リージョナルHERO

転職に「想定外」はつきもの。乗り越えた先には、進化した自分が待っている。

泰道揚洋さんは、熊本にIターンしたリージョナルヒーロー。泰道さんは、大阪生まれ、東京育ちで奥さんも生粋の東京っ子。そんなご夫婦と熊本をつなげたのは、「くまモン」だった。奥さんが大好きだった「くまモン」を追いかけているうちに、夫婦で毎月のように熊本へ通うようになり、ついには泰道さんが39歳の時に移住することを決意。だが、初めて暮らすまちへの転職は「想定外」の連続で、転職活動は半年以上も難航。「パーソナルマネジメント」の橋渡しでようやく巡り合った転職先は、業界も職種も未経験。大きな声を出す朝礼に驚き、周囲が話している熊本弁もよく理解できない・・・。そんな「初めて尽くし」のスタートだったにも関わらず、1年後には「経営企画部長」に昇格し、夫婦で熊本での生活も満喫しているという泰道さんに、Iターン成功の秘訣を聞きました。

- プロフィール株式会社ハイコム 泰道揚洋 さん 40歳/大学卒
- 転職活動【転職回数】2回【転職期間】エントリーから内定まで89日間

転職前の職業・転職後の職業

職業 商品企画(部門長) 職業 経営企画
業界 総合ディスカウント 業界 不動産・通信・飲料水の販売
仕事内容 PB商品企画、NB商品の仕入れ、店舗内レイアウト、新shop開発など 仕事内容 事業計画・経営計画を立案するための数字の集計・分析、新規出店やM&A案件の検討、そのための調整・折衝、人事制度や労務管理の整備といった組織力向上のための取り組み、新卒・中途の採用実務、福利厚生の充実や社内報作成など。

1ディスカウント店の部門長から、社長直属の経営パートナーへ

現在のお仕事はどんな内容ですか?

携帯ショップの運営、不動産の売買・仲介、宅配水販売という3つの柱を持つ株式会社ハイコムで経営企画部の部長を務めています。社長と行動をともにしながら、考えや判断を聞き、様々な関係者とやりとりしながら具現化していくことが、私の役割です。例えば、事業計画や経営計画を立案するための数字の集計・分析、新規出店やM&A案件の検討、そのための調整・折衝、人事制度や労務管理の整備といった組織力向上のための取り組み、新卒・中途の採用実務、福利厚生の充実や社内報作成まで、本当に幅広い業務に携わらせてもらっています。

入社前のご経歴を教えてください。

子供のころから服が大好きだったので、大学卒業後はアパレル企業に就職し、10年間勤務しました。スタートは、直営店の担当営業。各店長や百貨店の担当者と連動しながら、商品配分やフェアの立案など顧客拡大にむけた業務全般を担当していました。最終的には事業部長に昇格。赤字ブランドの黒字化を任され、ブランドコンセプトの再構築や物流コストの改善、組織の再編成などに取り組みました。その後、33歳のときに総合ディスカウント企業に転職。その会社ではインテリア・ファブリック・寝具などの部門長として、全店のPB商品企画やNB商品の仕入れ、店舗内レイアウト、新店舗の開発などを任されていました。

転職したきっかけは?

1回目の転職のきっかけは、ファストファッションの台頭でした。安くて質の良いブランドが世界的に台頭していくなかで、会社の将来に不安を感じるようになったのです。また、仕事に慣れてしまっている自分に対しても、「このままではよくないのではないか?」と感じていました。「このまま働いていても、一部署のリーダーで終わるだけ。だったらもう一度、新しい世界に飛び込んで苦労しよう」と思い、あえて異業種のディスカウント企業に飛び込みました。そこで7年間働いたあと、妻の希望もあって熊本へ移住することにしたのです。

奥様は熊本出身なのですか?

妻も私も、東京育ちで、熊本には縁もゆかりもありませんでした。そんな私たちが熊本にくるきっかけになったのは、東京で「くまモン」と出会ったこと。以来、妻が「くまモン」の大ファンになりまして。「くまモン」を追いかけているうちに熊本へ毎月旅行に行くようになり、だんだん熊本のまちの良さもわかってきたんです。それでも、妻が最初に「熊本に移住したい」と言い出したときはびっくりしましたね。でも、振り返れば23歳で結婚して以来、私は仕事中心、自分中心の日々を送ってきました。40歳を目前にし、「これからは家族のことも考えた生活をしたい」、そう考えて熊本移住に賛成したんです。

転職活動はどのように進めましたか?

