「林原」から「ナガセヴィータ」へ。世界で光るサステナブル企業を目指す。
ナガセヴィータ株式会社
取締役 サステナビリティ経営部門長 竹本 圭佑
2010年11月 大手コンサルティングファームを経て親会社である長瀬産業株式会社に入社
2016年9月 経営企画担当としてナガセヴィータ株式会社へ出向
2023年4月 ナガセヴィータ株式会社に転籍。ナガセヴィータ株式会社経営サステナビリティ経営部門長 就任
2025年4月 ナガセヴィータ株式会社 取締役 就任
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
「生命に寄り添い、人と地球の幸せを支える」企業として。
当社は2024年4月、社名を「林原」から「ナガセヴィータ」へと変更しました。140年以上にわたり培ってきた「生命を尊び生物に学ぶ」という姿勢を大切にしつつ、さらに未来へとつなげていくため、まず新しくパーパス(存在意義)を策定。「生命に寄り添い、人と地球の幸せを支える」というパーパスのもと、共生・共創の意思を込めた新社名「ナガセヴィータ」が誕生しました。
当社のパーパスを紐解くと、まず「生命に寄り添い」は、人と地球の幸せを支えるためのスタンスです。微生物や独自の酵素など、バイオテクノロジーによるモノづくりをしている素材メーカーとしての当社の姿勢を表しています。
そして「人と地球の幸せを支える」は、当社独自の素材を通じて人の暮らしに役立つ、環境にやさしいモノづくりを示しています。代表的な製品であるトレハロースをはじめとして、当社が生み出す素材の数々は、食品のみならず化粧品、医薬品など暮らしに広く使われています。
さらには環境に配慮した生産・物流体制や、環境負荷低減に貢献するソリューションを顧客企業とも一体となって創出していきます。その中で、最も重要な存在となるのは「人財」です。当社のモノづくりは「人」なくしては成り立ちません。
厳しさを増す求人市場と、人々の価値観の変化への対応が多くの企業で課題となっていますが、働く社員のエンゲージメントの高い環境を実現していくことで、逆に大きなチャンスになり得ると私たちは考えています。
充実した教育プログラムで成長をしっかりと支援し、その後のステップアップに応じて、自ら手を挙げて自己実現を果たしていける。そうした環境づくりに会社として注力していきます。
高付加価値なモノづくりでグローバルに事業拡大中。
医療・安全保障における世界的な危機や、物価上昇に人々が直面する昨今。物量だけではなく付加価値を提供することが、なお一層求められています。
例えばコンビニに並ぶお菓子ひとつをとっても、多様化と高付加価値化が加速しています。消費者のさまざまなニーズに応える顧客企業に向け、顧客製品に合わせた開発やプロトタイプ提案を行ってきた当社にとって今後ますます人々の暮らしに貢献できる幅は広がっていくと考えます。
付加価値とは、単なる嗜好にとどまらず、サステナビリティにも直結していると当社では考えています。一例をあげると、当社の食品素材部門「フードシステムソリューションズ部門」は、食料システムという考え方のもと、社員一人ひとりが健康寿命延伸への貢献、安定的な食料確保、環境負荷の低減など広い視野を持ちながら、顧客への細やかな提案を行っています。
顧客製品の品質向上はもちろんのこと、顧客の生産工程の負担低減まで考慮した価値あるソリューションを顧客に提供しています。独自の素材・独自の技術で、付加価値を提供していく。そうした姿勢は顧客から高い評価を得ており、近年では食物繊維素材など製品のバリエーションも広がっています。
また化粧品素材も歴史が長く、ブライトニングやエイジングケアに資する安定型ビタミンC誘導体などは、有名ハイブランドをはじめ欧米・中国・東南アジアの海外メーカー各社での採用が拡大しています。
さらに医薬品素材では、米国大手製薬会社をはじめ、欧米・中国の医薬品メーカーで特に製剤の安定化に役立つ糖質素材の活用の幅が広がっています。
EcoVadisプラチナ評価を2年連続獲得。
グローバルな事業の広がりと合わせ、その取り組みを世界基準に合わせる活動も進めています。その一つがEcoVadis(エコバディス)の評価です。
EcoVadisとは、グローバルサプライチェーン企業のサステナビリティパフォーマンス評価において、世界的に信頼されている評価機関です。世界185ヶ国以上、15万社以上の企業を評価していますが、最上位の「プラチナ」は評価対象企業のうち、総合得点が上位1%以内の企業に与えられる評価で、当社は2024年と2025年の2年連続で獲得しています。
EcoVadisでは、「サステナビリティ」の旗印を掲げるだけではない、実態・実績を伴った取り組みであるかどうかが厳しく評価されます。CO2や水使用量の削減などはもちろんのこと、社内外にわたる環境、労働と人権、倫理、持続可能な資材調達など、幅広い分野でエビデンスの伴った取り組みが求められます。
もちろん、取り組みをスタートした当初は課題が山積みでした。しかし、グローバル環境の中で我々に足りない点を真摯に受け止め、現場の社員一人ひとりが課題を認識し一体となってPDCAを回してきた結果、2022年にゴールド、2023年にシルバー、2024年にプラチナの評価を受けました。
プラチナ評価企業は日本国内では約10社、さらに食品関連では国内で当社ただ1社。そのような企業が岡山にあるということに、モノづくりに携わる人間として誇りを感じます。
グループのシナジーを活かし、より充実した人財育成を。
今後は、グローバルでの当社のファンをさらに増やすべく、海外とのタッグでモノづくりを推進していけるリーダーの養成や、その素地がある人財の採用にも注力する必要があります。
そして当社の根幹であるパーパス「生命に寄り添い、人と地球の幸せを支える」および、それを実現するための「バリュー(行動様式・行動指針)」を社員一人ひとりが体現していくことが、最も重要なテーマになると考えます。
社内でのリーダー育成については、従来の新入社員研修、次期リーダー層向け研修などの各種研修制度に加えて、ミドルマネージャー層の経営リテラシー向上を目的とした自社コンテンツによる研修を新設。また、NAGASEグループ全体でのシナジーを活かし、海外グループ企業での最長半年間におよぶトレーニングプログラムも実施しています。
グループ企業間の垣根がないオープンな風土ですから、グループ企業での海外経験や親会社である長瀬産業での経験を経てリーダーポジションとして活躍するなど、今後もグループ内での連携による人財育成を柔軟に行っていきたいと考えています。
また、専門家として個性や経験値を重視したステップアップをしたい、より俯瞰的な視点で活動するグローバルリーダーを目指したいなど、社員一人ひとりが入社2年目から定期的に自身のキャリアプランについて考える機会も設けています。
社内FA制度や公募制度などもあり、社員が自身の思いを言語化し意思表示をすることで、多くのチャンスが巡ってくる環境となっています。
多数の中途入社社員が活躍する、開かれた風土。
中途採用で入社する方々には、チームに新たな個性や経験値をもたらしてくれることを期待しています。これまで培ってきた専門性を発揮すると同時に、他組織も見てきた人財として刺激を与えてほしい。私たちだけでは成し得なかったようなチームの成長につながる、原動力になってほしいと考えます。
実際に中途入社から課長以上の役職にステップアップしている社員も多く、部署異動により経営関係部署で活躍している中途入社社員も複数名います。
もともと、中途入社に限らず海外研究員など多様な人財を受け入れてきた会社です。そのような素地があるためか、多くの中途入社社員から「実際に入社してみるとアットホームで馴染みやすく、入社前のイメージとのギャップをいい意味で感じた」との声を聞いています。