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「安全・安心」を土台に、新たな挑戦を―西部ガスグループが目指す人的資本経営。

西部ガスホールディングス株式会社
執行役員 人財戦略部長 末次 隆

福岡 更新日:2026年3月18日

1966年、福岡県生まれ。九州大学経済学部を卒業後、1990年に西部瓦斯株式会社(現:西部ガスホールディングス株式会社)に入社。営業部門や総務部門でキャリアを重ね、2018年に営業本部福岡リビング営業部長、2019年に北九州総務部長に就任。2021年に西部ガスホールディングス総務部長、2023年に同社総務広報部長および西部ガス理事を歴任。2024年に西部ガスホールディングス執行役員総務広報部長、2025年に同社執行役員人財戦略部長および西部ガス執行役員人事部長に就任し、現在に至る。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

いま、あらためて「人」を基盤に置く。

私たちは北部九州を中心に、エネルギーと暮らしのサービスを通じて、地域の皆さまとの信頼関係を築いてきました。1930年の創業から長い年月を重ね、2030年には創業100周年を迎えます。

コア事業である都市ガス事業においては、ひびきLNG基地を中核に天然ガスを供給し、地域の皆さまに「安全・安心」をお届けしてきました。

「安全・安心」は、私たちの事業の前提です。日々の保安活動や設備の維持管理など絶え間ない努力を丁寧に続けてきた結果として、地域の皆さまとの信頼関係が築かれてきたのだと受け止めています。

一方で、エネルギーを取り巻く環境は確実に変化しています。カーボンニュートラルへの対応や市場環境の変化、デジタル技術の進展、資本効率を意識した経営など、求められるテーマは広がっています。

これまで大切にしてきた価値を守りながら、同時に新しい取り組みへの挑戦も進めていかなければならない。そうした中で、あらためて意識しているのが「人」の存在です。

インフラや設備は重要な事業基盤です。ただ、それを活かし、改善し、次の形へと発展させていくのは人だと考えています。計画を立てること以上に、現場で実行できる組織であるかどうかが問われているのではないでしょうか。

だからこそ、人的資本を経営の基盤として位置づけています。変化に対応していくためにも、「どんな人財が、どのように力を発揮できるのか」。そこをこれまで以上に丁寧に見ていく必要があると感じています。

「ACT2027」における人的資本の位置づけ。

2025年度からスタートしたグループ中期経営計画「ACT2027」では、ガスエネルギー事業の強化と事業多角化の両立を基本的な位置づけとしています。

これらを推進するための全社戦略の柱として「サステナビリティ経営」、「グループネットワーク経営」、「資本コスト経営」を掲げていますが、これらすべての戦略の土台として「人的資本経営の強化」を位置づけています。

従業員の挑戦と成長こそが当社グループの価値創造の源泉であると考えています。

ACTには「ACTIVE」、「ACTION」、「ACTIVATE」といった意味を込めています。より積極的に行動し、当社グループを活性化していく――そんな期間にしていくための計画です。

この計画では、事業だけでなく、人のあり方も含めて見直していくことを明確にしています。

具体的には、2027年度に従業員エンゲージメントスコア65%以上、DXコア人財650名の育成といった目標を掲げています。数値で示すことで、取り組みを継続的に確認していく枠組みを整えています。

さらに、人的資本に関する取り組みについては、人的資本レポートとして公表しました。こうした取り組みを整理し、開示することで、地域社会からの評価につながり、また、次なる企業価値向上への第一歩でもあると考えています。

九州の企業としては先行する取り組みの一つと受け止めていますが、特別なことをしているというよりも、「きちんと向き合う」という姿勢を形にしたものだと考えています。

ACT2027においては、ROEやROICといった資本効率の目標も設定しています。ただ、それらも最終的には人と組織の力にかかっています。

設備や制度だけではなく、それを活かす人財をどう育てていくか。そうした視点をACT2027の中であらためて明確にしました。

取り組みはまだ始まったばかりです。ただ、人的資本を基盤に据えるという考え方は、今後の計画を進めていくうえでの前提になるものだと思っています。

エンゲージメント向上とグループ連携の強化。

人的資本の取り組みとして、今年度からエンゲージメントの測定を本格的に始めました。ACT2027でも向上を掲げていますが、まずは組織の状態を客観的に把握することが出発点だと考えています。

単にスコアを追うのではなく、どのような環境で力を発揮できるのか、どこに改善の余地があるのか。そこを確認し、対話につなげていくことを重視しています。エンゲージメントは、そのための重要な指標の一つです。

そのうえで、グループ会社との連携もより意識するようになりました。会議体や研修など、さまざまな情報交換の場は以前からありましたが、ホールディングスとしてどのようにグループ全体を支えていくのか――その視点も、より明確になってきています。