最初は大手の転職サイトに登録して情報を集めましたが、相当苦労しました。できればファッションに関係する業種で、バイヤー職を探していたのですが、希望にあう求人は熊本にはなかなかなかったんです。転職サイトからいくつか求人紹介メールが届きましたが、全国チェーンの求人ばかりで、熊本本社企業の求人はほとんどありませんでしたね。ならばと、業種や職種の選択肢をひろげて探してみましたが、今度は「35歳以下」という年齢制限でひっかかりまして・・・。半年間は本当に悩みました。「自分になにができるのか?」「何が自分の目標なのか?」と、毎日ノートに自己分析をつづっていました。そんなときにたまたまUIターンに特化した転職支援を行っている「リージョナルキャリア」を見つけたんです。連絡をしてみると、熊本での転職を専門にしている「パーソナルマネジメント」を紹介してもらうことができ、やっと前へ進み始めました。すぐに2社の面接を受け、今の会社から内定をいただくことができました。

今の会社に決めたポイントは?

最初はなんの会社なのかも知りませんでしたし、「経営企画」という職種も初めてでしたが、面接で社長の話を聞いているうちに、「自分の経験が活かせそうだ」と感じたんです。自分のこれまでの経験をアウトプットしていけば、この会社はもっとうまくいくんじゃないかと。この会社での自分のポジションが見えたような気がしました。会社としても新しいことにどんどん挑戦していましたし、そんな会社を社長といっしょに動かしていける仕事にも魅力を感じました。自分ももう40代。これからは自分で稼ぐことができるようになりたい!という思いも強くあったので、新しい挑戦に踏み出す決意をしたんです。

2東京と比べるのではなく、熊本にあるものを楽しむ

転職していかがですか?

入社と同時に、新設された「企画課」に配属されました。新しい部署でしたから、指導担当がいたわけでもありません。とにかく社長といつも一緒にいて、どんどん与えられる課題や仕事を1つ1つ必死に解決してきました。入社した時は「課長」でしたが、1年後には経営企画部の部長に昇格することができ、本当にあっという間の1年でしたね。熊本にきた以上、「もう後戻りはできない」という覚悟で、自分が持っているものは全部出そうと思っていましたし、自分が持っていないものは何でもとりこもうと思っていました。だからこちらにきて新たに取得した資格もかなりあります。

未経験の業種や職種に不安はありませんでしたか?

異業種でも、入ってから学べばいいと思っていましたので、不安はそれほどありませんでした。人間がすることなので、どんな仕事も本質は一緒。実際、パソコンなど最低限のスキルがあれば、大丈夫です。業種は違っても、バイヤー時代に重ねていた交渉や調整など、コミュニケーションのスキルが今の仕事に活きる場面もたくさんあります。ただ、こちらにきて驚いたこともたくさんありましたが。

転職して驚いたこととは?

まずは、朝礼ですね。うちの会社は笑顔やあいさつをとても大事にしているので、朝礼でまず大きな声を出して、みんなで経営方針を唱和するんです。東京ではそういう朝礼は経験したことがなかったので、最初に見たときはびっくりしました。どちらかというと東京時代は静かに仕事をしていましたから。ですから最初はなかなか声や笑顔が出せなくて、注意もされました。でも素直に「やんなきゃいけない」と思ったんです。それだけで自分を評価されるのは嫌でしたし、なんでもやろうと決めていたので。今では私自身がリーダーとして、社員に笑顔とあいさつを呼び掛けているんですから、前の会社の同僚が知ったら「信じられない」と驚くでしょうね(笑)。

東京と熊本の「違い」は感じますか?

仕事のスピード感はかなり違うと思います。東京ではスピードをとても重視していて、例えば合い見積りをとるときでも、何社もとって、どこがいちばん速く対応してくれるかを判断基準にするほどだったんです。なにか問い合わせを受けたときでも、翌日には結果を出すのが当たり前でしたが、熊本でそれをやると「すごいね」といわれます。また熊本は会社が少ないので、会社同士、人同士が意外なところでつながっている、ということが多いことにも驚きました。良い評価をいただければそれが広まるし、逆の場合も同じ。だから1つ1つの仕事、1人1人との出会いを大切にするように心がけています。

生活面での変化はありましたか?

