地域を元気にする仕事がしたい。それがグループ全ての原動力。
NSGグループ
代表 池田 祥護
新潟市出身。事業創造大学院大学修了。
古町神明宮宮司、古町愛宕神社禰宜(ねぎ)。
2008年NSGグループ入社。
2009年4月学校法人新潟総合学院理事長就任、NSGグループ副代表就任。
2015年4月株式会社NSGホールディングス代表取締役就任。
2020年4月NSGグループ代表就任。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。
地域のため、人々の幸福と豊かさのために。
NSGグループは教育事業からスタートし、現在では多様な分野・業種の106法人で構成されています。創業以来、「人々の幸福と豊かさを実現すること」を目標に掲げ、地域活性化に寄与するべく新たな事業創造に取り組んできました。
教育事業から始まりましたが、起業家育成にも力を入れています。これは教育機関を卒業した後の、働く場の創出のためでもあります。事業活動のリーダーを育成していくなかで感じることは、自分がその職業で人生を全うしたい、という強い思いを持った人財が、良い職場を築き、新たな道を切り開いていくということです。
会社や事業部門にはそれぞれにリーダーがいる訳ですが、自ら考えて行動するリーダーの集団でなければいけないと思います。これだけ多彩な事業を展開していくためには、理念や目標に共感し、またそれぞれの志を持って自立的に行動する人財の存在が最も重要です。
また、当社は転職入社の社員がとても多く、さらに首都圏を中心としたU・Iターン率が54%というのも特徴だと感じています。
J1昇格4万人の歓喜を見て、25歳で決意した自分の生き方。
私は20代前半までは、人生において何がしたいのか分からず、迷いもあって、NSGの事業を継承するかどうかも決めていませんでした。ただ、神主の家系なので、それだけは自分が継がなければならないと思っていましたね。仕事に情熱を注ぐ父の姿を見ていたので、経営者、リーダーになりたいなという意識はあったものの、「地域を元気にしていく」という壮大な理想を掲げている父に対して、その時はまだ「何を言っているんだろう」と、実感できずに見ていた部分もありましたね。
衝撃的だったのは2003年、父が代表を務めていたアルビレックス新潟のJ1昇格が決まった際に起こった出来事でした。当時、地方でサッカーをビジネスとして成り立たせるのは不可能と言われる中、新潟のスタジアムには試合の度に4万人の観客が集まって盛り上がりを見せていました。当時それは“新潟の奇跡”とも言われました。そしてその日は、スタジアム全体が一体となり「新潟!」と大きな声で応援し、J1昇格が決まった瞬間、満員のスタジアムは歓喜で包まれました。地方で、プロサッカーチームは果たして成り立つものなのか、と言われていたものを見事に達成した姿を見て「こんなふうに人生をかけて戦うのも素敵だな」と思ったんです。
NSGグループは最初の事業が学習塾やカルチャースクールなどで、教育で地域を豊かにしたいという思いから始まっているのですが、神社にも地域の守り神「産土大神(うぶすなのおおかみ)」という考えがある。「せっかく新潟で働くなら、新潟を元気にするような生き方をしたい」という思いに共感し、25歳で神主になるときには「自分もそういう生き方をしよう」という決意をしていました。
リーダーとしてあるべき姿を学んだ青年会議所での経験
人間的に本当に素晴らしくて、この人なら間違いなくいい会社を作っていくんだろうなと思う人たちに出会いましたし、この人がリーダーで大丈夫かな、と思っていた人がどんどん成長して変わっていく場面も何度も見て来ました。そういう学びの機会、磨かれる場だと思います。青年会議所の理念は、「明るい豊かな社会を築き上げよう」というもので、それは明確だけど明確ではなく、果てしなく続くゴールのない理念とも言えます。そういった意味では、当グループの理念も似ているところがあります。新潟の一企業が、「人々の幸福と豊かさのために」「地域社会、国家、国際社会の発展に寄与する」と壮大な理念を掲げていますが、そういう誰しもを結びつけるようなものが人のマインドセットには大切なのではないかと思いますし、一生涯追い求めたい目標を設定することは、生きていく上ですごく大切だと感じています。
やはり自分が最終的にこういう人間になりたいという意思があってこそ、折れない心は持てるものだと思います。人間は弱いので、くじけそうになったり、逃げたくなったり、人のせいにしたいときはあります。そこでどう修正していくか、道をどう切り開いていくかという経験が人の成長には大切な過程で、それを乗り越えていく生き方をした人が、より良い人生を送れるんじゃないか。そうしたひとつの哲学というか、考え方が自分のなかに出来上がったと思います。
会社も人も、挑戦と改善を経て成長していくもの。
人財に関しては、例えば「新潟の若者たちにいきいきしてもらえる学校を作りたい」など、ひとつの目標や目的意識を持っている人の存在は大切です。地域の豊かさって何だろうと考え、この地域だからできるということを目指す人や、自分はこういう能力があるから、それを生かして全国、世界に羽ばたきたいという人も歓迎です。 若いうちは野心だけでもいい。野心があって、様々なことを乗り越えていく過程で、必ず人として大切なものに気付くきっかけはあるし、それが志に変わることもあります。私もそうだったと思います。また、もしも仮にスピンアウトしても、理念が同じであれば、戻ってこられる許容の大きさもうちのグループにはありますね。
当グループには公募制度があって、「こういう事業があるけど、リーダーをやりたい人は?」とグループ内に公募をかけて手を上げてもらうことがあるんです。そのやり方も大切だなと思うのは、「この人にできるの?」という周りの評価よりも、本人のやりたい気持ちが大事なのではないかと感じるからです。やってみて、そこで自分に何が足りないのかを理解して、自己改善していくことが、成長ということだと思います。
高い志を持つ人達と、地域を盛り上げる仕掛けを。
NSGグループでは「異業種交流会501」という団体を立ち上げ、中心になって活動しています。これは地域に501社の上場並み企業があれば、地域は間違いなく活性化するという考えの下で、多くのリーダーを育てていくための勉強やディスカッションの場を設ける取り組みです。19歳でNSGグループの会社の中でコンビニのフランチャイズ事業から始めて、ローソンで一番のメガフランチャイジーに成長させ、今ではコンビニの人材確保の仕組みを確立し、日本全体のコンビニ業界に大きな影響を与えている若手経営者もいます。こうした高い志を持った人とは一緒に地域を盛り上げる仕掛けをしていきたいし、若い人はもちろん、何歳でもチャレンジできるような環境はどうやったら確立できるかという追求も続けていきたいですね。
企業はある程度の規模になったとき、それ以上の高みを目指すかどうかの選択を迫られる場面があります。そこで保身に走ると、当然ながらそれ以上の成長はない。そして「もういいか」と思っているときに、「もっと行きましょう」と言ってくれる環境が、新潟にはまだあまり無いと思います。それをどう脱却するかという課題解決を、このグループで達成できたらいいなと思っています。
地域を元気にするには、まだ課題もたくさんあります。スポーツの世界でも、人口や資金が多い東京や都会が有利になる。でも、世界的に見るとそんなこともないんです。世界的なビッククラブは、新潟より小さい町にもあります。ならば、どんな仮説を立てれば、それが実現できるのか。もともと新潟にはそういう素地があると思うし、強い企業もたくさんある。アルビレックスというひとつの名前で総合型スポーツクラブを地域で展開していくことにも、可能性は間違いなくあると考えています。そして迷ったときは、やはり経営理念に戻る。社会のためになっているのか、地域の人々の幸せや豊かさにつながっているのか。やはり働くなら、地域を元気にするような生き方をしたいですから。