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提案力と創造力を備えたコーディネーターとして社会に貢献。

大豊産業株式会社
代表取締役社長 乾 和行

香川 更新日:2019年9月25日

1984年1月3日生まれ。大学卒業後タイに渡り、2008年4月丸紅泰国会社に入社。その後、大学院進学のため帰国し、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科に進学し、2017年3月に卒業。2017年4月より大豊産業株式会社に入社。2019年1月より代表取締役に就任。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

時代の流れとともに活躍分野を広げる技術商社。

昭和24年に電気機材の卸売事業者として誕生した当社は、四国電力グループをメインカスタマーとして送配電、通信、道路整備、防災設備から公園遊具までの社会インフラ整備を中心とした事業展開を行ってきました。計測・制御に関わる機材を多数取り扱う中で、メーカーの持つ工場の生産力や効率、安定操業をサポートする省力化事業に着手。さらには、太陽光や風力発電、省エネ機器の提案といった新エネルギー事業を手掛け、事業を拡大してきました。

現在は、AI、カメラ、ロボットによる工場の自動化をサポートするソリューション事業も追加し、お客様への新たな価値提供を実現しています。あらゆるメーカーの商品をお客様に提案する「商社」、工場のシステム構築や保守を行う「技術」、これらの商材と技術をパッケージングしてお客様のニーズに応える「コーディネーター」としての動きが、当社ならではの特徴です。

営業力と技術力を融合させてお客様の課題を丸ごと解決。

お客様も気づけていない真のニーズを汲み取り、商品力と技術力でパッケージサービスにしてご提供する。これが当社のコアコンピタンスです。単に商品を納めるだけであれば、他社にもできる事です。私達にしかできない技術サービスを提供するために、お客様の潜在ニーズを掴むことに注力しています。

そのため、当社では営業社員はもちろん、工場の機器のメンテナンスやシステム設計・構成を行う技術者、太陽光発電設備の施工やメンテナンスを行う技術者も意識的に情報を収集。把握したニーズは営業社員と技術者がまとめて次なる提案の材料とします。ゆえに、営業社員を中心に課題解決型営業の研修を受講してもらうようにしています。

「残すべきもの」と「変革するもの」。

先代の社長はお取引のある企業の特徴・現状を頭に入れており、特に仕入先はとても大切にしていました。メーカーとどれだけ強固な繋がりがあるかが、パッケージングによるソリューション営業をしている当社にとって非常に重要になるからです。お客様のご要望に合わせて、仕入先に新商品開発やカスタマイズを相談することもあります。

また、従業員の物心両面の幸せも追求しており、先代も「どれほど売上が出ても従業員が幸福でなければ全く意味がない」と言い切っていました。社外と社内の繋がりを大切にすること。この姿勢は今後も変わることはありません。

一方、会社を取り巻く環境は著しく変化しています。先々代の時代には売上の90%を電力関連が占めていましたが、先代は、省力化関連事業や新エネルギー分野も注力して伸ばすことで、その比率を20%程に変化させました。

電力事業は今、送配電分離や規格の統一化など、大きな変化の時を迎えています。当社も既存の事業を守りつつ、新たな分野に切り込んでいかなければなりません。私の代では新たに農業用分野に踏み込み、将来的には独自の商品開発も手掛けたいと考えているため、技術力を有した会社とのM&Aも進めています。

グループ企業間のシナジー効果で新たなステージへ。

創業者である祖父から父が大豊産業を受け継いだ時、年商は60億。順調に売り上げを伸ばし、2018年には子会社含め160億円の売上を達成するまでに成長しました。グループ全体で売上300億円を実現することが現社長である私の役目であり、父の願いです。

そのためには、自社でパッケージングした製品を日本全国に販売拡大しつつ、新しい事業を見据えた技術開発を進めることが必要です。輸入商社を設立し、全国に広い販売網を持つメーカーや技術力ある企業、次の戦略に向けたM&Aを行いグループ会社化しています。

グループ会社の新立電機は、産業用ロボットシステムの設計・製作を手掛け、製造業のお客様に販売しています。土井製作所は、地中管やマンホールの製造を行っているため、当社のインフラ整備関連事業と密接に繋がってます。また、ヤザックはロボットシステムを扱う技術者集団であり、当社のエンジニアとコラボして新しい開発に取り組むこともあります。

グループ企業間の協業が進むにつれ、子会社とのシナジー効果には目を見張るものがあります。今後も積極的なコラボレーションを行うことで、次世代の強みを生み出すことになるでしょう。

前向きな姿勢と協働力が、競合優位性の源。

当社の仕事スタイルは融合が基本です。お客様の困りごとは、どの商品と技術を組み合わせれば解決できるのか、創造力とコーディネート力を大切にしています。社内では各部署が垣根を越えて当たり前に協働しているため、チームプレーを上手にできる人は自然と働きやすくなり、仕事の価値も高まるでしょう。

基本的に、前向きにチャレンジした結果の失敗はとがめるつもりはありません。まずやってみよう、とする風土が当社には根付いています。また、社内は風通しがよく、相談しやすい環境だと思っています。先日は社員から、「社長室のドアがこんなに軽いものだとは思わなかった」と言われたほどです。

何事にも、まずやってみようと思える人であれば、当社での仕事は非常に面白く、やりがいに溢れていると確信しています。

編集後記

チーフコンサルタント
佐々木 一弥

技術商社として、その時代の顧客ニーズにあわせて変容してきた柔軟性と、新たな市場を切り開いていくチャレンジ精神、また協力会社を大切にする姿勢や社員の物心両面の幸せを追求するという信念をもった経営スタイルが、世代を繋ぎ成長基盤を創り上げてきたことを感じられる取材となりました。

M&A戦略も活用し、市場および事業分野を拡げ、AIやロボットなどの最新技術の活用や、コーディネート力を活かした独自の製品提案にこれからの成長が益々楽しみな企業様です。

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