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四国で培った技術を活かし、電力不足に悩む世界各国の社会・経済発展に貢献。

四国電力株式会社
常務執行役員 事業開発室 国際事業部長 橋本 勇士

香川 更新日:2024年6月26日

1985年、東京の大学を卒業後、四国電力に入社。新居浜営業所勤務を3年間経験し、新規事業部、経営企画部など本店の業務に従事する。30代半ばを迎えた2000年前後、電力自由化という大きな動きが始まる。事業環境の激変により、個人としても意識の転換が必要ではないかと感じ始め、ボランティア休職制度を活用して青年海外協力隊に応募。2003年~2005年まで、セネガルにおける村落開発普及員として活動する。帰国後は四国電力でスタートしていた国際事業に配属され、海外における発電事業を進めるための枠組み作りに取り組む。3年後、中東での案件を獲得し、同社における初の海外発電事業への参画となる。以降、8カ国で11のプロジェクトに参画。2018年、さらに積極的に海外ビジネスを拡大すべく国際事業部が発足し、初代の部長に就任する。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

2003年から海外事業に取り組む。

四国電力が海外事業に取り組み始めたのは、2003年。当初は電力不足に悩む発展途上国などでの技術コンサルティング事業が中心でした。これを起点に、海外における発電やエネルギー関連への投資事業を展開していこう、という動きが起こりました。

海外での事業投資に関するルール作りを始め、金融機関を回って資金調達の枠組みを話し合ったり、エネルギー関連に強い商社と手を組むなど、事業環境を整備。3年後には、四国電力として初の海外IPP(独立系発電事業者)案件となる、中東・カタールにおける火力発電プロジェクトへの参画を果たしました。

海外では頻繁に停電の発生するエリアが珍しくありません。気温40度以上の暑い気候だというのに、昼間から4~5時間停電する国もあります。そもそも電力が行き渡っていない地域も少なくありません。

四国電力には、長く安定的に効率的・低コストな方法で社会に電力を届ける技術・ノウハウが蓄積されていますし、課題・トラブルに直面した時の解決策にも通じています。

それらを活かし、電力不足の国・未電化の地域をサポートし、各国・地域の工業化・産業発展に貢献しよう。その努力と成果を当社の収益基盤の拡大につなげようと、海外事業を少しずつ推し進めてきました。そして2018年、人員を増強しさらに本格的に事業展開していくため、国際事業部が発足しました。

世界各国の発展に「協力したい、役に立ちたい」。

当部のセクションは大きく二つに分かれています。一つは、国際事業全体の計画策定やリスク・業績管理、人材育成を担当する管理部門で、もう一つが個別案件の開発から運営までを担う実働部門です。実働部門はさらに、南北アメリカ・アジア・中東以西とエリアごとにグループが分かれています。

発電事業には、発電所建設・運営のための事業計画策定・コスト算出、資金調達、燃料調達、電力販売、関連業者との契約・協議、さらには発電所に勤務する現地技術者の採用・教育まで、多くの業務があります。

また、発電事業を行う事業会社を現地に設立するので、それぞれの会社が抱える経営課題にも対応していかなければなりません。これらの業務をこなすため、国際事業部には機械・電気エンジニアの他、財務・経理、人事、調達、経営企画など、様々なバックグラウンドを持つスタッフが在籍しています。

多彩な人材の集う組織ですが、全員に共通していることがあります。事業なので収益性は大前提ですが、それ以上に「その国・地域で生活する人々にとって、有益となる活動を行いたい」という想いです。

国際事業部の英語名称を決めるにあたり、“International Business and Cooperation Development”と、あえて“Cooperation(協力)”の一言を加えました。これは、「活動する地域・人のために協力したい、お役に立ちたい。その覚悟なくしては、電力不足・未電化地域での発電という20~30年にもわたる困難な事業を遂行していくことはできない」と考えたからです。国際事業部で働くスタッフには、この基本姿勢が根付いています。

火力発電所や、再生可能エネルギー発電所の計画・建設、その後の運転ならびに地元電力会社への電力販売を行う発電事業について、当部が携わっているのは現在8カ国11のプロジェクトです。今後も着実に拡大していくでしょう。

誠実に対応する。ブレない。その姿勢が信頼を生む。

海外での発電事業は激しい競争にさらされます。事業のスタート時、当社が主力として提案していたのは火力発電ですが、今は再生可能エネルギー発電のニーズが高まっています。

そうなると存在感を増すのは、中国や韓国などの東アジア勢です。太陽光発電は、火力などと比べ手間がかかりませんし、太陽光パネルを大量生産する中国勢には、高いコスト優位性があります。

しかし、発電事業はコストだけで優劣が決まってしまうほど単純ではありません。再エネ発電のニーズが高いと言っても、それだけで365日24時間の電力を賄うのは難しく、調整役としての火力発電をなくすわけにはいきません。

一方、カーボンニュートラルをにらみ化石燃料に頼らない、アンモニアや水素を燃料とする火力発電なども検討していく必要があります。

すなわち、異国の地において長く、安定的に発電事業を続けるには、様々な技術・手法をコーディネートする力、各方面の専門家・利害関係者を結びつけて調整を図り、最適な形を構築する総合力が求められるわけです。その中には、低コストで運営するという要素も含まれます。

