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生活者、北海道、地球規模視点で、ビジネス創出チャンスに挑戦する。

北海道コカ・コーラボトリング株式会社
代表取締役社長 佐々木 康行

北海道 更新日:2019年7月31日

1954年東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、大日本印刷に入社。システム開発本部開発第一部長を経て、02年北海道コカ・コーラボトリングに入社。常務、専務を経て14年から現職。
※所属・役職等は取材時点のものです。

生活者視点のビジネスへ意識変革。

大学卒業後、大日本印刷に入社しました。その事業領域は幅広く、印刷技術を基軸に情報技術、電子部品、建材などを手掛けている会社です。そこで私はパッケージ部門を担当していました。25年ほど勤めた後、北海道コカ・コーラボトリングに入社しました。

大日本印刷では、お客様である得意先に部材提供するのが私の役割で、生活者を意識したことは、あまりありませんでした。そうした”得意先のための表に出ない黒子的なビジネス”から、現在のような”生活者のためのダイレクトビジネス”を展開する会社に移ることで、自分の中で大きな意識変革が起きました。生活者と直接対話できるビジネスの奥深さや面白さを実感できて、感謝しています。北海道コカ・コーラボトリングに入社して18年目になりますが、その想いは変わりません。

アポロ計画から学んだ「計画」の重要性。

学生時代は、理工学を専攻していました。モノづくりに興味がありましたが、新しい技術を開発するよりは、計画系の領域が得意で性に合っていたと思います。いまも仕事を進める上で、計画的に物事を進めることにこだわりがあります。しかし、計画は所詮計画で、変わることが大前提。それを前提としてしっかり計画を立てることの面白さが好きです。

計画ということで思い出すのは、アポロ計画でしょうか。有人月面着陸に成功した影には、綿密で壮大なアポロ計画がありました。後に書籍で知ったわけですが、適切なプロセスで物事を進めることに興味を抱きました。99.9999%、いわゆるシックスナインズの確率でアポロ計画を遂行することがミッションだったわけです。そして、人類未踏の巨大プロジェクトを成功させました。事業計画を立てる際など、多少なりとも影響があるかもしれません。

安全・防災などの地域に根差した自律型地域密着経営へ。

当社は1963年に設立されました。1980年代までは清涼飲料業界の勢力は強く、基盤を確立できましたが、2000年代になると競争の激化と経済環境の激変で会社経営は厳しい状況となります。そこでもう一度、会社の原点に立ち返り、経営を見直して復活路線を目指そうと、当時の経営陣が尽力したのです。そこで軸となった考えは、地域に根差した自律型経営で、特に「CSR(企業の社会的責任)の強化」ということでした。

まずは、地域の清掃や子どもの安全を見守る運動などに取り組みました。災害対応型自動販売機による協働事業では、道内179全市町村と協定を結び、自動販売機に電光掲示板をつけて、情報提供ツールとして活用できるようにしました。また、地域活性化の視点では、さっぽろ雪まつりやYOSAKOIソーラン祭りのオリジナルデザイン缶を発売し、売上の一部を寄付しています。円山動物園や旭山動物園とも連携して、さまざまな活動を展開しています。

事業の根幹である水を取り扱う当社にとっては、地球規模の環境問題も重要項目となります。CSRの延長線上に、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献も必要であり、積極的に実践しています。

北海道らしさの強化と、多様チャネルへの対応。

コカ・コーラのミッションは、要約すると「いつでも、どこでも、誰にでも、爽やかさと潤いを提供する」というもの。北海道の生活者にこのミッションを実現するのが私たちの仕事です。北海道の牛乳、ハスカップ、ビートなどを使った北海道限定商品も開発し、多くの支持を得ています。

余談になりますが、私はあえて『生活者』という言葉を使っています。単に商品を消費する消費者ではなく、地域で暮らす生活者のほうが、意味合いの深さを感じるからです。

昨今の課題は、チャネルの多様化にどう対応していくかです。現在、約40ブランド500種類の商品を提供していますが、プライスも含めて、どのチャネルにどのように供給していくかは重要なテーマ。チャネルが多様化する一方で、その垣根がなくなっているのも事実です。そこで、重要視しているのは「マーケティング」です。データの蓄積とその活用が非常に重要で、気候動向も加え、膨大な情報を駆使していく必要があります。

グループ連携によるビジネス創出と若い力に期待。

今後の展開で新たに取り組みたいことは、グループ会社との連携によるビジネスの創出です。物流・業務・ベンディング・製造部門と当社を含めて5社の連携を深めていくことで、CSRを進化させ、新しい事業を創出するために、研究を始めています。全道に広がるネットワークとインフラを連携させ、”オール北海道”的な発想で、地域価値を向上させたいと考えています。ポテンシャルの高い北海道の資源を活用し、地域連携させることができれば、相乗効果によるチャンスが広がるはずです。

そして、さまざまな可能性を実現するために必要なのが人材力です。経営者になって思うことは「ビジネスには正解がない」ということ。この正解がない世界でどうやって正解を導き出し、たどり着けるか。そのことを模索して挑戦していく若い力が原動力になります。

当社では、若手社員が年頭に会社の行動指針となるスローガンを考え・考案し、発表します。これまでのスローガンの中で特に印象に残っているのは「考動力」で、社員にすっかり定着しています。個人一人ひとりの行動で、会社は動きます。若い力が当社の原動力であり、成長戦略の根幹を担っているのです。

編集後記

コンサルタント
荻野 智史

「生活者のためのダイレクトビジネスを展開することの奥深さや面白さを実感し、感謝し続けている」と語る佐々木社長。同社が目指すのは、地域に根差した自律型経営により、生活者、北海道、地球規模視点で考えるCSRとSDGs(持続可能な開発目標)への貢献を通したビジネス創出。こうした経営姿勢からは、真の意味で生活者に寄り添おうとする覚悟を感じました。

「正解を導き出すための考動力や原動力は社員一人ひとりである」との言葉は、若手社員を含めた全社員の主体性を重んじて一人ひとりが伸び伸びと成長できる土壌になっており、ここに同社成長の秘訣があると感じました。

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