一般社団法人広島県観光連盟
橋村浩輔さん(仮名・企画職) 35歳
「広島のためになる仕事がしたい」漠然と始めた転職活動の先には、運命的な出会いが待っていた。
いつかは広島にUターンしたいという思いを持ちながらも、現状に大きな不満はなく、広島に帰らないといけない事情もない、そんな中で具体的な行動には至っていなかった橋村さん。ふと今後を考えたときに、背中を押してくれたのは妻の一言だった。
広島に帰るなら、広島のためになる仕事がしたい-漠然としたところからスタートした橋村さんの転職活動だったが、自分は何ができるのか、どうすれば広島のためになるのか、自分自身と真剣に向き合った結果、まさに運命的とも言える出会いを手繰り寄せることになった。
現在、大好きな地元広島で、郷土愛に満たされながら全力で仕事にコミットしている橋村さんに、Uターン転職活動を振り返ってもらった。
※本記事の内容は、2021年7月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで31日間
転職前
- 業種
- 金融
- 職種
- 営業・業務管理
- 業務内容
- クレジット事業における営業、プロジェクト管理
転職後
- 業種
- 観光
- 職種
- プロダクト(観光商品)開発
- 業務内容
- 広島ならではの新しい魅力ある観光商品(観光プロダクト)の開発
「自分がやりたいのは、これだ!」-ぼんやりしていた視界が一気にクリアになった。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
広島県観光連盟(以下「HIT」)で、広島県の観光を基幹産業に育てるための様々な「仕掛け」を企画・推進しています。国内外の多くの人が広島に訪れ、広島でしか得られない価値に触れ、また訪れたいと思ってもらえるような観光プロダクトを開発するのがメインミッションです。
また、広島が好きな人なら誰でもなれる「HITひろしま観光大使」や、様々な事業者との連携を創出するプラットフォーム事業「HYPP(ハイプ:Hiroshima Yearning Product Platform)」といった取り組みを進め、顧客エンゲージメントの向上やCRM(顧客関係管理)の強化に携わっています。
先日も私たちHITの取り組みやビジョンを共有するオンラインセミナーを実施したところ、1,000名以上の方に参加していただき、HITに対する興味や期待の大きさを実感したところです。
入社前のご経歴を教えてください。
広島出身で、関東の大学を出た後、新卒でクレジットカード会社に就職しました。そこでは、債権回収業務や加盟店営業、営業サポート業務など、クレジット事業に必要な業務を幅広く経験しました。
転職のきっかけは?
地元広島が好きで、前職に新卒入社した頃から「いつかは広島に帰ろう」と思っていたのですが、日々忙しくするうちに、気付いたら30歳を過ぎていました。
それから社内の部署異動で仕事がかなり忙しくなり、心身ともにキツい時期を迎えました。妻からも心配されることが増え、あるとき、「このまま続けていけるんかな」とこぼすと「次の道を考えてみてもいいんじゃない?」と言ってくれたことをきっかけに、転職、そしてUターンを具体的に考えるようになりました。
転職活動はどのように進めましたか?
まずは「とりあえず」という思いでスカウト型の転職サイトに登録しました。特に金融系の企業から多くスカウトをもらったのですが、「何か違うな」と感じました。というのも、明確には志向は定まっていなかったのですが、「広島のためになるような仕事がしたい」という思いがずっとあったんです。
そんなときに、ふとHITのことを思い出しました。実は東京に住んでいる頃から広島のニュースをよく見たりしていて、HITのことも知っていました。先ほどお話しした「HITひろしま観光大使」にも登録したり、Instagramをフォローしたり、よくチェックしていたんです。
そこで「広島県観光連盟 採用」とWeb検索すると、広島に特化した転職をサポートしているリージョナルキャリア広島のサイトでHITチーフプロデューサーの山邊さんの記事を発見。求人もあったので「これだ!」と思いすぐにエントリーしました。
担当コンサルタントとの面談で詳しく聞いてみると、まさに自分がやりたいと思っていた仕事でした。しかも、求人はちょうど1週間ほど前に預かったばかりと聞き、勝手に運命的なものを感じました(笑)。
とは言え、これまでとは業界も経験も異なるので、コンサルタントにサポートしてもらいながら経験を棚卸しして、何が自分の強みなのか、その強みをHITでどう活かせるのかといった深堀りを行いました。
2度の面談を経てHITに推薦してもらったところ、山邊さんから「会いたい」とお返事をもらい、面接に至りました。
今の会社に決めたポイントは?
