共栄と全員経営で成長する組織。阪和ダイサンが拓く鉄鋼業の未来。
阪和ダイサン株式会社
代表取締役社長 松本 大吾
大阪府生まれ。関西学院大学卒業。
1996年 阪和興業株式会社入社。大阪・東京にて営業職に従事。
2017年 阪和興業株式会社 群馬県に北関東支店開設時に北関東支店長として着任、群馬県に居住。
2022年10月 阪和ダイサン株式会社創業時、代表取締役に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
「そこか事業」を東日本全域へ。阪和ダイサンの設立ストーリー。
私は大阪生まれで、阪和ダイサンの親会社である阪和興業株式会社に入社し、大阪・東京の拠点でおよそ20年間、営業一筋のキャリアを歩んできました。入社22年目に差し掛かった頃、阪和興業が群馬県に北関東支店と工場を同時に立ち上げる話が持ち上がり、初代支店長として着任。2017年に群馬へ移り住みました。
当社は阪和興業グループの株式会社ダイサンから東京支店を切り分けた上で、阪和興業からも東京本社の条鋼部門の一部および北関東支店を切り分け、両者を統合して設立した会社です。阪和興業が古くから力を注いできた「そこか(即納・小口・加工)事業」を東日本で強化するため、2022年10月に阪和ダイサンとして新たなスタートを切りました。
これはカーブアウトと呼ばれる事業の切り出し・承継の方法ですが、近年多くのM&Aを実行し業容を拡大してきた阪和興業の歴史の中でも初めての試みです。阪和ダイサンの立ち上げは、阪和興業が東日本においても「そこか」を体現し、鉄の現物商売に今後もコミットし続けることの象徴です。私も2022年10月の阪和ダイサン創業以来、初代社長として率先垂範で先頭に立って業容拡大に取り組んできました。
鉄鋼業界が注目した「攻めの統合」でさらなる進化を目指す。
有史以来、鉄の歴史は非常に長く、日本を含め世界のあらゆる国で基幹産業として栄えてきました。しかし、バブル崩壊とともに日本国内の鉄鋼需要は低迷し、鉄に関連する事業を縮小、さらには撤退する企業が増加。そのような環境下で阪和興業グループは「そこか」をキャッチフレーズに掲げ、自社による鉄鋼事業の拡大と主に西日本における積極的なM&Aにより、着実に業容を拡大してきました。
そのような経緯を経て、阪和興業としてはやや出遅れていた東日本における「そこか」戦略への具体的な打ち手として、2022年に阪和ダイサンを設立し、東日本においても「鉄鋼事業を拡大させて行く」という攻めの姿勢を打ち出しました。
これは、マーケット規模の縮小とともにプレイヤー数も減少している鉄鋼業界において、「シュリンクしていくマーケットであっても、阪和興業は新たな投資も含めて事業拡大に打って出る」という戦略を具体的に打ち出した点において、業界内で非常に注目を集める意思決定でした。
また社員にとっても、これから衰退していく事業を担うのではなく、自分たちの手で事業を拡大していける可能性を示すものとなりました。実際に設立されたばかりの阪和ダイサン社内には「やってやろう」という雰囲気に満ちあふれていたことを昨日のことのように覚えています。
当社の事業は2本柱で構成されています。すなわち、質量ともに豊富な在庫を抱えつつ加工部門と物流部門を抱える材料事業と、材料仕入れから製品化までをワンストップで対応し、さまざまな形状、用途の要求にもきめ細かく対応する加工エンジニアリング事業の2本柱です。
求められる鉄鋼製品を求められる場所へ速やかに納入することを強みとし、日々スムーズな「そこか事業」の実践に向けて努力を重ねています。
100人超の組織が一つになる「共栄」と「全員経営」の力。
当社は2022年10月の創業時には70名ほどの組織でしたが、創業開始以降に30数名の社員が仲間入りして100名超の組織になりました。特に阪和ダイサン設立以降は中途採用で多くのメンバーが入社してくれて、社内にはいろいろなバックグラウンドを持った社員がいます。
