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キタックが地域とともに歩んだ50年。社員の育成にかける熱い想い。

株式会社キタック
代表取締役社長 中山 正子

新潟 更新日:2024年4月10日

新潟県生まれ。玉川大学文学部芸術学科卒業後、新潟県へUターン。
2008年 株式会社キタック入社
2017年 代表取締役就任
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

デザイン会社から建設コンサルタント業へ異色の転身。

私は新潟で生まれ育ち、大学進学で東京に行ったあと、再び地元に戻ってきました。当時は父が社長を務めていて、私は地元の広告代理店で働いたり自分でデザイン会社を興したりしていました。当時の私は会社を継ぐつもりはなく、父も継がせるつもりはなかったようです。

けれども36歳のときに転機が訪れました。しばらく迷った末に、デザイン会社の経営権の一切をキタックに譲渡して入社を決めました。入社後は譲渡したデザイン会社を一部署としてもらい、CGソリューションセンター長を皮切りに様々な仕事を経験しましたが、一番楽しいと感じたのは総務部長時代です。

最初は総務の仕事などまったく知らない素人だったため「私にはできるのだろうか」と不安でいっぱいでしたが、前任の総務部長に「役が人を育てるのだから、とにかくやってみなさい」と言われたのがとても印象に残っています。総務部長になったことで会社の課題がよく見えるようになり、社員との距離がぐっと近づいたという意味でも非常にやりがいのある仕事でした。

紙ベースの仕事が根強く残る社内業務を徹底的に効率化。

総務部長時代は社内の様々な事務作業を効率化しました。例えば、手書きだった業務日報を直接Excelに入力する方式に変えて、経営管理部門の入力・集計の負荷を減らしました。また、物品購入も手書きで申請していたのをやめてExcelで入力するようにしました。

PCでの入力が社内へ徐々に浸透した頃には、基幹システムを入れ替えて事務作業をさらに省力化したり、社内でスムーズにスケジュール共有できる環境を作ったり、できることからどんどん変えていきました。

中でも人事評価制度の改定は特に力を入れて取り組みました。当時は評価制度が十分機能しておらず、また政策による建設関連産業の不況もあって、給与の増えていないベテラン社員が多くいました。段階的に給与見直しを行い、しっかり仕事で成果を出している社員には、業績に連動した相応の給与・賞与が出せる体制を整えていきました。

女性社長の誕生により、社員たちも驚くほど会社が変化した。

総務部長として社内の様々な部分を整備し、数年経った2017年に父から社長職を受け継ぎました。技術者ではない女性社長に変わることについて、一部の社員からは不安の声もありました。

しかし一方で、「社長が若くなったから会社も大きく変わるかもしれない」という期待や、「新しい社長は日頃の頑張りを見てくれていて、仕事を頑張れば給与が上がるから安心して働ける」という声があったのはありがたかったです。

私が入社した2008年ごろ、当社は2割しか女性社員がおらず、男性が多い職場でした。けれども今では優秀な女性役職者が増えています。それは私が社長に就任した当時、3,600社程の上場企業のうち、私が40人目の女性社長だったことも関係しているかもしれません。

性別にかかわらず優秀な人がどんどん上に行けばいいと思っていますし、男性の育休推進などをはじめとし、働く環境の改善にもかなり力を入れてきました。10年ほど前に比べると会社の様々な部分が変わったので、今30代半ばの社員たちは「まるで違う会社に転職したみたいだ」と話してくれます。

「会社の次世代を担う社員を育てたい!」本気の人材育成。

私は47歳で社長になりましたが、70歳まで現役でいるとしても、残された時間はそれほど長くありません。ですから、次の社長や会社の次世代を担う人材をしっかりと育て上げる必要があると考え、社員教育に力を入れて取り組んでいます。

当社の社員研修は主に外部講師を招いて行いますが、教育には当然お金も時間も手間もかかります。しかし、会社全体で取り組むからこそ良い土壌ができ、社員同士の共通言語・共通認識が自然と生まれます。

階層別の研修に加えて、様々な役職・職種の社員混合の研修も同時に実施することで、縦・横・斜めの柔軟な関係性ができて社員同士で理解を深める助けになっているようです。

研修には私もできる限り参加して、社員と一緒に学びます。そんな姿勢を見てか、他の役員や部長たちも社員育成にとても協力的です。若手社員には社会常識はもちろん業務の根幹となる技術力も身につけてもらい、社会人としてその両輪をよく回せる人材になれるよう役職者みんなで見守っています。

研修制度を始めてから7年ほど経ちますが、社員が以前とは別人のように成長して考え方の幅が広くなったり、視座が高くなったりした姿を見るととても嬉しい気持ちになります。

中途採用によって社内に新しい風を吹き込み、気づきを促す。

中途採用で当社が求めるのは、顧客とのコミュニケーションがきちんと取れる人です。専門性はマッチしていなくても構いませんが、当社は建設総合コンサルタントですから、やはりサービス業としてコミュニケーション能力は欠かせないと思います。

また、国家資格の技術士取得を会社の先輩たちがしっかりバックアップする体制もあります。定期的な勉強会で実際に多くの合格者を出しているので、入社後に勉強を始めても遅くありません。社員同士でお互い刺激し合いながら、一緒に成長していく雰囲気が好きな方に当社はぴったりです。

中途採用をすると、会社はとても良い方向に変わります。他社の風土で育った人は新しいものの見方や文化を連れてきてくれますし、当社の良さも教えてくれるからです。当社しか見たことのない社員にとっては、そういう人が身近にいることで多様性を知り、「自分たちはまだまだ変われる」と思うきっかけになっていると思います。

「社員とその家族が満足できる会社」を目指して。

当社では、経営目標を社員と一緒に考えています。私が社長になった2017年には、みんなで会社をどうしていくか考えるために「あすかプロジェクト」という取り組みを行いました。「ありたい姿をかんがえる、あすのキタックを考える」というキャッチコピーから「あすか」と名付けました。

社員の声をもとに半年ほどかけて会社の課題を抽出し、それを3年計画で解決するという流れです。1年を終える度に社員とともに振り返りを行い、「次の年はどうしようか」と考えるのは当社の大きな特徴かもしれません。現在は「あすかプロジェクト2」が稼働しているところです。

私はとにかく「社員とその家族が満足できる会社になればいい」と思っているので、そのためにどうするかは社員たちが自主的に考えて行動していけると良いと考えています。経営目標以外にも、社員からの提案があれば必ず事業活動に取り入れて「あなたの提案でこんなに良いことができました」と形にすることにこだわっています。

当社は地質調査の会社と思われがちですが、土木設計や科学・物理の様々な試験もできる設備を整えています。2016年からは3次元モデルへの取り組みを開始し、今後はAIなどの最新IT技術を使った新しい分野の開拓も視野に入れています。

新たな事業領域を広げていくためにも、私自身が社員と一緒になって学び、考え、変化し続ける人でありたいですし、社員にも変化を続けることの重要性を引き続きメッセージとして投げかけていきます。

編集後記

コンサルタント
皆川 暁洋

社員を大事に考える愛情が溢れ出たインタビューでした。社長就任当時は、女性の上場企業社長は40人しかいなかったそうで、しかも建設業界であることを考えると、ここにくるまでに大変なご苦労もあったのだろうと推察されます。だからこそ、社員の成長支援に重きを置く社風を築かれているのだと納得しました。

中山社長とともに、同社が建設業界に新しい風を吹かせ続けることを期待せずにはいられません。成長と拡大をしていく同社の変化を楽しみに、今後も採用のご支援をさせていただきます。

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