリア香川の山下さんに相談したところ「ではこちらから神島化学工業さんに確認してみます」と動いてくれて。すると「神島化学工業さんが“そういう経歴の人ならぜひ会いたい”と言っています」と、思いがけない返答。
どうも最初の転職支援会社は、神島化学工業にきちんと声がけをしていなかったようなのです。「ぜひお願いします」と面接することになりました。
今の会社に決めたポイントは?
妻の地元の観音寺から工場が近いし、前職と事業も似ている。経験が活かせるし、面接の雰囲気もとても良いものでした。
また環境分野の事業にも力を入れており、是非やってみたいと感じました。条件面が全て合致していて迷いはありませんでした。
祖父母に囲まれ、ゆとりを持った子育てができるようになった。
転職していかがですか?
いろんな仕事を任せてもらっています。影響範囲の広い業務を担当することもあり、責任も感じますが、やりがいも大きいですね。
ポンと任せてしまうだけでなく、しっかりフォローもしてくれます。もともとそういう風土の会社のようです。みんなで同じ目標に向かって、協力してやっていけているし、自分の努力が会社の役に立っている手応えもあり、イキイキと働けています。
転職して良かったと思うことは?
いろんなことを学ばせてもらい、自分がレベルアップしている実感を持てています。今まであまり詳しくなかった、生産設備の詳細や不具合の解消についても分かるようになってきました。原薬の生産技術の深い部分にまで関与できるので、充実感があります。
困っていることや課題はありますか?
今はやりたいことがたくさんあるんです。工場として解決しないといけない目の前の業務もあるし、中長期的にやっていきたい目標もある。いろんなことを抱えて頭が回りきっていない、というのが課題ですね。
自分自身の問題なのですが、もう少し短期的なものと中長期のものとのバランスを考えて対応しなければ、と感じています。
生活面の変化はありましたか?
時間軸がゆっくりになったと感じます。星もきれいだし、マンションにクワガタが飛んできたりして。山も海も近く、3人の子どももみんな喜んでいます。
祖父母は子どものお迎えに行ってくれたり、晩ごはんを用意してくれたりといろいろ協力してくれて、本当に助かっています。ゆとりを持った子育てができるようになりました。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
自分のやっていることを「大したことない」と考えている人も多いかもしれませんが、職務経歴の棚卸しをきちんと行えば、自分にできることの価値が分かってくると思います。
自分が価値ある経験を積んできたのだとわかれば、転職先にも自信を持ってアピールできるようになるでしょう。そのためにも、コンサルタントの力も頼りながら、自分に何ができるのか整理するのが近道だと思います。