通勤時間は電車で40分。東京時代と比べるとかなり近くなりましたね。満員電車からも解放されて楽になりました。また熊本に来てから、仕事が終わった後にジム通いを始めましたし、マラソンも始めたんです。こちらには遊ぶところも友人も少ないので、自分で体を動かそうと思いまして。おかげで健康になったと思います。

困ったことや課題はありますか?

東京時代は遊ぶのが大好きで、仕事が終わった後に1人で洋服を見に行ったり、クラブに踊りにいったりしていたんです。ところが熊本にはそういう場所がないので、最初はかなりフラストレーションがたまっていました。でもそのうちに、「東京と同じものを求めていたらダメだ」ということに気がついたんです。そうではなく、熊本にあるものを楽しもうと。例えば山や海、おいしい食べ物など、熊本には熊本のいいところがたくさんあるんですから。そんなふうに考えるようになった1つのきっかけは、熊本地震だったかもしれません。ボランティア活動などを経験してみて、熊本への思いが強くなりましたし、熊本のために自分に何ができるかを考えるようになったんです。

転職してよかったと思うことは?

大手だと1つのセクションを任されるだけですが、今は会社の経営すべてに携わることができています。今までとは違う視点から会社を見ることができるようになりましたし、知らないことも多く、本当にいい勉強をさせてもらっていると思います。また大手企業には、自分と同じような人間が何百人もいます。その競争の中で自分のことだけを考えていればよかったのですが、今の立場は違います。自分ではなく、相手のこと、部下のことを第一に考えて行動できるようになりました。それは私自身の進化なのかなと思っています。家庭でも、東京時代より妻といっしょに食事をしたり、遊びにいく時間が増えました。なおかつお互いが自分の好きなことをやれているので、熊本へきてよかったと思っています。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

地方へ転職すると、想定外なこともたくさんあります。例えば言葉1つとってもそうで、最初のころは、まわりのみんなが話していることがわからなくて戸惑いました(笑)。また地方は人と人のつながりも強く、そこへ入っていくのは大変だなと感じたこともあります。でも地方は本当にいい人が多いんです。だからまずは相手のふところに飛び込んでいくこと。前に持っていたキャリアはいったんゼロにして、1からやりますという気持ちで、飛び込んでいくことが大切だと思います。逆に、「俺は前の会社でこんなキャリアがある」「東京でバリバリやってきた」と周囲にひけらかすような人は、なかなか受け入れてもらえないと思います。実は同じようなことが東京でもあったんですよ。そういう姿勢では、地方ならなおのこと、うまくいかないと思います。 また地方に転職した場合、年収はたぶん下がると思います。でも下がったとしても、「1年後にはもとに戻す」という目標を持つことをおすすめしたいです。そのほうが自分もがんばれるし、会社も戻してやりたいと絶対思っているはずなんです。私が1年で部長になれたのも、この目標にむけてがんばってきたからこそ。会社も、私がこの目標を持っていることを知っていたので、私の努力を見てくれていたのだと思います。 ビジネス面でのチャンスは、東京より地方のほうがあるんじゃないかと感じています。仕事の進め方やスピードなど、東京では当たり前だったことが、こちらではまだまだ当たり前ではありませんし、ライバルも少ないですからね。 問題は、転職する際のマッチングの難しさです。本当は熊本の企業も人を募集しているんですが、うまく発信できていなくて、東京でその情報をつかむことはなかなかできません。どう探せばいいのか、わからないんですよね。そういう意味では、「リージョナルキャリア」のように地域に特化した転職支援サービスはとても貴重な情報源。ぜひ活用すべきだと今回改めて思いました。


コンサルタントの紹介へ

株式会社パーソナル・マネジメント 桝永 健夫

「くまもん」がきっかけで熊本へのIターンを考えていらっしゃると伺った時、「えっ?本気ですか?」と質問したことを覚えています。 「くまもん」を追っかけ奥さんが既に熊本に移住していること、熊本城マラソンに出場し沿道の声援に感動したことなど、転職理由としては珍しく本当にそれで転職するのか?と思うこともありましたが、そこまで熊本を好きになってくれている泰道さんを全力でサポートしようと動きました。 東京で積まれたキャリアは素晴らしいのですが、当時保有していた案件では明らかにオーバースペック。思い浮かぶ経営者を訪問し「こんな方がいる」と売り込むことでポジションを作ることができました。 弊社のサポートに「35歳の壁」はありません。

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