全員が同じ方向に向かって進む強い組織になるため、私が意識して社員に伝えているのは、企業理念としても掲げている「共栄」と「全員経営」です。当社は「阪和ダイサン株式会社はお客様の繁栄を通じて成長する共栄商社です。」との企業理念を掲げていますが、この言葉には「お客様の繁栄を手伝うことが結果として自社を成長させてくれる」という想いが込められています。
また全員経営では、「この会社は社長である私のものではなく、ここで働く社員全員の会社であり、全員が経営者の意識を持って取り組んでほしい」ということを意味しています。今では現場の社員がこれらのメッセージを発信し合い、「阪和ダイサンってこういう会社だよね」という会話が生まれるようになりました。代表の私が同じ言葉を言うよりも、社員同士で伝え合う方が何倍も納得感があり、組織の円滑な運営においても意味があると感じています。
最近、ある女性社員が「業務効率化のためにこのシステムを導入したい」と私のところへプレゼンしに来ました。自分が楽をするためではなく、システムの導入によっていかに社員の仕事がスムーズになるか、どれくらい会社が良くなるかを資料にまとめて、是非やらせてほしいと言うのです。
自分が働く会社が良くなれば自分も成長できるという認識を多くの社員が持ちながら行動していて、まさに共栄と全員経営を体現した例だと感じました。
自らの成長が会社の成長につながる。阪和ダイサンの人材戦略。
当社が求めるのは、スキルアップに前向きな人材です。「自分の価値を高めよう」という意識があるかどうかが大事だと思います。社員の中には積極的に資格を取っている者もおり、資格を取ることで本人の市場価値が上がり、将来の転職において有利に働くケースがあるかもしれません。そのような考え方があってもいいと考えています。
ただ、それでも「阪和ダイサンって面白い会社だな」と思いながら働くのが理想の姿だと思います。会社にしがみつくということではなく、この会社に貢献したいという想いや、自分の実力を試したい、発揮したいという気持ちが重要です。
そんな優秀な方に当社で働きたいと思ってもらうために、近いうちに人事制度の改定を行います。「阪和ダイサンを良くしよう」と思っている人が活躍できる組織にするために、頑張っている人がきちんと評価され、ますます力を出せる会社を目指します。この人事制度が軌道に乗れば、自らのスキルをどんどん高めたいと希望する人にとってさらに魅力的な会社になれると考えています。
完璧な人間はいない。失敗を次の一歩につなげる独自の組織風土。
阪和ダイサンには、壁にぶつかって失敗してもまた挑戦できる風土があります。これは親会社の阪和興業でも同じで、多くの社員に「諦めなければ失敗ではない」というマインドがあり、チャレンジして失敗したことに対しては叱責しない文化が受け継がれています。
その前提には「完璧な人間はいない」という考えがあります。得意・不得意がそれぞれの社員にあり、互いに補い合いながらチームとして働いている。だからこそ一つひとつのミスを必要以上にとがめず、また挑戦できる余地を残しているイメージです。
企業経営も人の成長も、何もしなければ衰退していく一方です。当社ではぶつからないように歩くというよりは、阪和グループという大きな下支えのもとで大胆にチャレンジできる環境があります。やったことのない領域に対してベンチャー的に挑戦したい人にはとても良い会社だと思います。
阪和グループをリードする存在を目指し、群馬から全国へ。
当社の設立に伴い群馬県に移住した私ですが、ここは温泉地・避暑地・自然がいっぱいあって、こんな良い場所に住むことができて本当に幸せだと感じます。
当社は地元への思い入れが非常に強く、この土地で事業を行うからには雇用も含めて地域に貢献したいと考えています。ビジネスの目線で見ても、日本の中心である群馬に生産・物流拠点があることは、お客様の多様なニーズに応えられるという点で大きな強みとなっています。
私が理想とする阪和ダイサンの未来の姿は、当社の社員が阪和グループの先頭を走るようになること、そして親会社の阪和興業に良い影響を与えられる組織になることです。
阪和ダイサンには中途採用で入社して非常に活躍している社員も多数います。そういった人材のチャレンジ精神を存分に引き出しながら、全社員で高め合っていける会社づくりに今後もまい進したいと思います。