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社員の挑戦を促す「自立と自律」。その中で経営者のあるべき姿とは。

アピックヤマダ株式会社
代表取締役社長 宮田 靖久

長野 更新日:2023年11月22日

1961年 北海道生まれ。
1985年 千葉大学卒業、パイオニア株式会社入社。
1995年 株式会社パイオニアFA(現:株式会社PFA)へ転籍。
2018年 株式会社PFA 代表取締役社長就任。
2023年 アピックヤマダ株式会社 代表取締役社長就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

様々な変化を乗り越え、技術畑を歩んできたキャリアの舞台裏。

私は千葉大学工学部の機械専攻を卒業後、1985年にパイオニア株式会社に入社しました。生産設備を開発する生産技術センターに配属されたのがキャリアの始まりです。エンジニアとして現場での経験を積み1995年にパイオニアから分社したパイオニアFA(現在の株式会社PFA)へ移りました。PFAでは2012年より、役員として経営側の立場で業務にあたっていました。

PFAは2018年にM&Aでパイオニアを離れ、株式会社新川の傘下となりました。私はそのM&A担当者としてその任に当たり、M&A後にPFAの社長に就任。2019年には、新川とPFAがヤマハロボティクスホールディングスの傘下に入るとともに、アピックヤマダも新たな事業会社として加わりヤマハ発動機のもと大きな事業体を形成しました。PFAの社長を4年半ほど務め、2023年4月からはアピックヤマダの社長を拝命して今に至っています。

アピックヤマダで社員と対話して感じた「自立した社風」。

アピックヤマダは1950年に創業し、半導体業界向けの装置などを長年手掛けてきた歴史ある会社です。同じヤマハロボティクスのグループ会社のため以前から交流はありましたが、第一印象としては「大人しい社員が多いのかな」と感じていました。しかし、実際に社長になって現場を見ると社員が自立した非常に活気ある会社で、良い意味でイメージとずいぶん違っていたので驚きました。

近年はグループ会社の中でもアピックヤマダの良さが認められるようになり、業績が上向きになっていることも現場の活気につながっているのかもしれません。私は普段、社員との面談時間をできるだけ作るようにしていますが、その中でも自分の意見をしっかり主張する社員が多く安心して見守っています。

社長になった当初は「あまり大人しすぎるようだったら現場への働きかけが必要かもしれない」と考えていましたが、社員が自分たちでいろいろと取り組んでいるのでその心配は杞憂に終わりました。

「干渉ではなく関心を持つ」企業トップとして大切にしたい姿勢。

アピックヤマダが業界で長く生き残ってきた歴史の中では、厳しい場面もあったでしょうし、時にはトップダウンで運営してきた場面もあったと思います。しかし、今は時代も環境も変わり、社員一人ひとりが自ら意見を発し、能力を高めて成長しながら社会へ貢献することが求められています。

ヤマハロボティクスホールディングスで私が最初にお世話になった方は「自立と自律」という言葉を残してくれました。自分で立つこと、自らを律すること、そんな考え方を私もしっかり継承して社員に伝えたいと思っています。

私はかれこれ15年ほど、コーチとして小学生の子どもたちにサッカーを教えています。この経験を通して学んだのは、一人ひとりに対して「干渉ではなく関心を持つ」ことです。

細かく言いすぎると指示待ちになってしまいますし、放っておきすぎてもやる気がなくなってしまう。子どもたちにはそれが顕著に表れます。自ら考える自由を与えて、できたことを褒め、できなかったことについて対話をすると子どもたちは自分で判断して動きます。私の人生の中でこれは最も大きな学びでした。

大人の世界も同じで、自分たちで判断する、自分たちで考えて行動する機会を与えなければ人は成長しません。上司や社長の役目は、細かに指示を出すことではなくチャンスを与えて意識づけをすることです。それが「自立と自律」の実現につながりますし、当社が目指すべき理想の組織の姿だと思っています。

働く人の多様性を尊重しつつ、笑顔と対話あふれる職場づくりを。

近年、採用の現場や働く人たちのニーズはどんどん変化しています。当社のようなものづくり企業よりも他業種に人気が集まるようになりましたし、仕事以外の自由な時間を確保するライフスタイルを好む人も増えました。さらに、終身雇用ではなく転職しながらキャリアアップする意識も世間に定着し始めています。

採用が厳しい中でもできるだけ良い人に出会いたいという気持ちは会社としてあります。しかし、それ以上に私が大事にするのは、まず今ここにいる私たち自身が自分たちの社風を常に良い方向へ持っていくことです。そうすればこのアピックヤマダで働きたいという人が必ず増えてくると思っています。

私が社員にいつも伝えているのは「笑顔と遊び心」です。まず笑顔がないとコミュニケーションは始まりません。そして対話が生まれるからこそ、仕事に様々な創意工夫が生まれるのだと思います。当社では配属後もしっかりサポートしてくれる優しい人事担当者がいますし、現場の社員も自ら考えて行動していますから、これから入社する方もそんな先輩社員の姿を見てきっと学ぶことが多くあるはずです。

会社の成功は個人の成長から。社員とともに歩み実現したい未来。

当社で一緒に働きたいと思うのは、「自立と自律」を意識しながら自分を成長させることに関心がある方です。もちろん入社してすぐ求めるわけではありませんが、そうなっていきたいと思える方は社内で活躍の場が大きく広がります。

会社からの指示を待ってただ時間を過ごすこともできますが、それでは人生の時間がもったいないですよね。一人ひとりの社員が人として成長するためにも、「今以上に良くなっていきたい」と常に考えてほしいです。それが結局、会社のため、そして自分のためになります。

「会社って何だろう」と考えていくと、最後は一人の人に行き着きます。人同士が集まって同じ目標を持ちながら頑張るからこそ業績が上がり、会社も大きくなっていきます。社長の立場として一番大事なのは、私自身の成果や業績ではありません。これまで大勢の人が作り上げてきた会社の歴史を守ること、そして社員の生活を守ることです。私も社員と同じ方向を見て、みんなが喜んで働ける環境づくりを進めたいと思います。

編集後記

コンサルタント
児玉 珠美

社員を思い浮かべて話されている時の宮田社長の笑顔がとても印象的でした。その表情から一人ひとりと対話を大切にし、傾聴し「干渉せずに関心を持つ」ことを日々実践されていることを感じ、非常に感銘を受けました。

同社のご支援をさせていただいて9年ほど経ちますが、グループが変わってから社内の雰囲気も変化し、年齢や役職、社歴に関係なく誰もがフラットにものづくりに対して意見を言い合える環境になったと感じます。

現在はグループ会社3社で改善活動のプレゼンテーション大会を行い、現状よりもさらに生産率を上げるため、創意工夫を凝らしていると伺いました。日々進化する同社を今後も微力ながら応援してまいります。

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