面接で山邊さんからHITの取り組みや実現したいことを聞き、あらためて自分のキャリアとして目指したい方向と一致していることが確認できました。
HITは2020年4月に新しい体制になったばかりで、山邊さんからも「まだまだ立ち上げフェーズで、やらなきゃいけないことも課題も山積み。そのぶん、おもしろい仕事ができると思うよ」と言われ、「力を貸してほしい」とも言ってもらえたので「ぜひ!」と、お世話になることを決めました。
妻や義父母に誠意を持って覚悟を伝える。そのプロセスにも大きな価値があった。
転職していかがですか?
入社してまだ間もないですが、早速いくつかのミッションをもって、HITの「ど真ん中」の仕事をさせてもらっているので、とても刺激的でやりがいを感じています。
HIT自体は広島県からの出向メンバーが多く、まだプロパーは少ないのですが、私と近いタイミングで中途入社したメンバーもいます。皆さんオープンで、思った以上に自由なスタイルで仕事ができているので、居心地も良いですね。
転職して良かったと思うことは?
やはり何と言っても広島で暮らせること、そして、心からやりたいと思える仕事に出会えたことです。以前は「いつかは広島に」「広島のためになる仕事を」と、つねに漠然とした状態でしたが、転職活動を通して自分自身としっかり向き合うことができましたし、今後の中長期的なキャリアという意味でも、力強く一歩を踏み出せたように感じています。
それから、これは思わぬ副産物だったのですが、妻や、義父母とも絆が深まりました。というのも、「広島に帰りたい」「HITの仕事がしたい」というのは、言わば私のわがままで、言い訳も効きません。妻を連れて広島に帰るにも、責任があります。
そのあたりの覚悟を妻や義父母にもしっかりと伝え、結果として快く承諾してもらったのですが、「娘さんをください」ではないですが、2回目のプロポーズみたいな気持ちでしたね(笑)。これを経て、本当の家族になったというか、関係性が強くなったように感じています。
今では義父ともLINEで「元気にしてるか?」「お父さんはどう?」みたいなやり取りを普通にしていて、それが嬉しかったりします。
困っていることや課題はありますか?
今困っていることはないのですが、住まい探しには苦労しました。
広島の不動産会社からは「東京に比べると新築物件が少ないし、なかなか空きも出ない」と言われていました。東京からたびたび広島に戻って探すわけにもいかないので「駆け引きなしで最短で決めたい」と話し、2回ほど広島で物件を見て回りました。
何とか入社までに今の物件を見つけることができたのですが、結局内見はできぬまま決めることになりました。ある意味、Uターン転職の大変さを実感した部分だったかもしれません。
生活面の変化はありましたか?
「やっぱり広島はいいなぁ」という一言に尽きるぐらい、地元愛が満たされていることを日々実感しています。
妻は関東出身で、実は以前は「広島には行かない」と言っていたんです(苦笑)。それでも、何度か一緒に広島に帰って「暮らすならどんな感じのところが良い?」とヒアリングしながら自転車で街を散策したり、私の友人たちと遊んだりするうちに「思ったより悪くないね、むしろ好きかも」という感じになっていきました。
友達の奥さんと仲良くなって「広島に友達がいる」という状態になったのも、かなり安心材料だったみたいです。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
私の場合、今思うと「HITに行きたい」という思いがなければ、転職支援会社を利用しようとは思わなかったかもしれません。以前、とある人が「そういうところに登録すると、すぐに企業への応募を勧められて、転職“させられてしまう”よ」と話していたことを覚えていて、確かにその感覚は分かる部分がありました。
ただ、今回実際にコンサルタントに相談してみて、結果的にはとても良かったと思っています。「HITの求人を見てエントリーした」と伝えた私に対して、コンサルタントは、「それは一旦置いておいて、そもそもなぜUターンしたいのか?」「Uターンして何を実現したいか?」「どういうキャリアにしたいか?」など、フラットに整理するところから始めてくれました。
内定後も退職までのプロセスをレクチャーしてもらいながら、一つずつ自分の中で腹を決めていくことができました。
そういったプロセスがあったからこそ、妻や義父母、前職の上司や同僚にも、誠意を持って意志を伝えることができましたし、とても価値があったと思います。そういう意味では、Uターンするかどうか決めていない人とか、迷いがある、といった人こそ、まずは相談から始めてみると良いと感じました。
その結果として、納得のいく転職ができれば言うことなしですね。私と同じように「広島愛」を持つ方が一人でも多くUターンを実現して、もっともっと広島が盛り上がっていくと良いなと思っています。