十全化学株式会社
広田涼介さん(仮名・経営企画) 38歳
38歳で妻の故郷へ。異業界転職で見えたキャリアアップへの道。
新卒で物流会社に就職し、15年間勤務した広田さん。入社時には「将来転職するとは想像していなかった」というが、現在は妻の故郷である富山で、やりがいのある仕事、尊敬できる上司と出会い、新たなキャリアアップに挑んでいる。
転職を決めた理由のひとつは、4年に1回のペースで続いていた転勤。「家族の負担を減らしたい。そして、家族との時間を増やしたい」との思いが、一歩を踏み出すきっかけになったという。
転職先は、前職とはまったく異なる医薬品業界。「新たな環境で仕事への意欲を掻き立てられると同時に、ワークライフバランスも劇的に向上し、体調も良くなりました。キャリアコンサルタントというプロに相談したことで、いろいろな不安を解消することができました」と、転職ストーリーを明るく振り返ってくれた。
※本記事の内容は、2021年8月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで83日間
転職前
- 業種
- 物流業界
- 職種
- 経営企画職
- 業務内容
- 契約交渉、収益管理、社内会議資料作成、営業免許・許認可事項に関する事項、グループ統合・再編に関する事項など
転職後
- 業種
- 医薬品原薬メーカー
- 職種
- 経営企画職
- 業務内容
- 各部門と連携しての経営課題の解決、経営分析資料の作成、社内会議の調整、業界動向調査など
最初に相談したのはキャリアコンサルタント。プロと話すなかで自分のやりたいことが整理された。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
富山の医薬品原薬メーカーの十全化学株式会社で働いています。配属部署は経営企画室で、各部門と連携しながら課題への対策を行っています。例えば、製造部で人が足りないという課題があれば、人員配置の調整や、採用活動などを一緒に行います。社内業務を円滑に行うための調整役、橋渡し役ですね。
入社前のご経歴を教えてください。
大阪の大学を卒業後、入社した物流会社で15年間勤務しました。4年に1回のペースで転勤がある会社で、最初は大分に4年、それから東京本社で5年、北九州に4年、名古屋で1年勤務しました。
転勤のたびに部署も変わり、契約交渉、社内の収益分析など管理系の業務、また物流現場の管理者として現場の課題解決にあたったり、安全や品質に関する対応など、いろいろな仕事を経験させてもらいました。新しい業務をしたり、新しい地域で知らない人と一緒に仕事をしたりするのは楽しかったです。
転職のきっかけは?
ひとつは転勤の負荷を減らしたい、ということ。転勤のたびに引っ越すのは家族への負担も大きくて、子どもの将来を考えると落ち着ける場所が欲しいと思いました。
もうひとつの理由は、鉄鋼関係の物流会社だったのですが、業界自体の先行きが見通せないと感じたことです。完全子会社だったので、仕事の自由度という面でも不安を感じていました。
2020年に名古屋へ転勤になった際は、妻が里帰り出産をしていて、しばらく離れて暮らしていたんです。しかも新型コロナウイルスの第一波が来たときだったので、全く家族に会えなかったんですね。その時、転職を本格的に考えた方がいいと考えるようになり、夏から具体的に動き始めました。
転職活動はどのように進めましたか?
まずは3社の転職サイトに登録しました。転職をするなら新しいことに挑戦するのもありだなという気持ちだったので、業界は絞らず、地域だけを限定して探しました。
地域は自分の地元の大阪か、妻の地元の富山を候補にしました。富山については、地元の情報に強いというリージョナルキャリア富山に相談しました。
最初は不安や迷いもありましたが、キャリアコンサルタントと話していくうちに、自分の考えが整理されて、だんだん方向性が決まっていく感覚がありました。初めての転職で、給与などの待遇のほか、コロナ禍での面接のやりにくさなど、不安も多かったのですが、丁寧にアドバイスしていただけたので心強かったです。
もともと楽観的な性格なので、プロの方に「大丈夫」と言ってもらえるだけで、気持ちは楽になりましたね。最終的に経営企画などの職種で候補を絞りましたが、面接で志望動機などを答えていくなかで、改めて自分のやりたい仕事が見えてきました。
面接を受けたのは5~6社で、最終面接までいったのは今の会社を含めて3社でした。大阪と富山、どちらの会社もありましたね。
今の会社に決めたポイントは?
面接のとき、会社の中期経営計画を進めていくなかで「いまある社内の課題を解決していくときに、あなたの経験を活かせそうだ」と言ってもらえたことがひとつ。また、社長をはじめ面接でお会いした方々が、もともと大企業でグローバルに活躍し、そこから今の会社に転職していたんです。富山の地元企業ですが、そういった社員がいる環境で働くのはきっと面白いと考えました。
さらに面接官のひとりが、私がいた会社の親会社に勤めていたということも分かったんです。それを聞いて、富山という全然知らない土地で、知らない会社で働くという不安が消えて、安心感が生まれました。やりたいと思えた仕事でしたし、面接官(今の上司)と話すうち、この会社で働きたいと思えたのが大きかったです。
新たな環境のなか、自分のキャリアアップに手ごたえ。ワークライフバランスも激変!
転職していかがですか?
前職とは異なる業界なので、環境や文化は全く違いますが、今はそれを楽しめています。勉強させてもらっている、という感覚がありますね。新しいことを学びながら、いろいろ吸収していきたいと思っています。
ただ、現場があるという環境は前職と一緒なので、先日の会議では人の管理について発言させてもらったのですが、役に立てていればいいなと思います。
転職して良かったと思うことは?
思い切って違う業界に行ったのは、自分の新たなキャリアアップになるという点で良かったと思います。あとは、働き方も変わって、ワークライフバランスが改善されました。前職では24時間、365日動いている現場の管理職をしていたので、休みの日も寝ているときでも電話を手放せず、いつ連絡がくるか待ち構えるような状況だったのですが、いまは家に帰れば完全にオフに切り替えられています。体調もいいですね。
困っていることや課題はありますか?
自分自身の課題としては、やはり業界のことをもっと知らないといけないなと思っています。言葉ひとつとっても、まだ知らない専門用語もあるので。
生活面での変化はありましたか?
まずは家族との時間が増えました。それがすごく良かったなと思います。家の近くに大きい公園がいくつもあるので、子どもと毎週遊びに行っています。近所を散歩するだけでも楽しいですね。転勤族のときは諦めていたマイホームも手に入りました。
趣味がボクシングで、20歳ころからずっとスポーツジムに通っているのですが、富山でもジムが見つかりました。自分の趣味の時間も持てる余裕があるのはうれしいです。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
迷ったら、まず誰かに相談してみるのがいいと思います。私はプロと話をするのが一番すっきりすると考え、妻や友人より先に転職支援会社に相談しました。実際、いろいろな話をするなかで自分の考えを整理できたのでよかったと思っています。
相談するなかで「転職しなくてもいい」という気持ちになったら、それはそれでいいと思っています。実は、以前に何度か転職を考えたことはあって、スカウトで声をかけられたこともありました。でも、その都度「いや、今じゃないな」というのを繰り返してきたので、転職に踏み切るタイミングというのはあると思うんです。そのタイミングを逃さないように、常に自分の気持ちに耳を傾けることが大切だと感じています。