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歴史と総合力、開発力を武器に北関東No.1のWebデジタルカンパニーへ。

株式会社インソースマーケティングデザイン
専務取締役 井東 昌樹

栃木 更新日:2024年12月11日

1990年、東京大学教育学部を卒業し、株式会社三和銀行(現:株式会社三菱UFJ銀行)に入行。国内外で法人営業を担当する。退職後、アパレル企業や外食チェーンの企業再生などを経て、2009年、株式会社インソースに入社。取締役営業本部長として業績拡大に貢献。2016年、インソースの東証マザーズ上場を節目に退職、家族の介護のために地元の新潟へUターン。2018年には新潟にある創業150年の老舗ホテルを運営する株式会社イタリア軒の代表取締役社長に就任。2022年、再びインソースに参画、子会社の株式会社インソースマーケティングデザインのエグゼクティブアドバイザーを兼任。同年12月、インソースマーケティングデザインの専務取締役に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

多くの企業で経営や事業再生を経験。

東京大学を出た後、三和銀行(現:三菱UFJ銀行)に就職し、10年ほど勤務しました。当時知り合ったアパレル企業の社長に誘われたのをきっかけに銀行を退職し、その会社で後継者が見つかるまで経営をサポートしました。

その次は外食チェーンで業績不振が続いていた店舗の再生を担当。経営や事業再生に携わった経験を活かし、コンサルティングファームでも勤務しました。そんな折、インソースの社長と知り合って社内研修の講師を依頼されるようになりました。

さらに「営業を見てほしい」と依頼され、取締役営業本部長に就任。2016年、インソースは東証マザーズに上場を果たします。私はちょうど50歳となり、この節目で身を引いて実家の新潟へUターンしました。

新潟では創業150年の老舗ホテルイタリア軒の代表取締役社長を務めましたが、家族の介護のため退任。しばらく家族の介護中心の生活を続けましたが、やや時間に余裕ができた頃にインソースの社長から「宇都宮にWeb系の子会社があるので面倒を見てくれないか」と再び声をかけられました。

そのやりとりから、2022年にインソースマーケティングデザイン(以下、IMD)の専務に就任。事業意欲の高い社長と力を合わせて経営の一端を担っています。

IMDでまず始めたことは「強みの言語化」。

アパレルや外食など、さまざまな業態を見てきましたが、経営上のポイントは共通しています。京セラの創業者である稲盛和夫氏が「売上を極大に、経費を極小に」という言葉を残していますが、まさにこれです。それぞれの会社で、「どうやったら売上を上げてコストを下げられるのか」に愚直に取り組むしかありません。

IMDのメイン商品がWebであれば、それを「誰に」「どうやって」売ればいいか作戦を立てる。作戦立案の際にマーケティングの知識が必要になりますが、これも4P(プロダクト・プライス・プレイス・プロモーション)とSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)といった考え方を頭に入れているくらいで、業界特性に注意する必要はあるものの土台はシンプルといえます。

IMDに参画したときも、同様の考え方で経営に携わっていこうと、まず「この会社の強みはなんですか」と社員に聞いてみました。ところが、答えられる社員がいません。IMDには25年の歴史があり、コツコツと培ってきたネットワークを活かした紹介案件が中心で営業習慣がなく、自社の強みを社員自身もよくわかっていませんでした。

そこで始めたのは「強みの言語化」です。Web業界で25年の歴史はかなり長い方で、老舗企業や先駆者と言っても過言ではありません。その歴史の長さに裏打ちされた質の高さもあります。とびきり独創的ではないですが、堅実な制作物をローカルプライスで提供しており、クライアントにとってコストパフォーマンスが高いサービスです。

また、デザイナーしかいないWeb会社もあれば、コーディング専門の会社もあるなか、IMDにはデザイナー・コーダー・システムエンジニアが揃っています。Webを1社でトータルに扱える会社は、それほど多くありません。こういった強みを言語化し、意識してアピールしました。

システム開発に強いWeb会社へ。

次は売上を上げる戦略です。戦う場所を間違えると、強みも最大限に発揮できません。IMDは栃木本社企業ながら、従来は売上の半分近くを東京の顧客が占めており、栃木の割合は25%ほどでした。そこで、地元の栃木県広告業協会に入会することで地元密着の姿勢を打ち出し、地元企業との付き合いをより密にしていきました。