人財ポートフォリオの検討もその一環です。どの領域にどのような人財が必要なのかを整理し、グループ全体での配置や育成のあり方を見直していきます。

また、導入済みのタレントマネジメントシステムに加え、キャリアポータルの構築も行いました。これは、他の社員の所属履歴や資格といったキャリア情報を閲覧し、面談を申し込める仕組みです。

これまでは相談先が上司や外部専門家に限られていましたが、社内にも範囲を広げることで、必要な情報を主体的に得られる環境を整えていきます。

互いの経験やスキルを参考にしながら、多様なキャリアパスを描けるようになること。そして、部門を越えた交流や知見の共有が進むことも期待しています。

エンゲージメントの把握から始まり、グループ連携の視点を加えながら、配置や育成の議論へとつなげていく。そうした積み重ねが組織力の向上につながると考えています。

制度と風土で挑戦を後押しする。

人的資本の取り組みを進めるなかで、人事制度の見直しも行っています。

グループの中核企業である西部ガスにおいては、これまでの職能資格制度を見直し、2026年4月から、担う役割を軸に評価する「役割等級制度」へ移行します。

年次や在籍年数ではなく、どのような役割を担い、どのような成果を生み出しているのか。役割等級に基づき期待役割を明確化し、成果評価を報酬に反映する仕組みへと進化させていきます。

また、係長以上の役職については、スペシャリスト職とマネジメント職にコースを分けることで、それぞれの強みを活かせる選択肢も広げていきます。

多様なキャリアのあり方を認めることも、挑戦を後押しするうえで欠かせない視点だと思っています。加えて、制度を整えるだけでなく、組織の風土を育てていくことも欠かせません。

その取り組みの一つが、社内で展開している「ソウゾウ大学」です。部署や役職を越えて学び合い、新しい視点や発想を育む場として設けています。

日常業務から少し離れ、自ら考え、対話し、刺激を受ける。そうした時間があることも、挑戦を後押しする環境づくりにつながっていると感じています。

また、社長からも「前例踏襲ではなく、常に新しい価値を考えてほしい」というメッセージが繰り返し発信されており、社長自らが語る社内向けの動画配信などを通じて、会社としての方向性や想いを共有する取り組みも続けているところです。

インフラ企業としての安定性は大切にしながらも、その土台の上に新しい挑戦を積み重ねていく。制度と風土の両面から、挑戦しやすい環境を整えていきます。

地域の成長を支える、自らの進化。

西部ガスには「安定している会社」というイメージがあると思います。実際、それは長年、安全・安心を守ってきた結果でもありますし、私たち自身も大切にしてきた価値です。

一方で、私たちの事業基盤である北部九州、とりわけ福岡は、いまも着実に姿を変えています。都市開発や産業投資が進み、街の表情も少しずつ変わってきました。

エネルギーインフラを担う企業として、地域の成長を支えることはこれからも変わらない使命です。ただ、その役割を果たし続けるためには、私たち自身も変わり続けなければならないと感じています。

北部九州、そして福岡の動きは、私たちにとって外部環境の変化であると同時に、新たな可能性が広がる機会でもあります。だからこそ、その一端を担える存在でありたいと考えています。

新しい事業領域への挑戦や、デジタル化への対応、組織のあり方の見直しなど、進化を止めないこと。それが結果として、地域を支え続ける力につながっていくはずです。

その過程で大切にしているのが、「チームで動くこと」、「周囲を巻き込むこと」、「自ら挑戦すること」です。一人で完結するのではなく、部門や立場を越えて協力しながら前に進んでいく。そうした姿勢が、これからはより一層求められていくと感じています。

地域の成長を支える存在であり続けるために、私たち自身も進化し続ける。その積み重ねが、次の時代につながっていくのだと思います。

「安全・安心」を土台に、新たな挑戦を福岡で。

これまで築いてきた「安全・安心」を土台にしながら、その先の時代にどう向き合っていくのか。それが、いま私たちに問われているテーマです。

人口増加や都市開発が続き、活力を増す福岡。その成長を支えるエネルギーインフラを担う企業として、私たちの役割は決して小さくありません。

地域に根ざして働くということは、自らの仕事が地域の変化や成長と直結していることを実感できるということでもあります。

日々の業務の積み重ねが、街の暮らしや産業の基盤を支えている――そんな手応えを感じながら働ける環境です。

人的資本を基盤に、制度や風土を整えながら安定の上に挑戦を重ねていく。その一つひとつの取り組みが組織の進化であると同時に、地域の成長を支え続ける力にもなっていくはずです。

自ら一歩を踏み出し、周囲を巻き込み、チームで動く。そうした姿勢を持つ方とともに、福岡のこれからを支えていきたいと考えています。

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