20~30年と事業を続ける中では、想定外の事態がたびたび起こります。しかし動じることなく懸案を解決し、ペースを乱さず電力を供給する姿勢が重要です。

発電事業のような大規模プロジェクトを進めるには、出資者、金融機関、商社、設備メーカー、燃料調達先、さらには法務の専門家や保険会社まで、多彩な関係者と手を結ばなければなりません。

これらの人々と一緒に国際事業を進める上で大事なのは、「次もまた四国電力と組みたい」と思ってもらえることです。信頼を得られなければ、プロジェクトは一歩も前に動きません。そのためには「最初に合意した期限を守ること、そして可能な限り方針を変えず、貫徹すること」が肝要だと考えています。

発電事業を継続的に進める技術とノウハウがある。加えて、適切なパートナーとコンソーシアムを組む力がある。期限を守り、ブレずに事にあたる姿勢がある。こうした総合力が強みとなり、20年近くにわたって国際事業で実績を重ねることができています。

2030年に80億円達成を目指す。

事業推進の最前線に立つ者と経営トップとの距離が近く、情報連携がスムーズにできる。そんな風通しの良さも、四国電力の特徴の一つ。

好ましくない情報でも、まだ十分に議論・交渉が煮詰まっていない情報でも、早めに経営層に上げて相談しようという文化が当社には根付いています。早い段階で情報共有ができているため、コンセンサスを形成しやすく、スピーディにゴーサインが出る理由です。

時にはアクシデントでプロジェクトが完遂できずに終わるケースもあります。そういう時でも、経営陣が現場を責めることはありません。「十分に原因を検証し、今後の教訓にしてほしい。このような結果になったからと言って、怯んでもらっては困る」と、むしろ背中を押してくれます。

世界各地から専門家・関係者が集まり、時に厳しく意見を戦わせながら、知恵を出し、汗をかいてプロジェクトを遂行する。目的を達成した先に生まれる成果を、みんなで分かち合う。それが国際事業に取り組む私たちにとっての一番のやりがいです。この仕事に従事していなければ出会うことのなかったであろう国・地域の人々と力を合わせた、という手応え・充実感は、何物にも変えられません。

国際事業部では2025年に40億円の利益目標を掲げていますが、この数字は既に視野に入ってきました。次に目指すのは、2030年に80億円という数字です。5年で2倍という目標を達成するには、もう一段階レベルアップが必要です。単に発電事業にとどまらず、LNG基地運営、今後の拡大が見込まれる蓄電池を使った事業、水素・アンモニアへの取り組みなど、新たな分野の開拓にもチャレンジしなければなりません。

つまり、エネルギーインフラ全般を見渡した事業展開です。これに向かって、経験を重ねていきたいと考えています。

四国から、世界の発展に貢献する。

今後の事業展開の上で最も重要な課題は組織の強化、すなわち新たな人材の獲得と育成です。国際事業部が今日のような実績を築けたのは、意欲の高い人材が頑張ってくれたおかげです。さらに多くの仲間を集め、やる気を持って仕事に注力できる環境をつくるのが私の役目です。

既に述べた通り、発電事業、エネルギーインフラ事業を進めるには、いろんな職種の人間が必要です。発電所を建設、運転、修繕する機械や電気に精通した技術者のほか、事業の枠組み作りや情報収集、資金調達にあたるスタッフ、事業会社を運営するための人事・財務・税務のスタッフ、交渉事をサポートしてくれる法務スタッフなど、事務系職種でも様々な専門性を活かせるチャンスがあります。

人材を見極める上で私が重視しているのは、「コラボレーション・コミュニケーション・レジリエンス」の三つです。

多くの関係者とともに進める事業なので、コラボレーションの大切さは言うまでもないでしょう。またコミュニケーションとは、単に語学力などを指すのではありません。多少言葉は拙くても、周到に準備をし、自分の言いたいことを熱く伝え、また相手の意見を尊重する。それが本当のコミュニケーション能力です。

そして、海外の事業は、想定外の事態が常に起こります。そのたびにあたふたするのではなく、むしろ自分の成長機会だと思って課題に向き合える。そんなレジリエンスのある人にとって、これほど面白い仕事はないのではと思います。

自分の専門性や意欲を四国電力の国際事業に活かしたい。そして、四国から世界に通じる仕事で、世界の発展に貢献したい。そんな人をお待ちしています。

編集後記

チーフコンサルタント
溝渕 愛子

社会に不可欠なインフラ企業である四国電力社。採用のお手伝いで様々な部門の社員の方にお会いする機会が増える中で、みなさん共通して熱量があり、気さくで親しみやすい方々が多いと感じていました。

今回、国際事業部を牽引されている橋本様にインタビューの機会をいただき、その理由がわかりました。橋本様のお話から、チャレンジングでユニークなお人柄、一方で確固たる信念をエネルギーにして社員を牽引されてきたことが窺えて、社員が正義感を持って失敗を恐れずにチャレンジできる風土が形成されているのだと感じました。

”四国から世界の発展に貢献する”という使命感がひしひしと伝わってくる、世界に誇れる企業。これからの新たな挑戦から目が離せません。

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