一方、「高品質をリーズナブルな価格で」といっても、バランスが悪いように感じて商品の単価を上げました。それでも、オーダーは減っていません。やはり地元を大事にしていれば、地元のお客さまは理解してくれるのだと実感しています。

もうひとつ、IMDはインソースグループの一員です。インソースで取引実績のあるお客さまが、IMDの新たなお客さまになる、といったケースもあっていいはず。そう考えて、インソースの営業部門とのリレーションも良くするように心がけています。こういった努力の甲斐もあって、売上・利益ともこの2年で伸びてきました。

IMDの社員数は約40人にすぎないものの、その中にSEが10人もいます。ですから、システムを絡めたサイトづくりがとても得意で、気象情報など規模の大きなインフラ系の案件も対応できます。IMDはWeb制作会社というより、「システム開発のできるWeb会社」というのが最も実態に近く、競争力のある形だと気づきました。

地元のマスコミ関連企業などは、自社ネットワーク内でシステムに対応できないため、システムの関わる案件は東京の企業と組むのが常でした。しかし、今ではIMDに対し「一緒に商品開発しないか」と声がかかることも増えています。

システムに強いということで、インソースからのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)も増えてきました。データベース構築・整備や、グループ内企業のWebサイトのメンテナンスといった要請にも応えていきます。

当面の目標は売上5億円。やがては北関東No.1に。

現在の売上が約3億円なので、当面の目標は5億円。その次は10億円となるでしょう。会社が成長して利益が出たら、その分は社員に還元するつもりです。自己成長が会社の発展につながり、それは結果的に自身の利益に返ってくると理解してほしいと考えています。社員の力があってこそ、5億円、10億円が見えてきます。

会社としては、やはりシステム開発に注力していきたいです。インソース本体にも開発部門があり、スタッフが約40人在籍しています。そこにIMDのシステムエンジニア10人が連携し、一つの開発部隊として動くという構想もあります。そうすると、インソースが手がけるシステムにもタッチできるようになり、仕事の幅も広がります。

そう考えると、IMDが求める人材の一番手はシステムエンジニアです。今はWebコンテンツ制作が大きな柱となっていますが、これにシステム開発やBPOを加え、業務を多角化したいと考えています。目指すのは「北関東エリアでNo.1のWebデジタルカンパニー」です。

人材採用も社員育成も、まずはゴールを見据えてそこから逆算する。

私が専務となった2年前から、新卒採用も開始しました。2024年4月に6人が入社、2025年4月にも6人が入社してくれる予定です。「どうやったら学生に来てもらえるのか」を考えてインターンシップも実施しており、毎回3~4人の学生が参加してくれています。参加した学生からは「社員がみんな丁寧で優しく接してくれて風通しがいい」という感想が寄せられており、それが採用にも好影響を与えているようです。

スタッフとのコミュニケーションも大事にしています。40人くらいの会社ですが、3ヶ月に1回は全員と面談するようにしています。あまり業務成績に関してあれこれ言うことはしません。

その代わり、計画の立て方や知識習得の取り組み、時間管理、といった結果を出すまでのインプットに関しては、かなり細かくアドバイスします。ゴールを設定して、そこに最短でたどり着くにはどんな効率的なインプットをすればよいのかを理解することで、おのずと良い結果につながっていくと考えているからです。

この2年で自社の強みも目指す方向も明らかになってきました。全員で力を合わせ、「北関東エリアでNo.1のWebデジタルカンパニー」を実現したいと思います。

編集後記

チーフコンサルタント
高山 綾美

インソースマーケティングデザイン社とは、旧社名であるマリンロード時代から長いお付き合いをさせていただいています。当時から続く顧客志向のスタンスと、成長著しいインソースグループ参画による事業スピードの加速を感じるインタビューでした。

井東専務は現在、インソースマーケティングデザイン社およびインソース社の経営を行いながら、これまで培ってきた経営のノウハウを外部にも伝えるべく、幹部育成セミナーの講師や書籍執筆にも取り組まれています。

「幹部社員の仕事は、一に戦略を立てること、二に部下の失敗をカバーをすること」-井東専務の言葉は、私にとっても刺激と学びの多いメッセージとなりました。

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